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「松蓮聖戦」
間章 分水嶺

立冬(side:R)【分水嶺 №1】

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立冬(side:R)【分水嶺 №1】


「ですが…ヴァイオリンは私の命!右手を切断して 弾けなくなるぐらいなら!」

「命があってこそですよ…。あなたの音楽を愛する想いを伝える手段はいくらでもあります。」



「佐藤先生!」

 看護師の声に、回想が中断する。

「梶谷さんのご遺品…ですか…。」

「ああ…」

「ご立派な方でしたよね…」若い看護師が涙ぐむ。

「名ヴァイオリニストだっったのに 右腕切断して…普通なら 自暴自棄になってしまうのに…。」

 遺品の中から クラリネットを そっと持ち上げた。
 
 残された片手一本で演奏できるよう改造された 特製クラリネット…。

「これで…みごとに 演奏できるようになられていたんですもの…!」

「そのクラリネットで…梶谷さんが演奏されたテープも 残されてた…一緒に聴くかい?」

「ええ!ぜひ!!」

 さっそく テープデッキで 再生する。

 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲…。

 i腫瘍に冒された彼の右手を切断手術する前日、
 病院のロビーで急遽行ったコンサートで ラストに弾いた曲。
 彼が ヴァイオリンで 奏でた 最後の曲。

「先生のおかげで また新たな音楽の喜びが味わえました。
 感謝の思いをこめて演奏します。これが 正真正銘 私の最期の演奏です。」

 テープに添えられていたメモ。梶谷さんらしい 几帳面な文字だった。

 メンデルスゾーンの明るくきらびやかなメロディが 見事なクラリネットの音で 流れる。

 窓の外の星も ひときわ 明るく瞬いていた。

                            『片手の音』 ”チェロと旅”より











「お疲れ様でした。」

「敦賀君、すごくよかったよー、お疲れ様ー。またよろしく。」

「ありがとうございます。また、ぜひ よろしくお願いいたします。」

 にっこり ほほえんで 関係者全員に 丁寧に挨拶して控え室に戻ってきた。

 ふう…。

 無事 2時間スペシャルドラマの撮りが終わった。

 実話を元にした 人情に篤い医師のドラマ。

 専門用語は難しいが やりがいのある仕事だった。

 私服に着替えて メイクを落として 一息つくうち 妙なことに気づく

 社さんが こない…。

 ちょっと席を外してるだけなんだろうと 思っていたのに…。

 俺が戻って もう 30分はたつ…。

 この後、生のバラエティ番組収録があるのに…。

 まあ、同じ局で、移動の必要もないのが ありがたいが…。

 終了予定時刻が 23時…。今夜は、まだ早いほうか…。

 帰っても、最上さんがいないんだから、どうでもいいんだが…。

 ― バッッターーーーーン!! ―

 突如
 すさまじい勢いで ドアが開いた。

「れ、蓮…!」

「どっ、どうされたんですか!?社さん!お顔が真っ青ですよ!」

「うそだろー!?」「それで!現地の様子は!」「まだ 確かな情報が 全然…!」

 社さんの背後の廊下を 足早に 血相変えて 人々が 走っていく。

 …!?

 何事だ…!?

「敦賀さん!」

 次の番組のプロデューサーが 勢いよく駆け込んできた。

「すみません!各局とも…緊急報道特番にきりかえて…今日の放映中止です。
 今後のことは おって連絡させて頂きますから!」

「え?あ、はい…。」

 その勢いにおされて 訳の分からないまま うなずく。
 ソレを確認するや 「すみません!ほんとに!」と 繰り返しあやまって彼は出て行った。
 
「…緊急って…いったい…」

 ただごとじゃない!

「れ、蓮っ!」

 真っ青になって硬直していた 社さんが 必死に声を絞り出した。

「きょ、京子ちゃん…い、今 ロケしてるの…い、い、出雲…だった…よな…?」

「…?え、ええ。休憩の時、ちょうど 話したんですが 順調に進んでると」
「話したのか!?いつ?!何時何分だ!?それ!!」

「…え、あ、あの…」

 急いで 携帯の発信歴を見る。
 曖昧な答えではすまない 気迫を感じて!

「15:43です。ほんの5分ほど…。」

 とたんに 社さんが 目の前でがくりと膝をついた。

「社さん!いったい、どうしたんです!?さっきから!!」

「…今日…16:45。山陰地方一帯に M6の地震が発生して…
 震源地が…出雲から 3km離れた沖の海底だったんだ。」

 …え?

 今…17:32…!

 あわてて 最上さんの番号を押す!
 
「おかけになった電話は…」

 無機質な声が響くだけだった。何度 かけても!
 
「ひ、被害状態は まだ 把握できてないんだけど…撮影隊の誰とも 連絡とれなくて!」

「行きます。直接」

「れ、蓮!?」

「ヘリコプターで 行きます!すぐに!」

「お、おい!蓮!」

 被害…?

 あるわけない!そんなもの!

 無事だ 無事に決まってる!
 俺は それを確かめに行くだけだ!

 ただ…それだけだ!!








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