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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

氷花(side:精司 in 『氷花』 第1場)【絶えずの炎 №17】

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氷花(side:精司 in 『氷花』 第1場)【絶えずの炎 №17】






…カツン

カツン…

カツン

 暗闇の中
 自分の足音だけが やけに大きく響く。

   ひゅぅぅうううううううううぅぅぅぅぅ~

 窓の外に吹く風は いかにも寒々しい。

「…お待たせしました。」

「な、直りそう…なのっ!?この…停電…!」

 ヒステリックな女の声が返ってくる。

「あいにくですが…。」

 相変わらずの闇の中、声の方に向かって 答える。

「ブレーカーではなく 大元の電圧自体が この吹雪でどうにかなったようで…。」

 手探りに 中央にあるテーブルのシガレットケースからライターを取り出す。

「私の手では どうにもなりません。電力会社頼みですが。」

 持っていたろうそくに 明かりをともした。

「こんな吹雪の時に、大事な社員を派遣するとは思えませんね。」

 ぽわっ

 あたりが ほんの少し明るくなった。

「…ああ、もう!ついてないったら!!」

 いらだたしげに吐き捨てて 女は ソファーにどんっともたれた。

 長い黒髪のなかなかの美女…では あるが
 性格の方は 見かけとは反比例しているようだ。

 ― こんこんこん ―

 すさまじい風の音にまじって、ささやかなノックが響く。

「おや。また、迷い人でしょうか…。」

 ろうそくを持って 立ち上がる。

「ちょっと!!」

 とたんに
 女がかみついた!

「か弱い女 こんな暗闇に 一人にしておく気!?
 ろうそくは置いていきなさいよ!」
 
「…失礼。気がききませんで…。」

 言われるがまま ろうそくを置いて ドアに向かう。

「…た、助かった!」

 ドアを開けたとたんに
 雪まみれの男が転がり込んできた。








「稲佐の浜に向かってたはずなのに…いつのまにか 周囲が山で!車ごと滑り落ちて!」

 若い男は 左手骨折の大けがだった。

 即席で副え木を当てて固定させ、三角巾でつるす。

「私もよ!もう!わけがわかんない!!」

 女が自分の足首を示す。
 彼女の方は 右足首ねんざだ。

「防寒着も充分じゃないし…凍え死ぬかと思いました!助かりました!
 あなたは 命の恩人です!」


 軽薄そうな外見に似合わず 礼儀は心得てるらしい。
 若者は ぺこりと頭を下げた。

「いえいえ。たまたま ここに私の別荘があってよかった。部屋はたっぷりあります。
 どうぞごゆっくり。この天気さえ治まれば…私の車で…。」


「携帯電話も通じないなんて!どんな田舎よ!ホントに!!」

「…ホントだ…『圏外』だ。おかしいな。」

 若い男が、自分のを見ながら、不思議そうに言う。

「自慢じゃないが オレの携帯は、衛星電波。世界中 どこいったって通じるはずなのに!」

「おそらく この吹雪で 電波が阻害されてるのでしょう。焦っても仕方ありませんよ。」

 にっこりほほえんで 彼らに熱いココアを差し出す。

「す、すみません。そう言えば 貴男のお名前…。」

「精司。氷室(ひむろ)精司と申します。」

「氷室さん!TVは無理としても、ラジオくらいないの!?ここ!」

「すみません…電気が来ないと…どちらも、使用不可です。
 でも、食料は、買い置きが たくさんあります。
 最悪 3日間くらいは 閉じこめられても…。」


「ジョーダンじゃないわ!私は 明後日、出雲大社でステージがあるのよっ!」

「…ほぉ?…ってことは…同業者…ですか?」

「あら。あなたも?」

「リンクスプロダクション 志賀慶彦です。」

「私は、ファータム。観月 唯。」

「…失礼。世間知らずなもので…お二方は 歌手かなにかで?」

「モデルですよ。」ふぅっと 男が溜息をはく。

「出雲大社特設ステージで古代をテーマにしたファッションショーが行われるんですが…。」

「明日の昼には リハーサルがあるのに!!」

「なるほど。ですが…観月さん 志賀君 そのけがじゃ 間に合っても 舞台には…。」

「歩くわよ!根性で!たとえ、どいなかのへぼいショーでも!
 いったん受けた仕事 ドタキャンなんかしたら、今までの名声が パーだわ!
 ここまでくるのに 私がどんなに苦労したと思うの!!」

「幸い 古代がテーマの衣裳で、体の線は隠れますからね。
 オレも 副え木でしばりつけてでも 舞台には立ちますよ、絶対に。」


「…見上げた根性ですね…。」


 ごぉぉおおおおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおお~

 風の音は 一段と激しさを増している。

「だが 何はともあれ まず体力でしょう?何か お食事を用意してきましょう。」

「あ、す、すみません!ご迷惑ばかり!」

「…どうも…。」

 若い男は 恐縮げに
 若い女は しぶしぶ言う礼に ほほえみ返して 応接室を出る。

 応接室のドアを閉め、台所に向かう道すがら…。

 …ふっ。

 思わず
 笑みが漏れる。

「…生きのいい 若いのが 二人…か。」

 今 出たばかりの 応接室を振り返ってひとりごちる。

「なかなか…
 楽しい夜になりそうじゃないか…。」


 ひゅおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~

 窓の外では
 吹雪の音が 一段と激しさを増してきた。




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