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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 序章1』(side:楓)【絶えずの炎 №33】

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『出雲物語 序章1』(side:楓)【絶えずの炎 №33】





 いづれの御時にか 女御 更衣 あまた さぶらいたまひけるなかに
 いとやんごとなき際にはあらぬが すぐれてときめきたまふありけり



「あ!?」

 先触れの女房が 大声を上げる。

「何事です!?はしたない!」

「も、申しわけありません!ですが!入り口が!鍵がかかっております!これでは…」

「なんですって!?」

 あわてて走り寄り、がたがたっと揺らす。
 まるで開く気配がない!向こうから しっかりさしぬきが はめ込まれたらしい。

「そんな!帝のお召しで…お渡りになられようというこの時に!何者が…!」

「開かないものは 仕方ないでしょう。道は 他にもあります。」

 あわてふためく私たちに 涼やかなお声がかかった。

 穏やかなお声の主は 私がお仕えしているお方。
 はかなくも愛らしい まだ…少女といったほうがいいような…とても 優しいお方だ。

 私たちに向かって 淋しげに ほほえんでらっしゃる。

「…玉藻さま…!」

「き、きっと ほかの女御方の仕業ですわ!」

「帝のご寵愛を うらやんで!」

「そのようなこと 軽々しく 口にするものではありません。戻りましょう」

「「「は、はい」」」

 しぶしぶ 一行は 元来た道を引き返す。

 ところが

「玉藻様!!こちらの戸も!しめ切られております!」

「え!?」

 さきほど 通ってきたばかりの道…だ。

 閉じこめられた
 この…渡殿に…!

 さすがに
 玉藻様が がくりと その場にへたりこんでしまわれた。

「玉藻様!」
 
 たまらず その手をおとりする。
 
「お、おいたわしい!」

「このまえは 廊下中に 汚物がばらまかれておりましたし!」

「よくもこう 次から次へ 嫌がらせを!」

 仕え始めてまだ3月にもならないけれど
 女主人のお人柄に魅了されている女房達3人 思わず涙にくれる。

 ばんばんばんっ!!!

 突如 すさまじい音が さっき引き返した方向から聞こえてきた。

「玉藻!そこにいるのか!?」

 かすかに聞こえる あの…お声は…。

「お、お主上!」

 がたがたん

 玉藻様のお声に 荒々しく戸が開く

「玉藻!」

 端整なお顔立ちの長身の殿方…畏れ多くも今上帝!
 ばたばたばたっと 走り寄って ひしと 玉藻様を抱きしめた。

「あまりにも来るのが遅いから…待ちかねて…迎えに来たら…戸が堅く閉ざされて…」

 その目に めらめらと怒りの炎が燃えておられる。

 戸の後ろに控えていた 近習たちを振り返って 叫ばれた。

「明日の朝、すぐ!後宮中の女ども全員 呼び集めよ!今度という今度こそ許さぬ!
 犯人を暴き出し 追い出してやる!誰であろうと!!」


「「「はっ!」」」

「お。お主上…」

「かわいそうに…心細かったろう…。」

 さっと 帝は 玉藻様を抱き上げられた。

 そのまま ご自分の寝所に連れて行かれる。

「すまぬ。私の方が…行けばよかったのだ。」

 改めて お優しく抱きしめられた。

「と、とんでもございません!そのような 畏れ多い!」

 それこそ 前代未聞!
 ただでさえ 針のむしろの後宮。なんと非難されることか!

「…失礼致します…。お主上。皆様方に 明朝 大広間に集まって頂くよう お伝え申しました」

 近習の一人が 遠慮がちに声をかける。

「ですが…!正直に白状するとは思えません!」

 僭越ながら 口をはさませていただく。

 あんな卑劣なことするヤツ(ら?)なんだもの!

 今日が最初じゃないのだ。
 汚物をまかれる 御簾を切り刻まれる 物を隠される

 およそ 嫌がらせという嫌がらせは 存分にあじあわされてる!

 ああゆう方だから
 寂しくほほえんで いつも泣いて耐えるだけなのだ。

「…もし 犯人がわからぬなら…玉藻に仕える者以外 すべてを里に下がらせろ!
 幸い まだ 私の子を成した者も いないのだから!
 充分な結納金与えてやるから どこにでも嫁ぐがいい!」


「…そ、そのような!」

「私には おまえがいればいい。あたら 若く美しい時を
 むなしく朽ち果てさせるより 女達にも そのほうが よほど幸せだろう」


「で、ですが…皆様には…それぞれ…有力な貴族のご後見が!」

「娘を持たぬ貴族とているのだ。彼らには むしろ僥倖だろうよ。」

「いけません!お主上!
 そのようなことなさったら よけいな恨みをお受けになることに!」


 さっと 帝のお腕から逃れ 玉藻様が その場に平伏なさった。

「そ、それよりも どうか 私の宿下がりをお許しくださいませ!
 やはり 場違いだったのです!私のような身分の者が…こんな…!」


 ぽろぽろぽろ その大きなお目から涙がこぼれる

「…真珠のようだ…。」

 帝がそっと ほほに唇を当て
 ぐっと きゃしゃなお体を抱きしめた。

「お。お主上…。」

「…離さない…けして…そなただけは…生涯…!」

「ご、御前…失礼つかまつります…。」

 近習が 小声でささやく声も もはや耳に入らないようだ。
 ほうほうのていで 近習たちが 場を遠ざかっていく中 ささっと周囲に御簾をめぐらせる。

 私たち 玉藻様にお仕えする女房達は
 このお二方の こうゆう場面は もはや この3ヶ月で(いやでも)慣らされてしまってるのだ。
 
 御簾の中
 二つの影が 一つに重なる。

 明かりを消して、私たちも 御前を下がらせていただいた。




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