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「松蓮聖戦」
第4章 蓮香松涛

天の川(side:R)【蓮香松涛 №16】

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天の川(side:R)【蓮香松涛 №16】




 最上さんを助手席に乗せて 日本料亭に向かう道すがら。
 (社さんは、仕事で事務所に行くのでタクシーで別行動…と いうことに してある。)

 初めて…君からねだってもらって 買い取った着物。
 藍色の地に、白い夏椿が染め抜いてある大島紬が 涼しげでよく似合う。

 すごく気に入ったから脱ぎたくない
 …このまま 着て帰りたいという彼女が本当にいとおしくて

 『せっかくだから その着物が似合う場所に行こう』と誘ったら
 彼女が お気に入りの日本料亭の名をあげた。

 超一流の有名店。
 今日の今日ではさすがに…と 思ったのだが
 彼女が携帯で予約を入れると 即 通ったのには 驚いた…!

 彼女も
 しだいに 遠慮なく
 俺に あれこれ 甘えてくれるようになってきてくれてる…!

 そう思うと 心が弾む。

 ここ数日のいやな気分がうそのようだ。できたら、鼻歌でも歌いたい!

 そんな俺の気分とはうらはらに 厚い黒雲が西の方角からやってきた。

 ぽつっと しずくが 落ちてくる。

 最初は 遠慮がちに滴っていた程度の水の粒は、程なく ざぁぁーっと
 すさまじく 徹底的に フロントガラスを洗い流しだした。ワイパーがせわしく動く。

「週末なのに…あいにくの雨だね。」

「『あいにく』なんて!とんでもない!恵みの雨ですよ!半夏生以後、晴天続きで、
 一番水がほしい時期なのに 水田かれてて 農家の方 困ってらしたんですから!」

「そ…、そうだね…。」

 あ、あれ?

 確かに正論だ…。

 正論だが!

 おかしい。
 彼女にあるまじき反応だ。

「で、でも 今夜は 七夕…だろ?織姫と彦星が、また1年逢えなくなって可哀想…とか…」
 思うんじゃないのかな!?メルヘン思考の君なら、確実に!

「敦賀さん…けっこう ロマンチストなんですね…。」
 『意外です!』という眼で見られて、いささか傷つく…。

「君は…思わないの?」

「思いません!雨降ったほうが ロマンチックです!」

「は???」それはまた…どーして!

「雨が降って 天の川があふれたら…かささぎが 橋を作ってくれるんですよ!」

「え?そうなの!?」

「そうです!かささぎが 何羽も連なって 彦星を織姫のところに運んでくれるんです!
 そのほうが、ずっと素敵だと思いませんか?!」


「…ああ…」

 きらきらと 輝く君の瞳の中に星がある。

「本当に…素敵だね。」

 話の内容より…今、この時の君のほうが 数段…。

「本当に素敵です…星も 星座も それにまつわる伝説も…」

 うっとりと 両手の指先を合わせて 最上さんが 眼を閉じる。

「光の点がバラバラにちらばってるだけなのに…つないで ライオンにしたり さそりにしたり」

 彼女の頭の中には…夜空の星星が見えているのだろう。

「昔の人の想像力って 無限に豊かだったんだなぁ…って。」
 
「…そんなに 星が好き?」
 そういえば…『行きたいところ』と聞いたら、即「波照間島で南十字星!」だったな。

「ええ!すごく!」
 ぱぁーっと 明るい顔で 力説する。

「子どもみたいで恥ずかしいんですけど!大好きなんです!星空観察!」

「そんなことない。素敵な趣味だよ?」
 その愛らしさに つい 顔もほころぶ。

「今度いっしょに行く北海道や沖縄で こころゆくまで楽しんだらいい。」

「そうします!本当に楽しみです!」
 その笑顔は 本当にうれしそうだ。

「特に!沖縄の日程中!8月12,13日!ペルセウス流星群が すごく好条件で見えるんです!
東京じゃ、光害でほとんど見えませんし!もう 今から 沖縄行きが待ち遠しくて!!」


 …。

 ふぅ…。

 楽しみにしてくれてるのは…うれしいんだけど…。

 なぜだろう…。

 俺の『楽しみ』と彼女の『楽しみ』には
 かなりな差異があるような気が…する…!

「アルプスの少女ハイジみたいに 寝たまま 夜空が見えるような 屋根裏部屋のある家に
住みたい…って 思ってたことあるんですよ。」


 ぽっと 恥じらう笑顔の
 凶悪なまでのかわいらしさ。

 すぅっと 路肩に外れて 車を停めた。

「あ…の…?敦賀さん?…っ!な、なに!」

 けげんそうに 聞いてきた 彼女の言葉が 途中で悲鳴に変わる。

 大げさな…。
 ちょっと 抱きしめただけだろう…?
 
 まあ…顔は 少しばかり 至近距離過ぎた…かもしれないが…。
 唇が 多少 あごやら のど元に くっついてたかもしれないが…。

 たいしたことじゃないだろうに…!

「じゃ、今度 買ってプレゼントしようか。そういう屋根裏部屋つきの山荘。
グリーンリボン賞主演女優賞 お祝いまだだったし…ね。」
 

「とんでもない!!授賞式のときのドレスとアクセサリーで 十分すぎるほどですっ!!!」

 たちまち 顔面蒼白になって 涙ながらに必死に辞退する彼女に内心ため息が出る。

 初めて「おねだり」されて
 少しは 甘えてくれるようになってきたかと 喜んだのに…。

 まだまだ 遠い。
 彼女と俺の心の距離は。

 織姫と彦星を隔ててる
 あの天の川より はるかに…












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