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「松蓮聖戦」
第4章 蓮香松涛

蝉の鳴き始め(side:Y)【蓮香松涛 №14】

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蝉の鳴き始め(side:Y)【蓮香松涛 №14】



「社さん!連日 お疲れ様です。」 

「やあ、百瀬さん。君こそ お疲れ様。由紀子役 似合ってるね。すごく可愛いよ。」

「あ、ありがとうございます!」

 百瀬さんが、顔を赤らめる。
 人気者なのに、おごった様子はかけらもない。可愛い女性だ。

「でも、なんだか 複雑です。不破さんのほうが ひとつ年下なのに『兄さん』なんて」

「ああ。最初予定してた桂木君なら 実年齢も20歳で ちょうどよかったのにね…。」
 きっと…亮役の新人俳優と同じく 不破の裏工作にやられたにちがいない!
 気の毒に…。心中で深くアカトキの若手俳優に同情する。

「でも 不破さん 演技 お上手で そんな違和感 感じさせませんし!負けてられません!
こっちのほうが演技のプロなのに!食われたら恥ですもの!」

「うんうん その調子だよ!百瀬さん!」
 見上げたプロ意識だ、まだ若いのに。

「ええと…ところで…」

「京子ちゃんなら 今から出番で…」
 言いかけて きょろきょろっと 辺りを見渡す。

「あ、あの…い、いらしてませんよ…ね?」

「…もしかして…ラブシーン?不破と…?」

「…です…。」

 うすら寒そうに 青ざめた顔でうなずく百瀬さんに
 申し訳ない気持ちでいっぱいになる。  

 この夏の特番。終戦記念日に放映予定の『文塚の華』が 始まってからというもの
 蓮は 毎日 京子ちゃんを迎えに来る…どうしようもないときは 俺に来させる。

 不破が強引に共演をもぎとったこと…。
 しかも [運命の恋人]役!…と知ったときの蓮の反応のすさまじかったこと!

 キョーコちゃんを迎えにくるたびに 周囲を異様な冷気に包み
 ただでも 不気味な怪奇ムードに 一段と『涼』を添えていた!!

「不破さんは 明日から海外公演でしばらく帰ってこれないとかで…今日の内に出演場面は
全部撮りきってしまうそうなんです。」

「はあ。大変なんだね。」

 そんな大変な状況なら 無理に割り込んでこなくていいじゃないか!
 心の中で 毒づいた。

 アイツのせいで、俺がどんなに!!

「あ。始まります。次のシーン」

 おっと。
 改めて 撮影現場に注目した。




 廃屋の中。怜治が、必死に辺りを探し回っている。

「まなみ!どこだ?」

 ― 来てくれた…のね ―

 特殊効果をかけた声が 不気味に響く。

 ふうっと 物陰から 京子ちゃんが姿を現す。
 優しく はかなく ほほえんでいる。

「…まなみ!!」

 怜治が うれしそうに その手をとり 抱きしめた。

 とたんに 

 すぅぅ
 一気に空気が…寒くなって…?

 ま、またか!

 京子ちゃん!なんで、そんなにホラーな役がうまいんだ!?
 空気の温度さえ変えるほど!

 にたり

 一転して 美女が 邪悪にほほえんだ!

 ひぃぃぃ…!!

「っ…!」

 かたわらで 百瀬さんが おびえて オレにしがみついてきた。

 お、オレだって 怖いっ!!本気で!!

 …が!
男のプライドにかけて 
そんな情けないとこみせられやしない!

 美女が 妖艶にほほえんで 怜治に口付ける。
 怜治は しっかり抱きしめて それに応える…うちに…どんどん…力が抜けていく。

 ついに がくりと 床にひざまずいた。

「まな…み…」

 美女にしがみついて 必死にその顔を見つめる 怜治…。

「それ…が 望み…か…。」

 悲しそうに 愛美の手を握る。

「…ああ。お前の…望みどおりに…してくれ…。」

 優しく切なくほほえまれて 愛美の顔にかすかに動揺が走る。

「2度も…約束…守らなかった…オレが…悪い…。お前の 好きに…しろ…。」

 その言葉に 再び 愛美の顔に邪悪な笑みが戻った。

 そっとかがみこみ
 再び 怜治に口付ける…怜治の顔は ますます 白くなって…

「そこまでよ!!」

 唐突に女性の声が響く。
 暗闇から 高梨女史が 登場した。

「そんなことしたら あんたたち二人とも 未来永劫 地縛霊よ!?いいの!それで!!」

「たか…なし…さん…。だめ…だ。くる…な。」

「見なさいよ!これを!!」

 怜治の声を無視し、高梨女史が 古ぼけた紙の束を 愛美に向かって投げる。
 紙は床一面に散らばった。

 一枚一枚に…南国の華の絵…?

「戦地インドネシアで…いつかは郵便出せるような日がくるって信じて!
 建治が 毎日毎日 あんたのために 描いてた絵葉書よ!」

 愛美が ぼうぜんと 床に散らばった紙を見る。

「あいにく 戦友が これとどける前に アンタは 建治戦死の報を聞いて…この家で
自殺しちゃったから…見られなかっただろうけど!」

 高梨女史がいいつのる。

「いつ死ぬかわからない 食べるものもなく 木の根やねずみの生肉 食うような生活で!
それでも アンタあての手紙には きれいなかわいい華しか 描いてない…!」

 撃たれたように 愛美は あとずさった。

「死ぬほど重い病に冒されながら アンタのとこに来ようとした 少将も!」

 ずいっと 高梨女史が 歩を進める。
 …ごとに 愛美は 後じさる。

「生きるか死ぬかの極限状態で…アンタには きれいな華しか見せまい…って 思っていた
夫の建治も!」

 女史のほほには 涙があふれている。

「これ以上ないってほど!深く!あなたを 愛してるじゃないの!!」

 ぼうぜんと 愛美は立ち尽くした。

「ここまで愛してもらえる女が この世に何人いるって思ってるの!?
わがままも たいがいになさい!!」

 つっ…
 愛美の目から 一筋 涙がこぼれた。

 散らばったはがきの中から 一枚 拾う。

 元は 赤かったらしいそれは 黒ずんでいる…が
 ハイビスカスの美しい形はちゃんと伝えていた。

 愛美は その一枚にほおずりして しあわせそうにほほえんだ。

 その影が 次第に薄れてゆく。

「愛美!」

 愛美の影が薄れるにつれて、生気を取り戻してきた怜治が叫ぶ。

「待ってる!今度は、オレが!!」

 ふっと 愛美が怜治を見つめた。

「生まれかわってこい!もう一度…いっしょになろう!今度こそ…ずっと!!」

 にっこり
 
 愛美は ほほえんだ。
 神々しく 優しい笑みで…。














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