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「『恋だの愛だの』」
Ⅰ 四面楚歌

【33】虎視眈々

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虎視眈々(こしたんたん)


      【虎が獲物を狙って鋭い目でじっと見下ろすように、
      おのれの野望を遂げるため、じっと機会を狙っている様子】


 誰の人生にも ターニングポイントってもんがある。

 ― 私と話そう?!
   で どう思ったか教えて?! ―

 初めて
 苗床が 俺の肩つかんで アクセスしてきたとき

 俺は 言っちまった。

 ― 顔の悪い女とは 話すらしたくない ―

 その手を 冷たく振り払って…

 「あれ」で
 もう 苗床は
 俺の存在を 恋だの愛だのルートから 外してしまったのだろう

 人ごみに流されないようにって 口実で
 しっかり その腰抱いて まるでカップルのように歩いても

 まったく なんの屈託もなく 俺に従う苗床

 これは
 要するに そういう対象から 完全に外されてる証でもある

 おまえは
 あの頃 夏草が好きだったよな

 まさか
 今でも…か?

「だって あんまり 夏草君が健気でかわいそうだからさ」

 夏草の気持ちの方が 花井より 大切で
 あいつの願いなら 何でもかなえてやりたいと思うほど…に?

「ほぉ…?」

 なあ
 おまえは まだ 夏草が好き…なのか?

 聞きたい
 けど 聞けない もう

 肯定なんかされたら 目の前真っ暗だし
 それで もし こいつが 自覚なんかしたら 最悪だし

 わかっているのは
 夏草は 一度もこいつを傷つけるような言動をしたことがなく

 俺よりは 恋だの愛だのルートに 近づける可能性があるってこと…。

「椿君は どんな相手 好きになっても 苦労はしないよね」

「…は?」

「にっこり微笑んで『俺、お前が好きだせ』って ささやけばさ。
 『私もですぅー!』って 向こうから 胸に飛び込んでくるよ!」

「苗床…」

「ん?」

 なあ
 俺にも 挽回のチャンスはあるか?

 もう一度
 おまえの 恋だの愛だのルートに 乗れる機会を 与えてもらえるのか?!

「俺 お前が…!」

「あー!椿さん かのこさん!」

 っ!?

 突如 響いた大声

 振り向かなくとも わかる…!
 この…いまいましい ボーイソプラノは!

「偶然ですね!こんなとこで 会えるなんて!」

「う、梅君っ!?」

「…偶然…?」

 しらじらしい!

 こいつ
 いつから 俺たち つけてたんだ!?

 最悪のタイミングで 割り込みやがって!!

「もしよろしければ 相席よろしいですか?
 日曜で込む時間なのに 一人でテーブル占領するの気が引けて…」

「ああ、うん どうぞ」

 何の疑いもなく 苗床が 体を横にずらす。

「失礼します」

 図々しく 花井弟が 席に割り込んでくる。

 このヤロウ!
 気を利かせるって言葉 知らないのか!

「う、梅君 それ…何 オーダーしたの…?」

「バナナ・オレです。僕 大好物で…」

 この店のオレは なかなかサービスがいい。

 おれの苺オレ同様
 ヤツのオレにも 大盛り生クリームの上に
 スライスしたバナナが1ダースほど乗っかってる

「…よかったら 一口 いかがです?かのこさん」

 …っ!?

「あ。いや 梅君 お気遣い…」

 突然の事に 反応が遅れた俺の目の前で
 花井弟は 苗床の口の中に さっとさじを突っ込んだ。

「むぐっ」

 …ヤロウっ!!

 さては
 いつかの意趣返しか!?

「おいしいですか?」

 ヤツが スプーン片手に 苗床に微笑いかけてる。

「…う、うん ありがとね…っ」

「おいっ!」

「…はい?」

「おまえ…っ!なに ふざけた真似…」

「すみません。思いがけなく トッピングが多くて…一人じゃ食べ切れなくて…つい」

 うそをつけ!
 何 しらじらしいこと…!

「あ。じゃ 少し分けてよ。今 スプーンもひとつ…」

 苗床っ!

 バカか!お前は!
 あっさりと ヤツの口車に乗りやがって!!

「もらってます。はい、苗床さんの分」

 やはり!
 ヤツは ナプキンに包んでた 新しいプラスチックスプーン 取り出した。

「用意周到だね…」

「ええ。そりゃもう」

 思ったとおりだ。
 最初から 割り込むつもりで
 あらかじめ 準備してたんだな…?コイツは!!

「右半分 どうぞ」

「あー。うん ありがとう…」

 少しは 疑え!苗床!

 『偶然』会ったんなら
 なんで 最初から スプーン2個用意してる!?

 どう見ても 不自然すぎるだろう!!

「…じゃ 僕は 左半分…」

 ちっ!

 ― ひゅっ ―

 とっさに ヤツの手を払い スプーンを弾き飛ばす。

 飛んでったスプーンは 階段手すりにぶつかり
 まっすぐ 燃えないもの専用ゴミ箱に 自ら飛び込んでいった。

 よし 計算どおりのルートだ。

「ああ わりぃ…ちょっとした拍子に 手があたっちまった」

 にんまり ヤツに微笑んでみせる。

「…いえ…お気になさらず…に」

 花井弟は 指を押さえながら 蒼白な顔で答える。

「新しいスプーンもらってくっから 待ってろな、弟君!」

「…ありがとう…ございます…」

 ばーか
 そうそう お前の思い通りにしてやるもんか!

「ほら 苗床」

 いちごオレのカップを 苗床に差し出す。

「俺のトッピングも 半分までなら 食ってていいから」
 
「ありがとう!椿君!!」

 苗床の顔が 喜びに輝き
 花井弟は 悔しそうに 俺をにらむ。

 はん!

 姉貴のエプロンのかげで 姑息な画策しやがって

 おまえのようなガキが
 この俺様に 勝てるつもりでいるのか! 





「苗床ならOKで 俺は 迷惑って?その区別は 何だ?」

「か、かのこさんは 姉さんの親友ですから…」

「俺は『友だち』だ。
 友だちは 困ったときは協力し合うものなんだ。そうだよな?苗床?」

「え、えーと 普通…そう…なんだ?」

「もちろん!」

「そっか!普通なんだね!うん!一緒に 桃ちゃんに 勉強教えようね!」

 あのあと
 苗床は 俺を無視して
 話しかけても 相手にもしてくれない時期があった。

「おお。その傍ら 俺らも 勉強しよう。そのほうが 花井も 気を遣わないだろ」

「よぉし!次は 負けないからね!」

 でも
 今は 少なくとも 友だちルートには 乗れている。

「はん また 一蹴してやるよ」

「うぅー むかつくぅぅうー 見てろよぉー!!」
 
 もう一度
 絶対もう一度 ターニングポイントは来る!

 今度こそ 俺は 外さない

 絶対 おまえの恋愛ルートに 乗ってみせる!

 もし来ないってんなら
 無理やりにでも 作ってやるまでだっ!!






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