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「松蓮聖戦」
第5章 仙友浄友

冬めく空(side:仁志 in『埋み火』 第11話)【仙友浄友 №52】

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冬めく空(side:仁志 in『埋み火』 第11話)【仙友浄友 №52】



 こほんと乾いた咳払いの後に ふすまの向こうから 遠慮がちな声が響いた。

「失礼致します。副長殿!」

 俺の頭を膝から外して
あわてて立ち上がりかけた舞の動きを 右手で制した。

「どうした?」

彼女の膝を枕にしたまま答える。

「桜木に 江戸から便りが届いておりまして…。」

 根岸は ふすまごしに 言葉を続ける。

「早飛脚ですし…急いで見せた方がいいかと…」

 早飛脚?
 舞を 見上げる。

 色白の顔が こくりと うなずいた。

 彼女の膝から頭を離して起き上がる。

 彼女が つと立っていき、差し金を外して ふすまを開けた。

「…申し訳ございません…おじゃまをして…」

 根岸の恐縮げな声に いささか複雑な気持ちになる。

 我々が わりない関係になったことは 知られているようだが…
 というより それとなく 知らせてきたが…(虫除けに!)

 奴ら 彼女のことは 男と思ってるわけだから…。

 こいつらの胸の内では さぞや 俺のこと 変人奇人と…。

「ありがとうございます。根岸様」

「い、いえ。この程度のこと…」

 ほほえんで礼を言う彼女に 根岸がほほを赤らめて答えている…。

 いや!
 『変人』と思われてる方が まだましだ!

 さては、
 さては うらやんでるな!?こいつ!!おそらく(間違いなく)他の奴らも!

 最近の彼女は ますます艶めいて
 清楚な色香をただよわせていて…惹きつけて止まない魔力さえ感じる。

「おーおー。あえて 茨の道を選んだか…」

 真っ先に 俺達の仲を見抜いた隊長が からかいまじりに言ったものだ。

「後見殿が 京に お戻りになったら…どうなるかなぁ…。」

「いざとなれば、この刀にかけて…」

「よせ」

 隊長が真顔で止めた。

「あの後見殿、イギリスばかりかロシアの言葉までも 自在にあやつれるというじゃないか。
これからの日本には欠かせない有用な人材、ムダにあやめるな。」

 そう…。

 ああ見えて…実は ヤツは 通詞の世界では 五指に入る かなりの実力者のようで…。

 あのいざこざがあった夜。
 切迫した呼び出しを受けて、ヤツは急遽 江戸に戻るほかなかった。

 さる藩の大名行列の前を ロシア人が横切ったのを怒った藩士が問答無用で斬りつける
 …という大事件が発生した。

 危うくロシアと一触即発で交戦の危機…を 何とか避けようという必死の外交交渉に
 ヤツの語学力が 絶対に必要だったようだ。

「…?舞?どうした!?」

 早速 便りを開いて読んでいた 彼女の顔が蒼白になっている! 

「し、真吾様が…首尾良く 交渉を終えられて…。」

「京に戻ってくる…か。いつ?」

「あ、明後日には…。」

 動揺もあらわに 舞の細く白い手が震えている。

「俺があいつと話す。おまえは、一切 やつと関わる必要はない。」

 そのきゃしゃな体を抱きしめて、その耳に言い聞かせた。

「あ、あのかたに 害を及ぼすようなことは…」

「そこまで 無法者じゃないつもりだ。ちゃんと丁重に許しをこうさ。」

「…許しをこわねばならないのは、私です。私が…ちゃんと お話を…」

「だめだ!ヤツとは会うな!!絶対に!!」

「な、なぜです?」

「あいつが そう簡単に おまえをあきらめるはずがない。未練をつのらせるだけだ。」

 目の前に その姿を見ていたら なおさらな!

「で、ですが…父が交わした約束…私が 勝手に…」

 舞が 辛そうにつぶやく。

「あ、あの方には 何の罪もないのに…とても よくしていただいたのに…恩知らずに…」

「…あいつに 未練があるのか?」

「…っ!」

 きっと顔を上げて 彼女が俺をにらみつけた。

「本気で、そうおっしゃったなら 私たちのことは 一切なかったことといたしましょう!」

 そのほほは 怒りに燃えて 真っ赤だ。

「わ、悪かった!」

 あわてて わびる。

「わ、私が どのような思いで…」ぽろぽろと 彼女が泣き始めた。

「真吾様に申し訳ないと 思いながら…でも あなたに惹かれる心をどうすることもできず…。
あれほど苦しんだのに…。」


 泣きじゃくる彼女に 愛しさがつのる。

「すまなかった。二度と言わない。」ぎゅっと その体を抱きしめた。

「ありがとう…それほど苦しみながらも…俺の想いを受け入れてくれて…。」
「仁志様…」

 その愛らしい唇に そっと口づける。
 紅など さしていなくとも ほのかに色づいた唇のなんとやわらかく甘いことか。

 ― たたたたたたっ ―

「副長!」

 足音が近付いたかと思うまもなく ぱたーんとふすまが開く。

「し、失礼!」

 すぐに 再び ふすまが閉じられた。

「…いや…火急のことだろ?報告しろ。」

 真っ赤になった彼女を控えの間(俺の付き人…という 名目で彼女に用意した部屋だ。
 もっとも寝るときは 常に俺の寝間だが!)に 去らせてから、声をかける。

「…は!」

 それでも ふすまを開けないまま 根岸が答える。

「さ、先の桜田門外の変にて 佐倉大老を手にかけし奴らの残党が見つかった由。」

 …!

 ぱたん!

 舞が 控えの間から 顔色を変えて飛び出してきた。

「入れ!詳しく 報告しろ!」

 彼女の仇!
 男の姿になってまで 追い求めてきた仇敵が…

 見つかったか!ようやく!!








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