スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←『愛の吐息』【蓮さま☆生誕記念♪単発SS】  →天地の詩 ― はじめに ―
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



総もくじ  3kaku_s_L.png 松蓮聖戦
もくじ  3kaku_s_L.png 天地の詩
もくじ  3kaku_s_L.png 宝物
もくじ  3kaku_s_L.png 献上品
もくじ  3kaku_s_L.png 単発SS
総もくじ  3kaku_s_L.png 『恋だの愛だの』
もくじ  3kaku_s_L.png ツイッター
もくじ  3kaku_s_L.png バトン
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【『愛の吐息』【蓮さま☆生誕記念♪単発SS】 】へ  【天地の詩 ― はじめに ―】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

宝物

誕生日プレゼント★「Pillow talk」markuraさまより

 ←『愛の吐息』【蓮さま☆生誕記念♪単発SS】  →天地の詩 ― はじめに ―
誕生日プレゼント★「Pillow talk」markuraさまより
<< 作成日時 : 2009/03/28 23:04 >>


【PROLOGUE】




『……というわけで、今年度の栄えあるFRLパイオニア賞受賞者は、大多数の合意の元、
Dr. キョーコ・モガミが選ばれました。Dr. モガミ、どうぞ壇上へ』



会場中に拍手喝采が響き渡る。
そこはアメリカのとある五つ星ホテルの広いボールルームの一つ。
その会場中に白いテーブルクロスの丸テーブルが設置され、
フォーマルスーツを身に付けた男性や華やかなドレス姿の女性が着席している。
今までフルコースのディナーを満喫していた人々は、授賞式の始まりに背筋を正した。


Fuwa Research Laboratory Pioneer Award(不破研究開発パイオニア賞)


通称FRL賞は、世界有数の製薬会社、Fuwa Pharmaceuticals(不破製薬)が、研究分野に関係なく、
人体並びに生活向上に役立つ研究を斡旋するために儲けた研究先駆者達のための賞である。

受賞者は、受賞時の賞金は勿論、5年間の研究資金に加えてFRL研究施設での個人研究室も与えられ、
その期間の研究のバックアップを全て保証される。

資金獲得が年々困難になっている昨今、研究者ならば誰もが喉から手が出る程欲しい賞なのだ。


栄誉ある第十回目のFRL賞を獲得したのは、まだ17才の天才少女、最上キョーコ博士。
この賞始まって以来の最年少の受賞者だ。
日本生まれの日本人だが、その希有な頭脳に幼少の頃より注目され、米国にて英才教育を施された。
12の歳で博士課程を終了した彼女は、若いと言えど既に5年間の研究実績を積んでいる
押しも押されぬ立派な研究者だ。


拍手の嵐の中、上座の中央テーブルからすっと一人の少女が立ち上がった。
薄茶色の髪を結い上げ、纏っているのは淡いピンク色のロングドレス。
体に沿ったマーメイドラインのドレスは、腰から膝までは細く、
膝下から裾へは扇状に流れるようにドレープしている。
長い引き裾と、直線を基調としたドレスのシルエットは大人っぽく、少女の身体の線を演出していた。

論文発表時のきっちりとスーツを着込んだ鋭利な装いとはまた違い、少女と女性の中間のような、
そんな独特の雰囲気と華があった。
凛とした立ち姿の少女が壇上に現れると、皆一斉に目を奪われる。


『Congratulations, Dr. Mogami』


祝辞と共に微笑みながらキョーコにトロフィーと賞金を手渡すのは、綺麗な顔立ちのスラリとした青年。
不破製薬唯一の後継者、不破尚である。


『Thank you』


同じく、笑顔で答える。
キョーコが受賞の喜びとお礼を壇上で綺麗な英語でスピーチし、無事表彰式が終わると、
ディナーホールは徐々に無礼講の談話会場と姿を変えて行く。
皆、手に手にワイングラスを持って、テーブルからテーブルを移動し、
顔見知りと話したり、顔を売ろうとネットワーキングに精を出したりしていた。


「改めて、受賞おめでとう、キョーコ」


先ほどまで周りに気を使い、英語で話していたのだが、やっと二人きりになれたので、日本語に切り替えた。


「どうもありがとう、ショーちゃん」


同じように、日本語で返す。
実は二人は幼馴染だ。
幼い頃から天才と謳われ、将来有望と目されたキョーコは、
将来不破製薬に貢献することを条件にその取締役夫婦に引き取られた。
尚はそこの一人息子。歳も近く、兄妹同然に過ごして来たのである。


「ま、おまえなら間違いなく受賞だと思っていたけど、大したもんだよなー。その歳で既に自分の研究室持ちとは」

「えへへ。今まで色々と良くしてくれた、おじさん、おばさんのおかげだよ。
これから、少しでも恩返し出来るように、一生懸命頑張るね?」

「……まあ、それはそれでいいんだけどよー。あんまり根詰めるなよ?
ただでさえおまえ忙しくて滅多に会えないってのに、これ以上ってなったら、俺耐えらんねー」

「だ~い丈夫だよー。こう見えても、私丈夫なんだから!」

くすくすとキョーコは笑う。対して尚は溜め息を吐いた。
いつもの事とは言え、尚がさりげなく告げている気持ちなど、キョーコは全く気付かない。


「ところで、いつFRLの方へ移動するんだ?」

気を取り直して、話題を変える。

「ん?大体一ヶ月後だよ。今の大学の研究室での引き継ぎ作業と、FRLでの私の研究室の準備が出来次第ね」

「おまえがいなくなるとなると、教授も残念だろうなー」

「う~ん。でも、もう5年もお世話になってるし、そろそろ潮時だとは思ってたのよ。
ほとんど孫同然に可愛がってもらっていたから後ろ髪引かれるけど」

まあ、たま~にお茶飲みに戻るけど、と答えるキョーコは至って明るい。
彼女の茶飲み友達という教授が、その分野では世界屈指の権威であるのは、誰もが知るところ。

「……おまえの研究室に配属される助手や研究者は、今選りすぐりのを揃えているから」

既に数名決まっている、という尚の言葉にキョーコは質問した、

「へー。どんな人達?」

「んー。まあ、全員、ある程度癖はあるけど頭脳と技術はピカイチの人材。
まあ、一人かなりいけ好かない奴がいるけどよ」

「ふ~ん?」

「……まあ、俺が文句言ったところで、社長の親父が決断しちまった以上どうしようもないがな。
なんでも、凄腕の化学者らしいぜ?まだ結構若いのに薬剤に関しては権威の域に入るそうだ」

分子生物学者としてのおまえがそう言われているようにな、と付け足す尚。

「若いってどれくらい?」

「う~ん、実年齢は俺もよく知らねー。興味無かったし。だけど、おまえと同じように幼少から英才教育されて、
随分早く博士資格取ったって話だぜ?」

どことなく、不機嫌な様子の尚を不思議に思ったが、
じき自分の研究室が持てる喜びを味わっていたキョーコは、さして気に留めなかった。

それから暫くの間二人は雑談していたが、尚は会社関係の仕事周りに呼ばれ、
キョーコはキョーコで会場内の科学者・研究者達に話し掛けられ始めた。
会話は勿論英語で交わされる。
特に幼い頃からアメリカで過ごし、専門用語は全て英語で習ったキョーコにとって、
研究に関する事柄は英語で説明した方が容易い。


そんな中、

「……最上博士」


珍しく日本語で呼ばれて、キョーコは声の方へ振り返った。
視界に入ったのは黒髪に黒い瞳の長身の美男子。
日本人にしては、彫りの深い端正な顔立ちをしている。


「この度の学会でのあなたの受賞者レクチャー、見事でした」

お決まりの祝辞の言葉。

「…あ…、どう…」
「まさか、仮にも名高い国際科学シンポジウムに、あんな突飛な研究発表では、
意表をついていて誰の記憶にも残るでしょうね」

と思いきや、返礼しようとしたキョーコの言葉を遮っての暴言。
ピキッとキョーコの表情が強張った。しかし、ここで感情のままに相手をしては大人げない。
…まだ成人してないが。


「……ひがまないで下さいよ」

「誰がひがんでいる?頼まれたって科学とファンタジーの混同などしたくないね」

「なっ。私の研究のどこがファンタジーですか!
全て綿密な実験データに基づいたれっきとした科学的見解です!」

「……The validation of the novel size-determining gene of organisms and its temporal control:
the prospective solution to the current economy (生物の個体サイズを左右する遺伝子の解明並びに
それの時間的操作:経済難解決への道)だったね、君の研究テーマは」

身長差のせいでキョーコを見下ろしている男の眼差しは威圧的だ。

「……確かに君の着眼点はいい。
哺乳類と昆虫、あからさまに基礎サイズ差のある生物同士の違いの原因を解明し、
ミクロ化を高等動物にも可能にする。使いようによっては、多様な応用法があるだろう」

「……?」

貶めると思ったら持ち上げるような意見を発する男を、キョーコは訝し気に見詰める。

「……しかし、それを現存の問題……、温暖化現象による環境変化と食料・物資不足の解決へと持っていくのは
どうしたものかな」

「――っっ。それのどこが問題だというのです?!温暖化による大陸の水没と干ばつ。比例して酷くなる食料不足!
今だって、地球上のどこかでひもじい思いをしている人達が大勢いるんです!
限られた土地と乏しい食料を分け合うには、人体のミクロ化が一番合理的ではないですか!」


男は冷ややかな目でキョーコを一瞥した後、周りを見回した。
きらびやかな会場に溢れるのは、小綺麗に着飾った紳士淑女。
振る舞われていたのは、高級ワインに超一流のフルコースディナー。
このFRL賞受賞式ディナーの常とは言え、この場にいる以上キョーコの真摯な研究意義など
真実味を帯びないだろう。
彼の意図することを察して、キョーコは真っ赤になった。
キョーコとて、好き好んで慣れないおしゃれをしてこのような派手な場所にいるわけではない。
研究に専念するためにもこの賞が欲しかったが、何より賞に付いて来る賞金は魅力的だった。
研究資金外にも渡されるそれは、個人的使用が許され、
キョーコは食料・物資不足で家を失った人達が集うホームレスのキャンプにその全てを寄付するつもりでいた。
今のご時世、どこも資金不足だ。今までも自分の給料から出来る限り定期的に寄付し、
暇さえあれば既知が管理人を勤めるキャンプの一つに手伝いに行っていたが、賞金の額は中途半端ではない。色々な面で役に立つだろう。そうすれば、あそこにいる子供達の笑顔も多くなるかもしれない。
……そんなこと、こんな不遜な男に教えてやる気などキョーコには無かったが。


「……君はその先の影響を考えたことはあるのか?」

少し間を置いた後、男が再び切り出した。

「どんな副作用があるかも知れない、とか」

「!、勿論、そのような問題点は事前に解決してからでしか、人体投与は始めません!」

「人単位で言っているわけでは無いんだ。我々が生活している土地、その環境や自然、
それらに生息している野生動物……。
例を上げると切りがないが、一括りに言って『地球』全体への影響に関してを言っている」

「っっですからっ。私の発案はそういった環境問題を……」

「……ノーベルがダイナマイトを開発したのだって、北欧の固い岩盤を切り崩す土木工事のためだったさ。
だが、実際にはどうなった?その破壊力が注目され、結果武器として戦争を拡大させ、多くの人命を奪い、
自然を破壊したろう」

「―――!!」


『ノーベル賞』
この世界一崇高な賞でさえ殺戮の上に成り立っている皮肉な事実。


「……人が余計に自然に手を加えると、現状解決どころが、悪化する場合だってある。
君だって狼という天敵を失った鹿とその草原の成れの果ては知っているだろう」

「……確かに、鹿の天敵である狼を人が無闇に狩ってしまったがために鹿の個体数が急増し、
結果草原は食い荒らされ、食糧難に陥って鹿も死滅。結果的に残されたのは、草木も生えぬ不毛の土地……、
という話は聞き及んでいます」

「そう。神ならぬ人の身で浅はかにも自然の摂理に関与したための末路。
君は自分がそうしないと断言出来るのか?」


的を射た言及にキョーコは言葉に詰まる。


ダイナマイトを開発したノーベルだって、まさか自分の研究成果が武器として利用されるだなんて
思いもしなかっただろう。
狼を狩り取ってしまった当時の人達だって、良かれと思ってのこと。
草原を不毛の土地にする気などさらさら無かったはずだ。


「自然の摂理から外れてしまっている我々人間には、あからさまな天敵はいない。
その分、病気や事故などに遭うが、それすらも科学や技術の発展で解決し、乗り越えて来た。
しかし、それらの発展が結果的に環境汚染や温暖化現象を招いたとしたら……、どう言ったものだろうね?」

そして、それによって今また我々は追い詰められている。
……まるで切りのない追いかけっこだ。

そう溜め息と共に吐く男を、キョーコはじっと見据えた。


「……だからと言って、結果を恐れて初めから諦めていたら、それこそどうしようもないじゃないですか!」


相手の言い分はわかる。痛い程だ。だからと言ってどうする?

キョーコははっきりと言い切った。


「確かにあなたの言い分は分かりますが、諦めずに問題を解決しようという希望と意志を持つからこそ、
人はあらゆる苦境を乗り越えて来たんです!そして、私はRE-SEARCHER(リーサ-チャー)。
あらゆる問題に直面しても、何度でも(リー)答えを追求(サーチ)してみせます!」


フンっと鼻息荒く断言したキョーコに、男の周りの空気がすうっと下がった。


「……心意気だけで、いつまでも事が運ぶと思うなよーーー………」

(――…な、何…?!)

一瞬感じたすごい敵意にキョーコの身は思わず竦んだが、
次の瞬間、男はにーーっこりとわざとらしい紳士笑顔で話しかけていた。


「……と、まあ、君は口で言っても分からないタイプみたいだから、それでも得意の“心意気”で、
めーいっぱい体当たりして、早々に見る影も無く玉砕するのもいいだろう。
これ以上、環境問題が悪化する前にね」


そして、くるりと背を向け、

「とりあえず、お手並み拝見と行こうかな?口先だけで無い事を祈りますよ、最上『博士』」

『博士』の部分を嫌に強調して、「では、また後ほど」と去って行った。


(あんたとなんか、二度とお目にかかりたくなーーーいっっっ)

プルプルと身を震わせ、心の中でそう絶叫した。


(一体、何様のつもり?!同じ人の子の分際で偉っっそうに!!見てなさい!この……)


そして、キョーコは相手が名乗りもしなかった事に、改めて気付いた。


(な、なんて失礼な奴なの!
自分から話しかけて来たくせに、言いたい事だけ言って去るだなんて、卑怯者っっっ)


初対面で最悪の印象を与えたこの毒舌長身男が、
実は不破製薬側が用意した社長一押しの有能化学者だと知らされるのは、
キョーコがFRLに移動した一ヶ月後のことである。




March 28, 2009 by markura



後書き:ことりん様 1500打キリリクのパラレル設定を組み込んだ話のプロローグ。
う~ん、う~ん、連載当初並の険悪さになってしまったわー。

時代:近未来
キョコたん:科学者
蓮:キョコたんの同僚
尚:スポンサーの息子

                                       





  バースディプレゼントに 「Pillow talk」markuraさまから 頂戴しました!!>▽<;

  きゃー!すっごいい!!

  あんなに無茶な設定リクエストしたのに ちゃんと クリア!

  いえ!私のリクエスト以上に すばらしい物語になっています!!

  markuraさま さすがです!

 私にはこういう 科学分野なお話は 書けません!><; ええ、絶対に無理です!

 ああ 1500打ふめて よかったー *^-^*
 
 すっごくつづきが楽しみですぅ~

 markuraさま 本当にありがとうございました!!m(_ _)m  



総もくじ  3kaku_s_L.png 松蓮聖戦
もくじ  3kaku_s_L.png 天地の詩
もくじ  3kaku_s_L.png 宝物
もくじ  3kaku_s_L.png 献上品
もくじ  3kaku_s_L.png 単発SS
総もくじ  3kaku_s_L.png 『恋だの愛だの』
もくじ  3kaku_s_L.png ツイッター
もくじ  3kaku_s_L.png バトン
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【『愛の吐息』【蓮さま☆生誕記念♪単発SS】 】へ  【天地の詩 ― はじめに ―】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【『愛の吐息』【蓮さま☆生誕記念♪単発SS】 】へ
  • 【天地の詩 ― はじめに ―】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。