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「松蓮聖戦」
第4章 蓮香松涛

氷の朔日(side:K)【蓮香松涛 №7】

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氷の朔日(side:K)【蓮香松涛 №7】




「いいねぇ 京子ちゃん!」

 1シーン撮り終わった後
 新開監督が 温かい言葉をかけてくれる。

「日舞やってるだけあって 所作がぴったり決まってる。
 君ほど和服似合う女優さんって いまどきベテランさんにだってなかなかいないよ!」  

「あ、ありがとうございます!」

 思わず顔が赤らむ。
 …けど 胸中は複雑だ。

 和服になれてるのは
 小さい頃から 不破家に預けられて…邪魔者扱いされたくないから
 必死に旅館の仲居さんしてたせいだし

 日舞やってたのは
 やっぱり不破家の旅館に長逗留してらした上客が日舞の元家元で、派閥争いから外されて
 ふさぎこんでらしたのを お慰めしようとしたのが きっかけ…

 どれもこれも 私が 望んで身につけたものじゃあ…

「グリーンリボン賞主演女優賞に輝いたのは そういう所作の美しさもポイントだったろうな。
『水月の舞』、日舞も お琴も お茶も すごく振る舞いが自然だったし」

 …!

「付け刃は どうしても 視聴者には わかっちゃうからね」

 まさに 芸は身をたすくだね…と 優しくほほえんで 監督は 所定の席に戻った。

「いいわよねぇ…お嬢様は…。
 私なんて親の仕送り、たった10万しかなくて、いつも かつかつなのに」

「日舞だの お茶だの お琴だの 習わせてなんかもらえなかったわ!
 うちは しがない公務員だもの せいぜい習字にそろばんよ。うらやましいわぁ」

「うちなんか 母一人子一人の 母子家庭で!ずいぶん母にあてにされてたから
 家事で忙しくて!そんな贅沢、とんでもなかったもの!」

 ぼそぼそと 共演の女優たちが 聞こえよがしにささやいている。

 なにも 知らないくせに!

 あなたたち、十分 親から 愛され 大切にされてるじゃないの!

 ぷつん…

 何か…が
 心の中で はじけた


「さあ、女子高生役のお嬢さんたち!準備はいいかな?」
「「「はぁーい!」」」

 新開監督の声に 彼女たちは、一転素直な明るい声で返事を返す。

「君たちは 心霊スポットを探検して回るのが趣味のいまどき女子高校生。
 この廃屋で 髪の長い和服の幽霊が出る…と 聞いてやってきた。」

「「「はい!」」」

「京子ちゃんの幽霊に心底びびる演技頼むよ?
 特殊効果もついてないから 怖くもなんともないだろうが そこは 演技だ!」 
「はい!」「お任せください!」「私たちプロですから!!」
 
 青ざめたライトとか 人魂とかは あとで合成ではめ込む。
 彼女たちだって そのへんは 十分承知だ、元気よく返事した。

 …ふ

 …演技…ね

 必要ないわよ…そんなもの…!






「いやーーー!すごい!お見事だったよ!君たち!!」

 新開監督が 喜色満面 女子高生役の女優たちを褒め称えている。

 彼女たちは がくがくぶるぶる 歯の根が合わない有様だ。

「特殊効果もなしに よくまあ ああ 心底おびえきった 恐怖にふるえあがる演技できたね!
 すごいよ!すばらしい演技力だ!!」

「本当に すばらしかったです♪さすがです 先輩方!すごく うれしかったです。
 私なんかのつたない演技に、ちゃんと怖がってくださって…」


 にこやかに 賞賛の言葉をささげる私に
 先輩方は 蒼白な表情になって ずざざっと一目散に逃げてく。

 …ずいぶん 失礼な人たちね!

 ほめてあげてるのよ!私は!

 そりゃまあ…気合いれて やりましたけど!
 …そこまで恐がられると…ちょっと傷つく…。

「やるな」

 唐突に
 笑いを含んだ声をかけられた。

「ショータロー!?」

 な、なんで ここに!?

「出演予定だったアカトキのタレントがアクシデントで 出られなくなって。
 オレが代役おおせつかったんで…な」


 …また…?!
 一流大手芸能プロにしては 多くない?!
 しかも…なんで 常に こいつが 代役なのよ!!

「あんなやつら 完膚なきまでに いたぶってやればいいさ」

「…え?」

「お前がうちで どれだけ気を遣って…いろんなもの身につけてきたのか…。
知りもしないくせに 『お嬢様』だの『うらやましい』だの 言いたい放題…!
まったくむかつくやつらだ!」


「ショ…?」

「悔しかったら 実力で勝負しろ!…って 叫びそうになった。
あいにく メイク中で動けなかったからいえなかったがな!」


「…っ!」

 お琴を覚えたのは…
 女将さんの趣味で弾いてらしたのを うまくまねれば喜んでもらえたから

 お茶を習ってたのは…
 女将さんが 私に 女将修行をさせようと…将来、息子の嫁にするため…に

 何一つ 私のために 身につけたものじゃ…。

「…!?キョーコ!?」

 ショーのあわてふためいた声で
 自分のほほに 涙がつたわっている…ことに 気づいた。

「な、なにか 気に障ること…言ったか?」

 私のために…じゃなかった…なにもかも全部…

 でも

 今

 私のために なっている…?
 なにもかも 全部…。

「キョーコ!泣くなよ!頼むから…!」

 ショータローが 優しく抱きしめてくる。
 
 ずいぶん…大人になったじゃない。ショー。
 子どもの頃は…何もできず 固まってたくせして…!

 成長したんだ…こいつ…も。

 無駄じゃなかった…と 思っていい?

 和装に慣れてることも お茶も お花も お琴も 日舞も

 私が
 こいつにしてきた 献身も…

 思い上がっても…いい…?

 まるっきり 無駄じゃあ なかったんだ…って!

 ゆっくりと
 心の中のなにかが 溶け出していく

 だんだん強くなってくる腕の力に逆らわず、素直にその胸にもたれかかった。






















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