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「『恋だの愛だの』」
Ⅱ アリアドネの糸

【16】志を高くせば、気さかんなり

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志を高くせば、気さかんなり

 【高い理想を抱けば、おのずとやる気がみなぎるものだ By 吉田松陰】


「…これ…が」

「ええ、まだ 完成品ではありませんが…。
 何とか8割近くまで 成分を似せることができてます」

「細長くて…赤くて…まるで 糸のようね…」

 レアアースの代用品って言うから
 土か 石みたいなもの想像してたのに

「はい。だから 僕ら この物質『アリアドネの糸』って商標で 特許申請してます」

「ギリシア神話で テセウスを ミノタウロスの迷宮から救い出した赤い糸…ね」

 なるほど
 さては あの小娘 すでに この情報を手にしてたのね。

 原稿に しっかり 練りこんでたし!

「はい!椿部長の命名でして!
 混迷を深める日本経済を救う手立てとなるように…と!」

「パパが…」

「聡明な上に ロマンチストな方ですね。お父様って」

 生意気な小娘が 感嘆したようにつぶやく。

 どうやら 本音の口ぶり…。

「…ええ…」

 ぐっと こぶしを握り締める。

 やらなきゃ!
 パパの夢を願いを
 こんな中途半端なとこで つぶしてなるものですか!

「お待たせしました。椿部長のお嬢様とか」

「あ、専務っ!」

「初めまして 父がお世話になっております」

「…!あ、あ…い、いえいえ こ、こちらこそ!」

 ふん
 いい年した おっさんが 何 顔赤らめてるのよ!

 …とはいえ
 私と 初めて顔をあわせた男性は
 98%(残りの2%は、ホモか変人!)こうなるのは ま 当然!

「…で、こちらの…お嬢さんは?」

 いぶかしげに ちんちくりん娘を見やる。

「急を聞いて かけつけてくれた親戚で…。
 私が 心痛のあまり 落ち込んでるの心配して 付き添ってくれてますの」
 
 打ち合わせどおり 小娘の素性をそれらしくごまかす。

「ご家族同然の お親しい間柄なんですよ!このお嬢さん!」

 横から 柊さんが 力強く言い添えてくる。

 は?

 なに!?
 なんで この男が そんなこと 断言できるわけ!?

 …でも 今は それどころじゃない!

「父が倒れたせいで、さぞ 会社の皆様に ご迷惑おかけしてると存じます。
 ひとこと 皆様に お詫びを申し上げたくて…」

「何をおっしゃいますやら!
 不測の事態だったのですから お嬢様がお気になさる必要は…」

「いえ!どうか 社の皆様に ご挨拶する場を ご提供ください!
 ほんの5分でいいですから!!」




「父は 常々 申しておりました」

 私の『お願い』に 抗しきれる男なぞ いまだ存在しない。

 吸収&合併派の最先鋒という専務も
 真っ赤な顔で こくこく うなづくだけだった。

 今 私の前には 社の全員が 集合している。
 お定まりのお詫びを 口にしたあと、いよいよ本題にかかる。

「現在の日本の経済状況は さながら ミノタウロスの迷宮。
 出口のない閉そく状態だと…」

 社員たちは 神妙に聞いている。

「国土も狭く 資源もない日本の生きるすべは 唯一つ。
 優れた頭脳に支えられた 最先端の技術である…と」

 うんうん
 しきりにうなづく社員たち

「今 B国と日本は 友好状態を保ってはおりますが、
 元来 B国は 反日感情を 根強く内包しております」

 社員の目を 次々見つめながら 訴える

「なぜなら B国国民は 第二次世界大戦における日本軍の蛮行を
 今日あったがごとく鮮烈に教育されており…、
 B国民は『日本は、いつ わが国を侵略してもおかしくない
 危険な国家である』というイメージを植えつけられているからです」

 社員たちも みな 私の目を見つめ 真剣に聞いている。

「もちろん 史実である以上 他国の教育に 口出す筋合いはありません。
 ただ残念なのは、戦後 B国に最大の援助金を提供したのも 日本であると
 いう事実は一切B国民には 知らされてないことです」

 ざわ

 社員たちが 顔を 見合わせる。

「え?援助?…なんか してたの?日本」

「でも、B国…謝罪も 賠償も一切ないって 非難してなかったか?」

「B国には 欧米も援助してますが 日本からの援助が 全体の68%を占め…」

 ざわめきを制して 続ける

「その金額は 累計 2兆円を超えております」

「「えええー!?」」

「それも 30年も前からですから 物価の上昇を考えると
 もっと価値的にすごくなります」

 ざわざわ

「日本は高度成長に入り 経済力が充実していた時代ですから
 かつて ご迷惑をかけた国に 優先的に 援助するのは 当然」

 ざわざわざわ

「ですが…『罪』を教えるだけでなく『功』の部分も できるなら
 B国の皆様に教えていただきたい…と思うのは さもしい根性でしょうか?」

 …この原稿
 ほんとに コイツが考えたのかしら!?

「とはいえ 私たちが よそさまの国の教育に けちをつけるわけに参りません。
 ただ 基本的に B国国民は 日本を嫌うように 教育されてることを知っておくべきです」

「ええと…お、お嬢様 結局 何が おっしゃりたいので?」

 話の流れが まずいほうにいったことを悟ったのだろう
 専務が さりげなく 止めようとする。

「そのような国から レアアース 98%も 輸入している現状は
 非常に 危険極まりないということです!」

「あ、あの ですが…今 B国とは 非常に友好な経済協力を…」

「何か 事あれば あっというまに 覆りますよ?
 教育の力って それほど 恐ろしいんです!!
 日本だって 爆弾かついで特攻した人が いたではありませんか!
 あれも 軍国主義という名の 教育です!!」

「…っ」

 推定年齢 50代後半

 親から 戦争体験 聞かされてた世代
 若手社員たちより 言葉の効果は 重かったようだ

「今 皆さんが 開発されてる『アリアドネの糸』は 将来の日本を救う救世主です!
 この不況を脱出する手がかりにもなる頼りがいのある存在になります!!絶対、なります!!」

 黙りこんだ専務を無視して 一段と声をはりあげる。

「こんな貴重な宝を 強烈な嫌日教育を受けてるような国に 渡していいのでしょうか!?」



「お見事でした、叶美様」

「…あなたの原稿どおりに 読んだだけ…操り人形よ!」

「志を高くせば、気さかんなり」

「?」

「社員がやる気奮い立たせたのは、叶美様のお言葉だったからです」

「…っ!」

「おかげで 社員たちは『買収・合併絶対反対!』で 結束 固めましたし。
 社員のほうから 崩れる心配はなくなりました」

「…。あと…は どうするの?」

「側面援護です」

「は…?」

「KKが 買収どころじゃなくなって 手を引く状況を 作ります」

「…どうやって!?」

 あ、相手は
 B国きっての大財閥よ!?

 この子 いったい 何するつもり!?


 






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