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「松蓮聖戦」
第3章 白蓮青松

続:露草(side:亮 in “水月の舞”)【白蓮青松 №25】

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続:露草(side:亮 in “水月の舞”)【白蓮青松 №25】




「亮…」

 おふくろが おずおずと障子の外から声をかける。

 その声で…
 いつのまにか…夜になっていたことに 気づいた。

 三味線を弾きやめて ばちを置いた。

「今の…『愛の夢』…ゆう曲やった…な?」
 オレのために 夕食の膳を用意しながら 話しかけてくる。

「…ああ…。」

 小さい頃 鈴音がなんども繰り返し琴で弾くものだから…
 いつのまにか 覚えてしまった…。

「不思議なもんやな…あんたら二人が なかよう 琴と三味線で合わせてる時には
ロマンチックで ええ曲や思うとったのに…今は なにやら ものがなしゅうて…!」

 おふくろが ぽろぽろと泣き出す。

「華族のわがまま娘が!最初から 自分だけが出とけば よかったんや!それを…!
なまじ 鈴音ちゃん 見せたりするさかい!むこうかて 人見る目くらい もっとるわ!!」

「…よせよ、もう…!」

「…!かんにんや!あんたが…一番…つらい思いしとるのに…。」

「ごちそうさま…」

「亮!ほとんど たべとらんやないのっ!」

「散歩に行ってくる…」

「亮…!」

 つらそうなおふくろの声にかまわず 外に出る。

 こうこうと満月が輝いている。





「ふざけるなっっっ!!」

 あのとき
 柳生という男の 胸ぐらつかんでたたきだそうとしていたオレを

 騒ぎを聞きつけて降りてきた 鈴音が 止めた。

 行くな!行く必要なんかない!
 オレとおふくろが 二人がかりで説得しても 鈴音は譲らなかった。

「亮は 知らへんやろ?」

 必死にかきくどくオレに 荷造りをしながら 鈴音はつぶやくように語った。

「うちら母子 危うく餓死するとこやったんやで?」

「…え?」

「お父はん…公爵が お仕事で外国行ってはるすきに…正妻はんが うちんとこに来て
 うちら親子、無理矢理 追い出しはって…。」


「…!」

「食べるものも 寝るとこものうて 3日間 さまよい歩いた…。
 人のええおじいさんが 納屋貸してくれて 家の手伝いさせてもろて
 食べるものだけは いただけて…。
 女将さんがうちらを探し当ててくれるまで、生き延びていられたんや。」


「それなら!なおさら!そんな鬼みたいな正妻やわがまま娘のためになんか!」

「あの人たちのためやない!」

 鈴音は きっぱり言い切った。

「あの人達だけやったら、うちかて ほっとく!ざまあみろってわろてあげる!」

「…だったら…!」
 
「病気のおとうはんは…どうなる?」

「…!」

「あの屋敷で門番してはる西さんには おなかの大きい奥さんがいてる。
 うちに仕えてくれとった千代さんには 華小路家つぶれて女中やっていけんようになってたら
 今度は 遊郭に売られるとこやった…って 礼を言われた…!あの柳生さんには…!」


「…もういい!やめろ!!」

「亮…なんぼ 枯れかけとっても 中身…空洞でも 華小路家は 松の木や。
 からまる蔦や藤…、よりかからんでは生きていけへん人たちが ぎょうさんいてる…
!」

「…だからって…!」
 
「『行け』とゆうて!亮!」

 ぼろぼろぼろぼろ 泣きながら 鈴音はオレにしがみついてきた。

「5歳の時…女将さんが うちら母子引き取ってくれて…
 それから ずっと ずっと あんたが うちの支えやった!
 ててなしごっていじめられたときも おけいこつろうて泣いたときも…!」


「…鈴音」その涙が オレの着物を熱く濡らす 

「おかあはん 死んだときも…!」

 ぎゅっと オレの背中をつかむ

「…鈴音…!」

 震えるきゃしゃな肩を 強く抱きしめた。
 涙で目がかすんだ。 

 どうして…!
 どうして オレは こんなに…無力なんだ!

 愛している…誰よりも 大切な女一人…守って…やれない…のか!?

「うちの背中…押して…。亮。『行け』って。『がんばってこい』って」

「すずね…!」

「考えてもみてみ?」

 …無理に…明るさをよそって鈴音がいう。

「…え?」

「純度100%のお嬢様より うちみたいな平民のハーフがええて ゆうてくれるんやで?
 きっと一生大事にしてくれはる…ええお人やと思わへん?」

 
「…!」

「うちはきっと…その人に幸せにしてもらえる…。そやから…うちも…その人 幸せにする…。」

 涙ながらに…笑顔をつくってみせる…から。

「そやから…ゆうて!お願い!『行け』!『行って幸せに…なれ』って!」

 明るさを装う声が…震えて…いたから。

「…行ってこい。」

 そう…いうしか…なかった…!
 
行って…誰より…幸せに…なれ…!」

 必死に…声を絞り出した!
 どうしても…涙は とまらなかった…が。

「おおきに…。亮も…幸せに…なって…な?」
 
「…ああ…。」

 最後に
 無理に作った 哀しい笑顔…が

 最後の
 思い出になった…。


 歩いて歩いて
 いつのまにか 桂川まで 出てしまった

 水面に映った月が 緩やかな流れに揺れている

         「お月さんも 楽しそうに舞してはるえ!」

 鈴音が…好きだった…景色



 「幸せに…なれ」…?

 オレに…?

 …どう…やって…?



 どうやって!!

 お前が…いない…のに…!

 どうやって
 幸せに…なれ…って 言うんだ…?!

 …鈴音…!!

 水面を舞う月が かすんで ぼやけて…消えた。



















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