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「『恋だの愛だの』」
Ⅱ アリアドネの糸

【35】知る者は言わず 言う者は知らず

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知る者は言わず 言う者は知らず 

【物事を深くよく理解している人は、そのことを軽々しく口に出さないが、
 本当のことをよく分かっていない人にかぎって、よくしゃべるものなのです】


「…あのさぁ…椿君…」

「ん?」

「やっぱ…私 場違いじゃない?」

「何 言ってんだ。
 おまえが 一番の功労者だろう、来なくてどうする!」

「や、でも、それ 対外超極秘事項でしょ?絶対 浮くって!」

「いいだろ、発明者の息子の友人だ」

「不自然だって!
 企業の新製品披露パーティなんてね!
 普通 業界の人しか 来ないものなの!」 

「安心しろ。今夜の会は、社長主催で
 社員みんなの労をねぎらいたいって触れ込みで
 社員の家族も招待してる大掛かりなヤツにしたそうだから」

「…へ?」

「ほら いいから 柊さんの指示 聞けよ!」

「…う」

「では、進行を確認しますね、まず…」

 進行役の柊さんが
 メモを片手に タイムスケジュールを読み上げていく。 

「…で、ここで 社長から
『アリアドネの糸』開発責任者として 椿部長を ご紹介しますので…」

「マイクの前に行って、ご来場の皆様に お礼を申し上げればいいんだな?」

「はい、お願いします!」

 柊さんが 親父の言葉にうなずいた。

「で、その後で 椿部長を支えた存在…という前フリで ご家族と苗床様をご紹介しますので…」

「ちょ、ちょっと待ってください!!」

 苗床が ぱしっと ストップをかける。

「私は 関係ないですから!壁のすみに立ってます!紹介なんてなしにしてください!!」

「…え?いえ…でも、社長が『絶対 苗床様のご紹介を 忘れるな』と…」

「な、なんで!?」

 バカか!
 
 背後で
 親父とお袋は苦笑し 姉貴は呆れている。

 社長にだけは
 今回の買収阻止の立役者が 誰だったか報告してあるのだ。

 自分の社を救ってくれた大恩人に 社長は ものすごく感謝し
 KKの報復を懸念して 大々的に披露できないのを いたく気にやんでるらしい。

「そりゃあ!当然でしょう!?」

 ん!?

 まさか
 こんな下っ端まで 苗床のこと…!?

 柊さんの言葉に
 うちの家族も 瞬時に 真っ青になった。

「なんたって 苗床様は 椿部長の息子さんのフィアンセなんですから!!」

 …は…?

「…あ…!」

 今度は 苗床が 真っ青になる。

 …なんだって…!?

「皆さんにも その旨 大々的に ご紹介しますね!」

 ぴしっと 固まった空気を 全く 読まずに 柊さんは 話を続ける。

「皆さんは 僕の言葉で立ち上がって
 お名前を読み上げるたびに 一歩前に出て 御辞儀してくださるだけで結構ですので」 

 ひとり にこにこと 上機嫌だ。
 
「あとは どうぞ 会場内の お食事とお飲み物 楽しまれてください!」
 
 そう言うと ぱたんと 進行メモを 閉じた。

「何か ご質問は?」

「あ、あの!柊さん!」

 即 苗床が 必死な顔で 前に出てきた。

「ごめんなさい!フィアンセなんていうのは…真っ赤な」

「ありがとうございました、柊さん。早速 支度しますので」

 ぐいっと 苗床の体 抱きしめ 微笑んでみせる。

「ははは 仲むつまじくていいねぇ、お幸せにね」

 ほほえましそうに 俺たちを見つめて 柊さんは出て行った。

「…フィアンセ…?!」「ハ、ハル君!?」

「…あなた いつのまに…!?」

「違うんです!ごめんなさい!!」

 呆然とした親父たちの声に 苗床が 悲壮な声を振り絞る




「…というわけで…!
 情報 聞き出すために その場限りのでまかせを!!」

「…なんだ…そうか…」

「どうりで 話がうますぎると思ったわ…」

「ほんと グズよね、ハル君ってば!」

「…はい?」

「…ああ、いや…」

「ほほほ なんでもないの」

「こっちの話!」

「ホント すみません!私 今から 柊さんとこ行ってお詫びと訂正…」

 くりんとドアに向かい
 飛び出そうな苗床の首根っこつまみあげる。

「待て、苗床!」

「椿君!?だって!このままじゃあ 誤解されたままだよ!?」

「いいじゃねーか、別に」

「はぁ!?」

「そうよねぇ」「いいんじゃないかしら」

「気にすることありません。たかが 零細企業の新製品発表会です」  

「そ…そんな!」

「あのな こんな直前になって
 ごちゃごちゃ 訂正させたら 柊さん パニック起こすぞ?」

「そうだなぁ 彼は 神経細かくて 気が小さいし」

「見るからに 緊張して コチンコチンでしたものねぇ」

 しれっと嘘を吐く 親父とお袋
 さすが 夫唱婦随 コンビネーションばっちりだ

「…へ?あ、あの 全然 そういうふうには…」

「ほら、もういいから!
 かのちゃんには、他に やるべきことあるでしょ?!」

「叶美お姉さま…?」

「あと1時間よ!急いで着付けとメークしなきゃ!」

 姉貴が ぐいっと 苗床の腕を引っ張る。

「は?」

 とまどったような 苗床の声 

「ハル君のタキシードは パパに預けてるから!」

「ああ、サンキュ。苗床のこと 頼むな」

「任せてよ!」

 らんらんと目を輝かせて 姉貴が請け負った。

「ま、待ってくださいー!なんで私がぁ…」

 苗床の悲鳴が 廊下の向こうに消えていった。

「やれやれ ぬか喜びだったか」

「初流ったら 意外にだらしないのねぇ」

 うっ!

「ま、今日一日だけでも フィアンセとして紹介できるんだから
 思いもかけない幸せだな」

「どうせなら ほんとにしてよね、初流」

「…わかってるよ!」

 両親の容赦ないつっこみには ぐさぐさくるが…
 どうしても 顔は緩んでくる

 その場のでまかせでも
 苦し紛れのいいわけでも

 あいつの口から 俺をフィアンセだと 語ってくれたかと 思うと… 

 ただ それだけで
 すごく幸せな気分になる俺って

 もしかして どこか 壊れかけてるんだろうか 


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