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「松蓮聖戦」
第5章 仙友浄友

芸術(side:仁志 in 「埋み火」第4話)【仙友浄友 №37】

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芸術(side:仁志 in 「埋み火」第4話)【仙友浄友 №37】





「橘殿…?よもや 海事奉行 橘真之介殿の…」

 隊長が 呆然としている。

 もともとの身分は高くはないが
 その才覚でめきめき出世した聡明な実力者だ。

「三男で 真吾と申します。通詞を務めております。」

 通詞(つうじ)…?

 軽薄そうに見えるが
 この若造 南蛮語を自在に操れるというのか

 人は 見かけによらぬものだ。

「このご時世…そのような大事なお役目の方が お江戸を離れて なぜわざわざ…。」

「…やんごとなきお方のあたりの御簾は あまりに ぶ厚すぎて…事態の重さを
 おわかりいただけないようだ…と 父…いえ…奉行は 憂慮しております。」
 

「…確かにな!」

 隊長が苦々しく吐き捨てた。

「あの大国 清でさえかなわなかったというのに…この小国が 外国勢に勝てるものか!
 浅はかな感情だけで、攘夷だ攘夷だとさわぐのは、しょせん、だだっこのたわごとだ!」

「…隊長…!」

 まったくもって そのとおりだが…
 口に出して言うべきではない!少なくとも、人前では!

「…それで…多少なりと 事情を知っている 私を…。」

 『やんごとなきお方』にはあえぬまでも、下あたりの方々を説得にきたというわけか…。

「なるほど。それは 理解できた。お役目、まことにご苦労。」

「ありがとうございます」

「だが…その大事なご使者が、今 なぜ このようなところに?」

「…そちらに控えます…少年…は、私どもの遠縁に当たります。」

 真吾という男が ちらりと 先ほど入隊が許されたばかりの 美少年をみやる。

「こちらの狼士組は、松平様の肝いりで結成された いわゆる京警護の最前線部隊。
 身元を保証する者がおらねば、入隊もかなうまいと存じまして…。」


「後見人…と いうことか…。」

「…はっ」

「…勝負が終わるまで 影にひそんでおいでとは…」

 我知らず、つい皮肉な口調になる。
 
「後見人殿は、あまり こちらの少年の力量を信じておられなかったようだ。」

「…!」 

「無理もございません。」

 唐突に、涼やかな声が割り込んだ。

「遠縁も遠縁…ほとんどお会いしたこともございません。
 私の剣の腕など ご存じないのは当然でございます。」


 にっこり ほほえんだ その笑顔のあでやかさに ふとひきこまれるものを感じた。

「…どうしても…狼士隊に入りたいという 私の切なる思いを…慈悲深くも…かなえようと
 して…くださっただけ…です…橘様も…真吾…様も…。」

 
一転して 何かに耐えるような切ない表情になった少年に
 若い男は 気遣うような眼を向ける。

「…ま、薫殿!」

 …? 
 なんなんだ?この男?

 あまり会ったことのない遠縁…?

 …と いう わりには…。

「そういえば まだ名を聞いてなかったな…。」

 唐沢隊長が ぼそっとつぶやいた。

「おまえ…名は…?」

「桜木 薫と申します。」

 すっと顔をあげて 美少年は 凛と声を張り上げた。





 
「惜しいなぁ~。あれで男とは!」

 執務室に戻って 俺と二人になったとたん
 隊長は とんでもないことを 言い出した。

「女だったら もろ 俺好みの 美少女なのになぁ…ああ もったいない!」

「…隊長…」

「あ~。でも あんだけ美形なら…このさい…男でも…」

「隊長!!!」

 …これさえなければ…!
 尊敬して止まない 大人物なんだが!

「なんだよぉ。いいじゃないか ささやかに想像するくらい。
 おまえだって 内心 そう思ったろ?」

「…お、思うわけないでしょう!!」

 そりゃあ…
 …確かに

 相当な美形だということは 認めるが!!

「それにしても かなりな過保護だな…あの後見殿は…」

「…そうですね…」

「わざわざ この詰め所の近くに 下屋敷まで用意して どうしても そこから 
通わせるって きかないんだからな!」

「よく 了承なさいましたね。隊長。」

 どんな身分・地位であろうが 新参者は大部屋でごろ寝が決まりだ。

「…隊の風紀を守るためだ…」

「…は?」

「あんなのが すぐ隣に寝てたら、寝ぼけたヤツが うっかり勘違いしかねない…。」

「…なっ…。」

 なんてこというんだ!?この人は!!

「そうでなくても もてない奴らのあつまりだからなー、うちは。お前以外は。」

 しっかり皮肉を言うのが いやみったらしい。

「後見人殿も それを心配されたんだろうよ…、どうやら あの少年に並々ならぬ
 お心を お持ちのようだしな。」

「え…。」

「まあ、うちには 頼もしい戦力が加わった。それだけのことだ。」

 ごろりと寝ころんだ隊長の声は すでに半分眠りに入っている。

「はい」

 と 答える間もなく ぐぅぐぅ いびきをかきはじめた隊長に着物をかけて退出した。

 縁側から中庭に降りる。
 冴えた涼やかな空気の中に 金木犀の香がまじる。

 手に残るかすかなしびれとともに
 先ほどの薫という美少年の面影がよぎった。

 軽んじたわけではなかった…絶対に…。

 だが
 予想以上に 手強かった。

 力でも持久力でも 負けてはいなかったのに…。

 打つ手打つ手すべて よまれきっているかのように 軽く流されて…!

 初めてだ!
 小半時も打ち合って 勝てなかった経験など! 

 あの…少年!
 女のような…まだ子どもといっていい見かけで!!

 風にそよぐ青柳のように さやかで優雅な身のこなし

 ほほを紅潮させて かすかに息づかいを乱す その様子は どこか色香が… 

 …!

 ちょっと…待て!

 何…を…。
 
 何を考えた!?

 今!俺は!!

 刀を置いて あわてて井戸に駆け寄り 頭から水をかぶった。

 2杯3杯と 重ねる。

 士道不覚悟!

 冗談じゃない!俺は 隊長とは違うんだ!!

 かけらも持っちゃいないからな!
 よこしまな気持ちなど!!これっぽっちも!! 


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