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「松蓮聖戦」
第3章 白蓮青松

梅雨 (side:Y)【白蓮青松 №21】

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梅雨 (side:Y)【白蓮青松 №21】

 バァァァァァーン!!!

 テーブルにこぶしをたたきつけ、拓磨は、真っ正面から 目の前の母子をにらみつける。

「…失礼…。お言葉の意味が…わかりかねるの…ですが…。」
 
 その凶悪な眼に…対峙している二人がふるえあがった。

「…それが…私どもが きっと喜ぶだろう いいお話…ですか。」

 赤瀬川拓人…拓磨の父…が ぼそっとつぶやいた。

「光栄にも ありがたくも もったいなくも 正妻のお嬢様が 私どものような成金の平民の
卑しい家に御降嫁くださる…とは なんともまあ 恐悦至極なことで…!」

 ていねいすぎていやみなことばの端々に トゲとハリがちりばめられている…。

「そ、そちら様が 最初におっしゃった お望み通り…でしょう!?」

 てっきり
 しっぽふって喜ぶだろう…と 思っていたあてが 完全にはずれて
 公爵夫人の顔が蒼白になっている。

「沙也加は…!正真正銘 純粋な華族の娘で…!」

「鈴音様に 会わせてください!」
  話の流れなど ぶったぎって 美青年…拓磨が真っ正面から切り込む。

「…あれは 実家に 帰しました…。」

「…なっ!?」

「沙也加が その気になった以上 芸者が産んだ卑しい娘など この家においておく必要…」

だんっっ!

 ひぃぃぃぃっっっっ!!

 その場にいた全員が固まった!

 拓磨が…ついに テーブルたたき割って…しまった!!

「…どこです…」

 地獄の底からわき出てきたような…ぞっとする声音に 心底 胆が冷える!

「…え、え?」
 恐怖にひきつる公爵夫人にかまわず なおも拓磨が迫る。

「彼女の実家は どこだと聞いてるんだ!」

「な、なんです!その無礼な…!」

「さっさと言え!!」

「あ、あんな娘のどこが いいっていうの!?」

 公爵令嬢…沙也加が 吐き捨てる!

「しょ、しょせん しょせんは 芸者になって 男にこびふりまく…!」

 すっ

 静かに
 目前に手を置かれた

「それ以上…」
 静かに 拓磨が令嬢を見据える。

「彼女を侮辱するなら 女でも容赦しない…!」

「…!」

 令嬢は もはや 何も言えず 固まってしまった。

「3日…お待ちしますよ。華小路様」
 おだやかに 拓人が 夫人に話しかける。

「…え…?」ふるえを必死に抑えながら 夫人が問い返す。

「もう一度 鈴音様に戻っていただいて 当初のお約束通り 12月25日には
拓磨と式を挙げていただきます。」

「…とう…さん…?」唖然と 拓磨が父を見返った。

「も、元々 あなた方のお望みは 沙也加だったでしょう!?」
 たまりかねたように 叫ぶ華小路公爵夫人。その声は もはや悲鳴に近い。

「その お約束が果たしていただけないなら、今後の援助はおろか…」

 夫人の言葉には 一切 耳を傾けず
 静かに 湯飲みの茶で のどを湿らせながら 拓人はゆったり続ける。

「すでにお渡しした 結納金やお支度金。立て替えさせて頂いた借金。」
 とんっと 湯飲みを置いて じろりと夫人をにらみながら 言い放つ。

「全額 耳をそろえて お返し頂きます。」

「…そ!!」

「では、3日後。鈴音様とこちらでお目にかかるのを 楽しみに また来させていただきます。」
 そういって立ち上がると。

「失礼させていただこう、拓磨」
 怒りの面持ちもあらわな息子の肩を ぽんっと たたいて退出を促す。

 もう一度
 華族の母子を するどくにらみつけて

 拓磨も 父について 部屋を出て行った。

 残された母子は 屈辱に震えている。

「いまいましい!」夫人が ヒステリックにわめく。
「たった…1週間やそこらで…!すっかり親子ともたらしこんで!15の小娘が!」

「…うっ…。」令嬢が 悔し泣きに泣き出した。 

「しっかりなさい!沙也加!あんな成金!元々 お前に似合いません!!」

 傷ついた娘を しっかり抱きしめて
 唇をかみしめながら 夫人も また 必死に屈辱に 耐えていた。

 その頃。
 玄関に向かいながら 赤瀬川親子が 静かに会話を交わしている。

「意外…でした。」拓磨が ぼそりとつぶやく。
「てっきり…お父さんは 喜んで…受け入れるかと。」

「俺にも プライドってものがある。見損なうな…!」

「すみません…」 

「心配するな、拓磨!鈴音様は すぐ 戻ってくる。いや どうでも 連れ戻すしかない。
先日用立てた金なんぞ 借金やら 屋敷の体裁繕いやらに あっという間に消えて!
華小路家には もう1銭の余裕もないからな!」
 
「…ええ。」
一見粗雑な言葉にこもった 父の思いやりに 拓磨の顔に どうにか笑顔が戻った。

「でも!待つだけなんて 俺の性に合いません!」
 迎えにいきます!今からすぐにでも!」


「…やめておけ。」

「どうしてですか!?なんとしても あいつらに彼女の実家 吐かせて…!」

「華小路家…の名がついてない…なら あのお嬢さんは…お前とは…結婚しない。」

「…え…?」

「華小路家の『娘』として…お家のために 承知なさった縁談…だ。
お家から自由になった身では 受けてくれるはずがない。受ける…義理もない…。」

「…っっ!」
 拓磨の顔が 蒼白になった。

「時間は まだ たっぷりある!
結婚してから育つ愛情もあるし 子ができてから 生まれる愛情もある…!」

「…お父…さん…」

「きっと…お前を 好きになってくださるっ!…そのうち きっと…な!」

「…はい…!」

 父の…慈しむような笑顔に
 拓磨は 顔を上げて きっぱり返事をした。

 強い決意を込めて―。









 
  「カット!」

 緒方監督の声で 一気に その場の空気がゆるんだ!

「すみませんでした!!」

 ぱっと 素に戻った蓮が 恐縮して謝る。

「つい…役に…気が入りすぎまして…!」

「い。いえいえ 気になさらないでください!テーブルの一つや二つ…!」
 人のいい緒方監督が 冷や汗流しながらも 鷹揚に笑う。

「かえって 迫力出てよかったですよ!」

「…そ、そう 言っていただけると…。本当に すみません…。」
 
 改めて…思う。

 蓮…
 おまえ!

 役者になる前は 何やってたんだ!?いったい!!


 


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