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「松蓮聖戦」
第5章 仙友浄友

龍田姫が色付かせる山々(side:K)【仙友浄友 №50】

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龍田姫が色付かせる山々(side:K)【仙友浄友 №50】





 ほてる手を 流れる水の下に置く。

 秋の水は 水道を通しても 冷たい。

 京都の秋は ほんとうに しんしんと冷たい。

 人気のない教室で
 しんしんと冷える中 居残ったことがあった。

「京子ちゃん…どうして 書けないの…?作文 すごく得意なのに。」

 小学校3年生の頃…担任の若い女の先生が 困ったように言った。

 もうすぐ 日も沈もうかという時間
 時間中にできてなくて 居残りさせられていた 他の子達は とっくに帰った。

 どうしても 書けなかった…私だけ…。

 『わたしの家族』っていう題…の作文。

「京子ちゃんには 素敵なお母様が いらっしゃるじゃない!」

「…。」

 私に 父親がいないことは 先刻承知なので、先生は『母親』を強調する。

 外面がいい母は、参観日や家庭訪問では「良き母」を演じてた。

「さぞ お母様のこと尊敬してるんでしょう?すごく知的で綺麗な方だもの!
 京子ちゃん お母様のこと 大好きよね?」

「…。」

 だから
 先生は なにも ご存じなかった…。

「お母様だって 京子ちゃんのこと すごく愛してらっしゃるわよ。
 だって 京子ちゃんは 賢くて素直で いい子だものね。」

「…。」

 そうでなきゃ
 だめなんです…先生

 そうじゃなきゃ
 置いてもらえないんです…私…。

 家に…。

「先生!!」

 突然 荒っぽい足音とともに 男の子の声が割り込んできた。

「あんまり帰りが遅いって うちの親が騒いでるんだ!キョーコ 連れ帰っていいか!?」

 ショーちゃん!?

「…そうね…いいわ。宿題にしましょう。」

 先生は、優しくほほえんだ。

「京子ちゃんは、幸せね。お母様だけでなく、松太郎君の親御さんにも 愛されて。」

「…!」

「…行くぞ!キョーコ!!」

 ぐいっと ショーちゃんが 手をひく。強引に教室から引き出された。

「ショーちゃん!先生に 挨拶してない…!」

「いいんだ!あんなやつ!」

「ショーちゃん?」

 若くて綺麗な先生で ショーちゃんの大好きなタイプなのに。

「ふだん…作文得意で 賞いっぱいとってる おまえが 一文字も書けないの…ヘンだと
 思っていいはずだ!『先生』ならな!!」


 真っ赤な顔で ぐいぐいとひっぱっていくその力が あんまり痛くて…

 目に涙が浮かびそうになるのを 必死にこらえた。

「帰ったら オレが書いてやる!てきとーにな!」

 泣いちゃだめ!
 泣いたら ショーちゃんが 困る…!

 涙がこぼれないように 見上げた空には
 山の向こうに沈もうとする夕日が 名残おしげに 茜色の光を放っていた。





「…キョーコ…」

 …!

「ショ、ショー!な、なに?」

「あんまり遅いって 二人が騒ぐんでな…。」

「そ、そうよね ごめんなさい」

 あわてて 流水から 手を抜く。
 軽いやけどの熱さなんかとっくに冷めて むしろ かじかんで寒いくらいだ!

 すっと ショーに やけどしてないほうの手を握られた。

「ちょっ…なに!」

「少なくとも…おまえは ダメにされてない…。」

「…え?」

「オレやあいつらみたいに 人に迷惑かけるようなバカには なってない!」

「…!」

「おまえは ちゃんと 自分で自分を育ててる!」

「…ショー…」

「もどるぞ。やつらまで 探しに来る。」

 痛いほど手を握られて 強引に引っ張って行かれる。

 熱くなってきた目頭を あわてて上に向ける。

 高い窓の向こうには 赤や黄色に彩られた山が 月明かりの下で 輝いていた。








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