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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

焼き芋派と肉まん派(side:S)【絶えずの炎 №9】

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焼き芋派と肉まん派(side:S)【絶えずの炎 №9】





  ― 2007年 11月10日 AM10:00 ―

「お、おいしいー!これぞ冬の醍醐味よね!」

「…そんなに食うと太るぞ。かりにも、女優だろうが!」

「そんなの、俗説!お芋は食物繊維たっぷりだから、かえって体にいいの!」

「だからって…3個…ってのは…。」

「肉まん5個目食べてる人に言われたくないわね!」

 ちろりとオレの手元見ながら キョーコが言い放つ。

「そうだね。カロリーとしては そっちのほうが 高いと思うけど?」

 すっと 耳障りな声が割り込んできた。

「ですよね!敦賀さんも 焼き芋派ですよね!」

「…ま、まあ。どっちかというと…そう…かな。」

「じゃ、召し上がってください!これ!」

 キョーコが新聞紙で作った袋にくるまれている焼き芋を差し出す。

「あ、ありがとう…で、でも 君の好物なんだし…とっておくといい。
 今度は、いつ、売りに来るかわからないだろ?」


 そう。

 オレの付き添いで病室の中にいたキョーコが 突然 ぴくりと 聞き耳立てたかと思うと
 財布を握って、脱兎のごとく走り出ていった。

 残されたオレと敦賀がなんのことかわからず とまどっていると、
 ほどなく「石焼きいもぉ~ いもぉ~」の売り声がかすかに響いてきた。

 …どういう耳してるんだ!いったい!

 それとも 女ってのは こういう方面には 特殊な聴力 発揮するのか?!

 しっかり オレ用に(芋が苦手で、肉まん好きってのは 当然 知られてる)肉まんも
 売店で買ってきてくれた気遣いはありがたいが…。

「焼き芋ほおばる色男っていうのも 味なものですよ。記念写真 撮りたいくらいだ。」

 でもって、ゴシップ誌に高く売りつけてやる!
 
「そう?じゃ 俺は 肉まん 5個あっというまにたいらげる アイドルの写真
 撮らせていただこうかな。ファンのかたが、大喜びしそうだ。」


 こ、この野郎!!

 ぴきんと 俺とヤツの間に 氷柱が立った。

「…そうですよね…敦賀さんに 焼き芋なんか 似合いませんよね…わたしったら…。」

 しゅんとした キョーコの声が 一瞬で冷気を霧散させた。

「そ、そんなことないよ!最上さん!すごくおいしそうだ!」

 焦ったヤツが、必死にフォローする。

「君さえいいなら 喜んで頂くよ。」

「本当ですか?じゃあ、はい!これ、どうぞ!まるまるしておいしそうでしょ?」

「ああ。ころんとしてかわいいね。」

 ちゃっかりしっかり
 キョーコの腰掛けてるソファーの横に陣取って
 ヤツが いわれるがままに 焼き芋をほおばっている。

 「手でちぎったりしたら、うまみが薄れます!」というキョーコのいいなりになって…。

「うん!おいしい!こういう食べ方 初めてだけど!甘くてほくほく柔らかくて!!」
「でしょう?冬は これに限ります!」

 もはや、オレのことは、眼中にない。

 ため息ついて、茶を飲もうと 急須に手を伸ばした。

「あ。ごめん!今、お茶入れるから。」

 間髪入れず キョーコの声が飛んできた。

「熱いお茶も 冬の醍醐味だものね!」

 にっこりほほえんで、ポットからやかんに湯をとる。

「ちょっと、わかして来ます」 


 さっさと 病室から出て行く。

 同じ階にある給湯室備え付けのコンロでわかすつもりなんだろう。

 ヤツがさっと立って 水道水をポットに補充する。

 そのコンビネーションの良さに むかついた。
 こうやって 二人して 協力し合いながら 同居してるんだろうと思ったら!

 …オレが…キョーコと 同居してたときは…こんな気遣いしてやらなかった…。全然!

 苦い思いかみしめてるオレの耳に ぼそっと届いた小さな声。
 
「ポットのお湯 そのまま注げばいいのに…。」

「それじゃあ 微妙なお茶のうまみ 引き出せないんでね。」

 些少ではあるが、茶道をやらされていた経験がある。
 いったん沸騰させた後、適温に冷ますほうがうまいのだ。

「ここには、茶道具一式も置いてるから 抹茶たててくれようとしてるはずだし。」 

「茶…道具…?」

「茶筅やら ふくさやら 懐紙やら…キョーコが介護するなら きっと要るはずだって 
 おふくろが…。」


 …?

 ヤツがなにやら 青ざめている。

「チャセン…フクサ…カイシ…」

 ぶつぶつ つぶやきながら 何事か考え込む気配…。

「まさか…『知らない』なんて…こと…。」

「そっ、そんなこと あるわけないだろう!!」

 即 否定の言葉が 返ってきて…確信した。

 ふっ

「…そんなことじゃあ キョーコと 話 合いそうにないですよね。」

「なっ!」

「あいつの趣味は 純和風ですよ。華道、香道、茶道、日本舞踊、琴…
 どれか一つでも 話題 あわせること できますか?敦賀さん。」 


「…っ!」

「合わせられますよ…オレなら。」

 どれでも…全部…な!

 暦は まだ11月。

 でも…
 窓の外に鳴る風は 
 木を枯らす冷たい音をたてていた。


 




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