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「『恋だの愛だの』」
Ⅱ アリアドネの糸

【23】 鴨の水掻き

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鴨の水掻き

 【水に浮かんだ鴨はゆったりしているようでも、水面下では絶えず足で水を掻(か)いている。
  よそ目にはわからないが、本当は苦労や心配が絶えないこと。】




「デザートでございます」

「おおう!タルトタタンっ!!」

「…好物か…?」

「うん!これなら 私みたいな 不器用でもできるしさ!
 いや でも さすが 一流。仕上がり具合が 全然違うよ!」

「…ほぉ?」

「何」

「いや おまえとお菓子作りのイメージが…どうも…」

「悪かったね!女らしさのかけらもなくて!」

 ぶすっとしながら
 苗床は アップルパイ(の一種)に フォークを突き刺し ほおばる。

「ああ、おいしぃーい。今まで 食べた中でも 最高ー!!」

 ほんとに おいしそうに食べるヤツだな。

 フルコースでも 一品一品に きゃいきゃい歓声あげっぱなし
 かたわらに控えてるボーイの口元にも 営業ではない笑みが浮かんでいる。 

「ほら 俺のも 食べていいぞ」

 皿を 苗床のほうに渡す。

「へ?」

「甘いのは 苦手なんだ」

「会長!それは、人生における 大きな損失だよ!?
 この おいしさがわからないなんて!」

「大げさだな」

「あのね!食べてもみないできめつけなさんな!
 ここのは 全然 くどくなくて おいしいんだから!!」

 苗床が 俺が渡した皿から ひとかけ切り分けて
 新しいケーキフォークに突き刺し 俺の口元に押し付ける。

「ほら 一口だけでも!」

「あ、…あ…あ」

 勢いに負けて ついフォークからかじりとる。

 …なるほど
 さくっと軽いほのかな甘さとコク

 これなら 食べられなくも…

「…お、お兄ちゃん!?」

 …ん?

 楓?

「あ。こんばんは」

 ぺこっと 苗床が頭を下げた。

「おまえ、今夜は 友人とコンサートじゃなかったのか?」

「さ、さっき 終わって…今 いっしょに…」

「こ、こんばんは」
 
 おどおどと 楓の後ろで 2年女子が 頭を下げる。

「ああ、こんばんは。今 きたところか?」

 後半は 楓に向けて聞く。

「う、うん…財布厳しいから…パ、パパからもらった優待券で…と思って」

「もう8時半すぎだ。今から 夕飯とは…計画性がないな」

「コンサート前に夕飯は済んでるって!お茶 飲みに来ただけだから!」

「じゃ、テーブルご一緒しませんか?」

 苗床が 楓たちに微笑む。

「…え、い、いいの?」

「ああ、俺たちも 今 デザートだから そうしろ。
 迎えの車を 2往復させなくて すむ」

 手を挙げるまもなく
 ボーイが駆け寄り テーブルをセットした。

「ご、ごめんね?その…じゃまするつもりは…」

 楓が おどおど 俺の顔色を伺う。

 ??なんだ?
 なんで こんなに青ざめてるんだ コイツは。



「ありがとうございました。お送りいただいて」

 まず楓の友人を自宅前で降ろしてから
 苗床のアパートの近くまで 車を回す。

 (下校の挨拶で職員室によって急いで調べた)
 苗床のアパート前の道は細すぎるので 最寄の交差点で降ろした。

「明日の朝 8時 ここでお待ちしてればいいんですよね?」

「ああ…」

 言いながら 助手席のドアを開けて外に出る。
 (後部座席に 女三人 乗せていたので)

「お兄ちゃん?」

「コイツを アパートの前まで 送ってくる。待ってろ」

「や。すぐ近くだし そんな…」

「最後の最後で 事件にでも 巻き込ませたら 送ってきた意味がないだろう」

「は、はぁ…」

 先に歩かせ
 2歩ほど後を ついていく。

 その位置が 最も ガードしやすいのだと 父のSPから 教わったことがある。 

 コイツは さりげに 隙がないから 
 むざむざ 前からの攻撃に やられはすまい。
 
「…苗床…っ!?」

 突如
 前方の暗がりから 若い男の声が響いた。

「…え…」

 この声は…。

「椿君!?」

「おまえ!なんで こんなに遅いんだよ!」

 たたっと駆け寄った苗床を 椿が ぐっと抱きしめる。

「や。椿君こそ こんな時間に…」

「バカ!おまえと連絡取れないから 心配だったに決まって…!」

「こんばんは」

 ほっとくと 全然 気付いてもらえないようなので 強引に割り込んだ。
 
「…会…長…?」

 ぎょっとしたように 椿が こっちを見る。

 やはり
 俺の存在は まったく目に入ってなかったようだ。

「ここまで 送ってくれたの。夕飯まで おごってもらってさ」

 あっけらかんと報告する苗床

「…なっ!」

 …暗闇の中でも
 椿のオーラが みるみる どす黒くなっていくのがわかる。

「…それ…は どう…も…。
 父の会社の件でも たいそうお世話になった上に…恐縮です」

 だが
 姉から 聞いていたのだろう

 ヤツとしては 礼を言うしかない状況だ

 …とはいえ
 まるで 苗床が 自分のものみたいな言い方だな。

 じたばた もがいてはいても
 まだ 全然 そういう意味では 相手にされてないくせに
  
 勘違いも ここまで来ると いっそ こっけいだ!



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