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「松蓮聖戦」
第3章 白蓮青松

短夜(side:R)【白蓮青松 №33】

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短夜(side:R)【白蓮青松 №33】




「お母はん!泣かんといて 泣いたらあかん」
  4、5歳くらいの幼い少女が、けなげに母を慰めている。
 
「…鈴音…」
  切なそうに…可憐で はかなげな女が我が子を見つめる。

「うち 平気やから!お昼間 ぎょうさん 野いちごたべたさかいに!」

「堪忍して…!」
  20歳にもなるかならぬか
 母というには まだ幼い感じのきゃしゃな女が ひしっと幼子を抱きしめた。

「見てみ。お母はん。お月さんが 川で泳いではる。」
  幼心にも なんとか母の気をひきたたせたいのだろう。
  幼子は、小さな指で 水面に映った月を 指差す。

「…そうやね…。舞してはるね。」

 公爵に囲われて別宅に住んでいた女が 正妻にその存在をうとまれて
 公爵が仕事で海外に行ってる隙に、着の身着のまま追い出され…。

  芸妓をしていた故郷、京都を目指して歩き出したものの…。

  東京からの長旅。

  路銀もない。

  幼子を連れて…かよわい女の足…で どうなるものでもない。

  途中で ついに 力尽きてしまった。

「…鈴音!」思いつめた表情で…女は 我が娘を 抱きしめた。

「お母はんと一緒に あそこ 行こ。」

「あそこて?」

「あそこ…お月さん 舞してるとこ。一緒に 舞しまひょ。な?」

「お月さんと いっしょに 舞えるん?」

「そうや。鈴音の大好きな舞。お母はんと一緒にいつまでも…いっしょに…できるえ…。」

「うん!行く!お月さんと舞する!」
 何も知らない幼子は にっこりほほえむ。

「ええ子やね。鈴音は。」涙ながらに 女は微笑んでみせる。

「心配いらん。ずっとこうして お母はんが いっしょや…な。」
 女は 着物の紐を一本だけとり 自分と我が娘の体を結びつけた。

「うん!」
 無邪気な子どもは うれしそうに母にしがみつく。

「…あそこで お月さん 待っててくれてはる…!」
 しっかりと娘を抱きしめて
 今にも 橋の欄干越えようかというとき

「待て!」
 大声とともに 後ろから 体を引っ張られた。

「…!?」
 女が 驚いて 振り向く。
 息を切らして 一人の老人が立っていた。

「どんな…事情があるか知らんが…!あたら若い命散らしてどうする!
しかも、こんな…小さい子道連れに!あんたは 母親やろうが!!」
 
「…ほ、ほかに…どうしようも…ないんで…す!」
 我が子を 抱きしめたまま 女は 激しく泣き出した。







「…『水月の舞』…序章…です…ね。」
 
 突然 ぼそっと 画面の中と同じ声が 闇の中から降ってきた。
 ぎょっとして 振り向く。

「も。最上さん!?」
 即座にTVのスイッチを切る

「すみません…連絡…もせず 遅く…なって…。」

 暗闇の中から 彼女の声が響く。

「…いや!」

 あわてて リモコンで部屋の灯りをつける。
 つけてから 改めて息を呑む。

「…なに…が…あった…!?」 

 目前の彼女の顔は
 画面の中の 3日3晩飲まず食わず設定のメイクより なおひどい。

 ま…!
 まさか!

 あの…男!

 彼女に…無理強い…!?

「アイツか!?アイツに 何かされたのか!?」

 あわてて その肩に手をかけてゆさぶる。

「…え…?」

「不破…だ!アイツが 何か!」

 そうなら!もし、そうなら!!

 ただではおかない!絶対に!!

 この手で…始末してやる…!!

「何も…。」
 彼女は、ぼそりと つぶやいた。

「あんな…キスくらい…。演技で…だって…したこと…あります…。」

 …キス…?

 …でも 十分 むかつく…が!!

「そ、それ…だけ…?」

 あの電話では…アイツ まるで…。

「…はい。」

 すっと 顔を上げて
 真正面から 俺を見る。

 …。

 どうやら
 その眼に…うそはない!

 やっと
 空気の中に 酸素があるのに 気づいた。

 いてもたってもいられず
 眠るに寝られず どうしようもない気分で
 無意識に 彼女の姿を求めて 見ていた DVD

 やつが まだ出て来ない 冒頭場面だけを…繰り返し…

「おかえり…最上さん…」

 ひしっと抱きしめた。
 その 華奢な体が 折れそうなくらい 強く!

「…ただいま…。敦賀さん」

 いつになく素直に
 俺の胸に 顔を埋めてくれた 彼女は

 いつになくすんなりと 受け止めてくれた


 お帰りの挨拶…というには

 深くなりすぎた

 俺からの…キス…を
























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