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「松蓮聖戦」
第4章 蓮香松涛

海月(side:K)【蓮香松濤 №38】

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海月(side:K)【蓮香松濤 №38】



「敦賀さん…大丈夫なんですか?」

「大事な女優さんの命がかかってるんだから、なんとしても睡眠は、きっちり
とっておかないと…ね。」


 ホテルに着いて、きっかり30分後
 私の部屋を訪ねてきた敦賀さんは すぐ睡眠薬を口にした。

「お体に…悪くないですか…?」

 習慣性がついて 飲まなきゃ寝られなくなるとか…。

「大丈夫。パイロットもフライト前日に飲んでる安全なタイプだから。
絶対睡眠とれる即効性のあるタイプで翌日まで 頭痛が残ったりもしないって
。」

「それなら、いいんですが…。」

「セスナ操縦教えてくれた教官もお勧めの製品だから 心配しないで。」
 
にっこりほほえんで ベッドに入ってきた。

 …睡眠薬飲んだら ぐっすり寝られるんなら
…なにも 無理に 私の部屋まで来なくても…
 とは 思うけど

 いつものように胸の中にすっぽり抱きかかえられて…暖かなぬくもりに包まれて…
 すごく安らかな思いに満たされて…そんなのどうでもよくなった…。

 さすがにプロお勧めの睡眠薬…ほどなく敦賀さんから規則正しい寝息が聞こえてきた。

 いつもなら 私の方が早く寝付いてるんだけど…体が疲れすぎてかえってねられない…
 さすがに…あの「遠泳」は効き過ぎたかも…。
 
 手足がぐにゃぐにゃのクラゲみたいに頼りない…。

 …クラゲ…

 クラゲ!!

 あ、あのクラゲ!
 どうしたっけ?!

 一緒に後で海に帰そう…って 言ってたのに!
 私も敦賀さんも セスナ騒動ですっかり 忘れてた!!

 どうしよう!!?
 グァムの朝は、早いのに!

 けっこう温度も上がるのに!!

 朝、起きてすぐに迎えにいったとしても、干しクラゲになっちゃってる!!

 む、無益な殺生したら 罰があたっちゃう!
 
 考え始めると矢もたてもたまらなくなってきた!
 こっそり 敦賀さんの様子をうかがう。

 薬がよく効いてるらしくて ぴくりとも目覚めない…。

 すーーと 足下の方に体をすべらせて、敦賀さんの腕からぬけだす。

 時間は…午後11時…。

 まあ、私は操縦するわけじゃないし…多少 寝不足でも大丈夫!

 暗闇の中でサンドレスに着替え、カードキーだけは忘れず持ち出し、
 抜き足差し足忍び足。こっそり、部屋を出た。

 街灯はないけど、月は充分に明るい。

 浜までは一本道。往復20分もあれば…。

「キョーコ?」

 突然 ホテルのエントランスで 声をかけられてぎょっとした。

 ショー…!?

「なにやってんだ、こんな真夜中に…。」

「あ、アンタこそ!なんで…!!」

「飲み物補充しに来たんだよ。」

「そう。おやすみなさい…!」

「どこ行くつもりだ?」

「わ。私も 飲み物…。」

「…なら ビーチサンダルなんか履いてこないよな…わざわざ…」

 す、鋭い!ショーのくせに!!!

「クラゲ…どうなったか…知ってる?」

 もしかしたら…誰かが 気をきかせて 逃がしてくれたかも!
 一縷の望みをかけて聞いたのに…!

「あ~?クラゲ…ああ そういや…存在自体 ぽっかり忘れてたな…みんな。」

 がっくり…。

 いや、まあ そうでしょうとも。
 捕まえた敦賀さんも いただいた私も すっかり失念してたんだもの…。

「行くんなら、さっさと行くぞ。」

「は?」

「あのクラゲ逃がすために 起きてきたんだろうが。」

 …!?
 ど、どうして わかるのよ!こいつ!!

「つ、ついてきてくれなんて…ひとことも!」

「こんな真夜中に 女一人歩いて行く気だったのか!おまえは!」

 ぐいっと手を握られて 強引にひっぱっていかれた。

 月が煌々と輝く白い道をてくてくと歩いていく…波の音がする方へ向かって…

 こいつの握る力が強くて…ふりほどけない。
 あきらめて 手を握られたまま ついていく。

 いつか どこかで こんなことがあった。

 こいつに手を引かれて…暗い夜道 とぼとぼと…。
 うんと昔…小さい頃に…。
 まだ…こいつが 私の世界の中心だった頃…。

 あの時は波の音じゃなくて…川のせせらぎの音だった…。

「この辺だったな…。」

 …!
 な、なに感慨にふけってたの?私!
 くだらない過去の愚かしさなんか 思い出してどうするのよ!

「そ、そうね!」

 傾かないよう、結構深く埋めたのが災いして なかなか見つからない。
 
「あ、あった!あそこ…!」

 白い砂浜に丸い穴がある。即。駆け寄った。
 おそるおそるのぞいたヘルメットの中、くらげは かすかに光っていた。

 よかった…生きてて!!

 波打ち際まで近寄って、そっとくらげを海に帰してやった。
 くらげは きらきらっと光って 滑るように沖のほうに姿を消した。

「変わらないよな おまえも…。」

「…え?」

「昔 オレが山で拾ってきた小鳥の雛…親を慕って鳴くのがかわいそうだと 夜中にこっそり
返しに行こうとしてただろう…。」


「…っ」

「オレが気づいて 急いで後追いかけた時、たった一人で てくてく歩いてたものな。」

 さっき…の…あの記憶…。 

 …!?

「ショ、ショー!?」 
 いきなり 抱きしめられて 心臓が飛び出しそうになる。

「どうして…気づかなかったんだろうな…オレは。」
 ふりほどきたいのに…体がこわばって動けない…。

「あのころから オレは ちゃんとおまえのこと好きだったのに…。」 
 その声が…言葉が…苦い悲しみに満ちていたから…。

「真夜中だろうがなんだろうが…後 追いかけていくぐらい…バカみたいに…。」
 私の肩に切ないため息を感じる。

「…帰ろう…。また、風邪ひかせたら大変だ。」

「…お互いにね…。」

 月が雲に隠れて空は暗くなった。
 海にちらちら光るのは…さっきのクラゲとその仲間だろうか。

 あたりまえのように差し出された手を自然に握って 来た道を帰る。

 この手のぬくもりだけを支えにしてきた時代があった。

 なんだかんだ言っても…こいつが…私を支えてくれていた…時があった…確かに。
 こいつだけが…支えだった時代が…確かにあったんだ…。

 こいつだけ…を…。







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