スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←海月(side:S)【蓮香松濤 №36】 →海月(side:K)【蓮香松濤 №38】
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



総もくじ  3kaku_s_L.png 松蓮聖戦
もくじ  3kaku_s_L.png 天地の詩
もくじ  3kaku_s_L.png 宝物
もくじ  3kaku_s_L.png 献上品
もくじ  3kaku_s_L.png 単発SS
総もくじ  3kaku_s_L.png 『恋だの愛だの』
もくじ  3kaku_s_L.png ツイッター
もくじ  3kaku_s_L.png バトン
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【海月(side:S)【蓮香松濤 №36】】へ  【海月(side:K)【蓮香松濤 №38】】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「松蓮聖戦」
第4章 蓮香松涛

海月(side:R)【蓮香松濤 №37】

 ←海月(side:S)【蓮香松濤 №36】 →海月(side:K)【蓮香松濤 №38】
海月(side:R)【蓮香松濤 №37】





 いっそのこと 猛毒クラゲでも捕まえてくるべきだった…!

 図々しくも最上さんに抱きついて、あつかましくも首筋に口づけるヤツの姿を見て
 心底(!)後悔した!

 つかまえてきたクラゲ ヤツの首筋におしつけて とりあえず彼女からひきはがしたが…!

 無害でかわいいだけのクラゲだったのが つくづく惜しい!

 こんなことだとわかってたなら こいつ用に猛毒バリ付きのヤツ捕獲してきたのに!

 よかった!撮影急ピッチで取り終え(させ)てきて!
 俺がついてなきゃ この5日間 コイツの好き放題だったかと思うと…!

「敦賀さん!私のだけじゃなく、ご自分の分もちゃんととってくださいね。」
 
 言いながら せっせと俺の皿に 焼きたての魚やら貝やら 入れてくれる
 愛らしい彼女の笑顔に つい顔もほころぶ。
 
「敦賀さん いける口でしょ?さあ、いっぱい どうぞ!」

 CMスポンサー社員 馬場さんが 愛想よく俺にビールを勧めてくれる。

「ありがとうございます。でも、明日はセスナ操縦して帰国ですから。
今夜は アルコール抜きにしておきたいので。」


「ああ!そうかぁ。セスナで来られたんですよね!」

「ヘリもセスナも…なんて すごいです…。」

「え?ヘリも操縦できちゃうんですか!?それは すごい!!」

「いえ、そんな…。コツさえつかめば ダレにでも…。」

「れん~~…」

 ひっ!?

 なにやら 暗い声が 弱々しく響く。

「や、社さん…ど、どうなさったんですか…?」

 …すみません…いらっしゃってることさえ 認識してませんでした。

「お、俺はもうセスナはごめんだから!絶対!普通に飛行機で帰る!絶対そうするからな!」

「そんな…!こんなシーズン真っ最中、どの便も 飛行機満席ですよ!?」

 だから、来るときだって、セスナ飛ばすしかなかったんだから…!

「京子ちゃん!」
 
 すがるような眼で 社さんが 最上さんに迫る。

「は、はい!?」

「後生だから!君のキップ譲って!そのかわり 蓮のセスナ同乗の栄誉は君に譲っちゃう!
ね!俺を助けると思って!!」

 泣かんばかりの必死さに
心を打たれたのか…恐かったのか…(おそらく 後者だろう…)

「わ、わかりました…よ、喜んで…」

「ありがとう!京子ちゃん!東京に帰ったら、なんでも君の好きなのおごるからね!!」

 …ありがとう…社さん!

 グッジョブです!…意図したことじゃあ なかったんでしょうが!

 日本に帰ったら たっぷり お礼しますから…!

「じゃあ 早速 飛行計画書の名簿、書き換えて提出しておくね。」

「は、はい。」

「そんな危ないのに…大事な 看板女優…乗せていいのか?」

 …!

 この野郎!よけいな口出しを!

「危ないとは心外だな…当然、安全操縦は 心がけるよ?」

「現に そうやって マネージャーが 怯えてるだろうが。何が『安全』だ…?」

「い。いや。お、俺が怯えてるのは…単に体質が…機械と相性が…。」

「キョーコはいまや LMEの看板ってだけじゃない。若手実力派№1女優だ!」

 社さんのあわてた弁明なんか無視して、ヤツが敵意をむき出しにしてくる。

「素人に毛が生えた程度の おまえの操縦なんかに 命預けていいわけないだろう!」

 …この…男…っ!!

「…ご心配…痛み入るが…」

 真っ正面から ヤツの眼をにらみつけた。

「そんなこと ちゃんと心得てる…!」

 危ない思いなんかさせない!絶対に!!

「…どうだか…!」

 向こうも まっすぐに俺の眼をにらみつけてくる。

 グァムのさわやかな夜風が とたんにどんより暑苦しくなってきた。

「不破さん」

 突然 朗らかに優しい声で 最上さんの声が割り込んできた。

「…え…?」

 彼女に…にっこり ほほえんだ顔を向けられて あからさまにヤツが動揺した。

「私のこと…そこまでご心配くださってうれしいです。ありがとうございます。」

「い、いや…お、俺は…。」

「でも、大丈夫です!敦賀先輩の腕前は 私、よく 存じてますから!
ご心配頂くようなことはいっさいありません。どうぞ、ご安心ください!」


「…っ!」

「…ということは、私も パラシュート講習 受けておく方がいいんですよね?先輩!」

「あ、ああ。出発時間前の1時間だけね。余裕持って 準備しておいてくれれば…。」

「じゃあ 私たち みなさんより 2時間早い出発ですよね。
失礼して 早めに休ませていただきましょうか。」


「そうだね…。寝不足は 事故の元だ。」
 
 自家用セスナとはいえ、好き勝手な時間に 飛び回っていいわけがない。
 ましてや 国際線。離陸時間 着陸時間 飛行経路 すべて 事前提出だ。

 特に航空路の関係で 絶対に離陸時間はずらせない。

 彼女が同乗するなら 念には念を入れて 最善尽くしておきたい!

「…ということですので 俺達は お先に失礼します。お疲れ様でした。」

「皆さんは どうぞごゆっくり。お休みなさい。5日間、お世話になりました!」

「あ。ああ お休み」「お疲れ様ー」「また、日本で!」

 スタッフたちが 口々にねぎらいの言葉をかけてくれる。
 最上さんは 何度もお辞儀しながら 一人一人に礼を述べ、俺とともにホテルに向かう。

「…ホテルに着いた30分後…ね。」

「は!?」

「俺が今夜、君の部屋に行く時間。」
  
「え!?」

「君からは 来てくれる気ないんだろ?」

「で、ですから…スタッフさんとかに 見られたら…!」

「あの宴会の様子じゃ まだ2時間は 盛り上がってると思うよ?
酒も料理も まだまだ残ってるしね。」


「あ、あのですね…こ、今夜くらい 別の部屋でも…明日の晩には…自宅で…」

「最上さん」

「は、はいぃ…?」

「今日…俺…危うく 死ぬかという思い味わったんだけど
…それ…ダレのせいだったかな
?」

「…っ!」

「こんな恐い思い抱えて 一人寂しく寝たりしたら 悪夢にうなされそうなんだよね…。」

「っっ!!」

「悪夢にうなされて 寝不足なんかになったら 明日のセスナの操縦が…」

「お待ちしてます!」

 最上さんが ばっと俺の言葉をさえぎった。

「ホ、ホテル着いた30分後には お風呂からも出て 寝るだけの用意にして
お待ち申し上げますからぁぁぁぁ!!」


 はい。よくできました。

 そんな涙目で ふるふるしながら 言うほどのことでもないだろうに…。

 まあ、そんなとこも可愛くていいけど…。

「じゃあ 行こう。早く休まないとね 明日のためにも!」
 何よりも…俺のために…ね!

「は、はあ…。」

 最上さんの手を握って ホテルへの道を歩いていく。
 グァムのさわやかな夜風が ほほをなでる。

 茜色に染まった空の下、白い道がまっすぐに伸びている…。

 たった4日…一緒に寝られなかったのが…どうしようもなく寂しかった。
 今夜は…このぬくもりを 抱きしめて寝られる…のが たまらなくうれしい。

 案外 寂しがりやな子どもは 俺のほうかもしれない…。

 君じゃなかったら 意味はないけど…。
 側にいてほしいのは 君だけだけど…。
 
 俺がほしいのは…君だけ…。
 ただ それだけ…。




 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png 松蓮聖戦
総もくじ 3kaku_s_L.png 『恋だの愛だの』
総もくじ  3kaku_s_L.png 松蓮聖戦
もくじ  3kaku_s_L.png 天地の詩
もくじ  3kaku_s_L.png 宝物
もくじ  3kaku_s_L.png 献上品
もくじ  3kaku_s_L.png 単発SS
総もくじ  3kaku_s_L.png 『恋だの愛だの』
もくじ  3kaku_s_L.png ツイッター
もくじ  3kaku_s_L.png バトン
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【海月(side:S)【蓮香松濤 №36】】へ  【海月(side:K)【蓮香松濤 №38】】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【海月(side:S)【蓮香松濤 №36】】へ
  • 【海月(side:K)【蓮香松濤 №38】】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。