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「松蓮聖戦」
第4章 蓮香松涛

彦星と織姫(side:K)【蓮香松涛 №18】

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彦星と織姫(side:K)【蓮香松涛 №18】




「最上様、ようこそ。本日はご予約いただき、光栄に存じます。」

 ご主人が 丁重に出迎えてくれる。

「今宵のいでたちは いつも以上に あでやかでらっしゃいますね。」

 この人の笑顔は いつもいつくしみにあふれている。

 いえ。
 「いつもとは全然違う」っておっしゃってくださっていいですよ!どうぞ ご遠慮なく!
 
 1時間前の予約だったにもかかわらず

 ずずずいっと 奥の奥のまた奥の凝った座敷に通された。
 
 四方に日本庭園が見渡せる 離れの一室。

「あらためまして ご挨拶申し上げます」

 私たちを席に着かせ、ご主人が 入り口付近で正座する。

「最上様 このたびは 主演女優賞のご受賞 まことに おめでとう存じます。」

「あ、ありがとうございます。」

 いまだに そう言われるのには 慣れない!
 どうしても へどもどしてしまう!

「お連れ様、敦賀様も、3年連続の主演男優賞 心より お祝い申し上げます」

「おそれいります」

 敦賀さんのほうは 慣れたものだ。鷹揚にほほえんでいる。

「本日は、七夕限定の特別懐石になっております。ごゆっくりお楽しみください。」

「は、はい。楽しみです!」「どうぞ、よろしく。」

 もう一度 丁重にお辞儀をしてご主人は下がっていった。

「前は…誰と来たの?ここ…。」

 ご主人がいなくなったとたん。
 敦賀さんが、聞いてきた。
 
「あ。あの…キッチン用品会社 『フォーチュン』の方が よく連れてきてくださってて…。」

「…不破君と共演の…CM…の…ね…。」

 …!
 ま、まずかった…!?

 びくびくと 顔色を伺う。

 アイツが
 なにかと 敦賀さんにからむものだから
 さすがに気分が悪いのだろう。

 敦賀さんにしては 大人気なく アイツに真正面からぶつかってらっしゃる。

 ここ数日 どれだけ 胃の縮む思いしたことか!

 単発2時間ドラマで 撮影時間は もともと 長くはなかった。
 しかも アイツが忙しかったので 撮れるときに撮り溜めしたから
 実際 一緒に撮影した日は もっと少なかった。それだけが ほんと 救いだった!!

「俺も ここで 接待していただいたこと 何度かあるけど…」

 するりと 敦賀さんが 話題を変えてくれて ほっとした。
 
 よかった!
 せっかくの おいしい料理 アイツの話題で台無しにしたくはない!

「こんな奥座敷に通されたのは 初めてだ。ご主人のお顔を拝見したのもね。」

「あ。そ、そうなんですか?」

 ご親切で 礼儀正しいご主人なのに…不思議なこともあるものね…?

「お待たせいたしました。」

 早速 食前酒が運ばれてくる。

「アルコールは だめということでしたので、梅のはちみつ漬けを水で割ったものです。」

「お、お気遣いありがとうございます!」

 七夕にちなんで 中には 星型のゼリーが青と赤ひとつずつ浮かんでいて可愛い。

 万事、そんな調子で

  
  ☆愛逢月の七夕特別懐石☆

食前酒  梅の甘露

先 付  寄せ焼茄子

前 菜  川海老唐揚、水玉真丈、白瓜真砂子和え、
     鱧の子煮こごり、穴子鳴戸煮、鱧寿司、
     手のしこんにゃく梅ゼリー

椀 物  冬瓜紫陽花茶巾 清汁仕立て

向 付  季節の鮮魚造り

焼 物  焼鱧しゃぶ  ~炭火焜炉焼にて

煮 物  冷し鉢(石川小芋、南瓜、茄子揚げ煮)

強 肴  佐賀牛の石焼き

合 肴  小茶碗蒸し

食 事  四万十青さ海苔素麺

水 物  いちぢくの赤ワイン煮



 献立どおりに さくさくと お料理が出てくる。
 どれもこれも すごく 美味!

「あ~。おいしい!すごく幸せです!」

 ほっぺが落ちるとは まさに このこと!
 
「そうだね。」

 敦賀さんも すこぶる ご機嫌がいい。

「でも…どのへんが 七夕限定なのかな?星飾りとか 天の川じたてな盛り付けはともかく」

「そうめんですよ。」

「そうめん?」

「中国では この日、疫病よけに食べる風習があるんです。」

 もともと 七夕は 『しちせき』と言って 夏野菜の収穫祝う日でもあるから
 夏野菜も 欠かせない。鱧も七夕には 絶対に食べる魚だ。必ず入れる。

 もっとも 夏野菜&鱧は 夏には欠かせない素材だから 七夕に限らず 出す。
 真に 七夕限定といえるのは そうめんだけだ。

「…お詳しいですね…。お若いのに お珍しい。」

 お茶を運んできた仲居さんが しみじみとつぶやいた。

「い。いえ!門前の小僧の習わぬ経…でして!」

「実は 他のお座敷でも」
 食器を下げながら 仲居さんが 機嫌よくはなしかけてくる。

「お若い男性が お連れ様に そんなふうに 解説なさってらっしゃって…!
いたく感心したところでしたの!本当に 私どもとしては すごくうれしいですわ!」

「お恥ずかしいかぎりです…物知らずで…。」
 敦賀さんが 恥じ入ったようにいう。

「あ!いえ!そんな!ご存じない方が ほとんどですもの!」
 仲居さんが 大慌てで とりつくろう。

「お料理がお心にかなえば 一番 幸せですから。」

 優しい笑顔に心も和む。

「ええ。とてもおいしくいただきました。」「ごちそうさまでした♪」

「最上様 これを…」

 いつものように 玄関先まで見送りに出てきてくれた ご主人が 私に包みをくれた。
 かすかに漂う 涼やかな香り…。

「荷葉ですね…!いつも すみません!」
 ご主人自ら調合した練り香…思えば季節ごとにいただいている!

「いえ。また おちかいうちに ぜひお越しくださいませ。最上様でしたら ご予約なしに
お立ち寄りいただいても 一向に さしつかえございません、どうか ご遠慮はご無用に。」

「はい!ありがとうございます!」

 いつもながら ご主人のご好意に胸が熱くなる。

「…じゃ、帰ろうか 最上さん。」

「はい!」

 敦賀さんの声に応えて駐車場に向かう。

「ずいぶん…ここの ご主人に気にいられてるんだね 最上さん…」

「は?それは ご親切にはしていただいてますが…。」

「今日のお料理のお勘定…二人分で2千円だったんだけど…。」

「に!?」あ。あの…内容なら!ひ、一人 1万は…!?

「き、きっと 計算違い…」
 
「何度も確認した…どうしても それ以上 受け取ってもらえなかった。」

「ど、ど、どうしましょう…!?」

「せいぜい通うんだね…『毎日でも 来て下さい』っていう意味だろうから これ。」

「そ、そうなんでしょうか?」

「ああ…。」

 ふぅ…。

 あさってのほうを向いて、敦賀さんが やけに重々しいため息をつく。 

「お、俺の気苦労!!あいつだけじゃ 足りないっていうのか!?
これからどんどん増殖していくのか!?こんなのが!!」


 なにやら ふんまんやるかたなげに ぶつぶつぶつぶつ つぶやいている。

「つ、敦賀さん?」

「あ…、ごめん!なんでもない!!」
 あわてて 敦賀さんが 振り向く。

「さ、帰ろう。よかったね、雨も上がって」
 にっこりと 私にエスコートの手を差し出す。

「は、はあ…。」
 その手を取って、庭の石道を歩んでいく。

 ど、どうしたんだろう?いったい!

 相当…お疲れ…なのかな…?

 帰ったら スタミナフルーツミックスオレ風青汁 作って飲ませてさしあげないと!










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