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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第1章1』(side:玉藻) 【絶えずの炎 №35】

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『出雲物語 第1章1』(side:玉藻) 【絶えずの炎 №35】


「はぁ~。ついてない!畏れ多くも 帝がご参拝に来られるという晴れ舞台に
 出られないなんて!」


「調子に乗って 神馬を乗り回したりするから!神様の罰があたったのよ!」

 折れた左手に副え木と布をあてながら たしなめる。
 いかな 鼓の名手といえど これでは どうしようもない…。

 今日は 他の方の鼓で舞うしかない。

「…こういうときは…優しく慰めるのが おまえの役割だろ?」

「…な!」

 あいてる方の右手で 抱き寄せられるやいなや 唇に口づけが降りる。

「…ん…」
 思わず うっとりしかけて はっと我に返った。

「だ、ダメよ!神聖な奉納の舞の前に!」

「…たかが 口づけ…それ以上は 絶対 許さないくせに…」

「こ、婚姻の儀もあげてないのに!あたりまえでしょう!?神様への冒涜だから!!」

「婚姻の儀…か…。まだ あと半年は無理だな…。
 俺が 一人前の神官になるまでは 親父達が 絶対認めないに決まってる…。」


 千早が溜息をつくのを…複雑な気持ちで 見守る。

「千早が…一人前になったら…おじさま達は きっと いい家のお嬢様を お嫁さんにしたがる…。
 私となんて とんでもないって おっしゃるわよ、きっと。」
 

「な…!なんでだよ!おまえは、小さい頃から うちで!」

「…赤ん坊の頃…拝殿前に捨てられてた 氏も素性もしれない娘…由緒ある この大社の
 名誉ある神官の妻になんてできるわけないじゃない!」
  

「玉藻!」

「…!」

「親父達は 必ず 説き伏せる!信じてくれ!オレを!」

「千早…」

 物心つくときから いつもそばにいて
 いつも 私を見守ってくれた 優しい温かい存在

 …幸せだった。

 両親は居なくても…私は…。



「玉藻」

 …!

「お、お主上」

 あわてて 平伏…しようとするその手を引き寄せられ胸の中に抱きしめられる。

「あ、あの…ご、ご政務…」

 な、なんで こんな昼のさなかに!

「今日は 早めに終えられたのでね。」

 ぱちりと 主上が 扇を鳴らす。

 …!

 今では
 もうこれが なんの合図なのか わかってしまう

 ささっと 女房達が 御簾を私たちの周囲にめぐらし 格子をさげていく。

「逢いたかった…」

 周囲から 人気が去ったとたん ぎゅっと抱きしめられた。

 …ほんの2半刻(5時間)前に し、寝所から退出したばかり…!
 
 なんてこと
 考えるゆうよなぞ もはや 与えてはもらえない

 しっかり抱きしめられた胸の中 熱い手に唇にその体に翻弄される

「玉藻…」

 その熱い声に…うかされる…!






 こほん

 遠慮がちな咳払いに 遠かった意識があがってきた

 どれほど 時がたったのか…

 ゆったりとお座りになっておられる帝の
 その胸の中に しっかり 閉じこめられている

「あ…あの…ゆ、夕餉のお支度 ととのいましてございます。お持ちしても…?」

 楓の声。女房の中でも私が一番頼りにしている とても気の利く女性だ。

「ああ。頼む」

 本来なら
 楓の方が はるかに 私より 身分の高い貴族のお嬢様なのに…。

「玉藻には しっかり栄養をとってもらって 私の子を何人も産んでもらわなくてはね」

 帝は 私のまぶたやほほに口づけながら 優しく 私の髪をなでる。

 すごく嬉しそうで 楽しそうなお声だ。

 格子があがり 御簾がどけられる。
 真上にあった日は もう沈み掛かってて 空が赤い。

 夕餉の膳が 次々に 運ばれてきた。

 それでも
 私を抱きしめる腕の力は まるでゆるまない。

 力を抜いて
 その胸にもたれることにも…最近 やっと慣れてきた。

「少しでも離したら…出雲に飛んで帰られそうで…恐ろしくてならないのだよ」

 最初の内は いたたまれなくて 落ち着かなくて
 身をこわばらせ すぐ離れたがる私の耳に 帝は優しくささやいた。

 とても…お優しくて 頼りがいのある方…だ。

 私のこと 本当に全力で守ってくださる。

 あれ以後、皆様からの嫌がらせは ぱったり絶えて…平穏な日々が続いている。


「女と生まれて 最高の名誉ですよ!出世ですよ!おまえは、本当に幸せ者です!」

「これぞ まさしく 縁結びの筆頭 出雲の神様の思し召し。
 あなたが この拝殿前に置かれていたのも 私どもが お育て申し上げたのも
 まさに神様が 今日の佳き日のために用意された定めだったに違い在りません!」

 千早のご両親…私の育ての親…は
 帝の…私を妃として連れ帰るという お申し出に狂喜乱舞した。

「ご身分から言えば『一夜限りの伽をせよ』と 命じられても拒めない立場なのですよ!」

「それを…正式に 妃として 後宮に迎え入れる…と おっしゃるのです!
 なんとも誠意に満ちたお申し出ではありませんか!」

 さまざまにかきくどかれ
 
「このお話を拒んでは、ご上意に背く者として…厳しい罰が 下されるかも…!」

 泣き落とされて

 御前で舞いを披露した…その一刻後には…私は帝の輿に乗せられていた。

 そのまま…京に連れ帰られ…後宮に部屋を与えられ…。

「では、今宵 また寝所で」

 夕餉が終わった後、帝は上機嫌で退出なさった。

「…帝には…お身体ご壮健であられて…まことに…よろこばしい…ことですわ…ね…」

 楓の声が どこか げっそりして あきれはてているように聞こえる。

「え?ええ…そう…ね。」

 確かにあの方は とてもご丈夫そうだ。日々剣や弓で鍛えておられてるし…。

「…ですが…少しは…玉藻様のお体のことも…」

 なにやら ぼそぼそつぶやきながら 楓が火桶に炭を足してくれる。

 もはや 師走も半ば過ぎ。

 あのかたのぬくもりが去ったとたん 寒さが 一気に押し寄せてきた。

 京の冬は寒い。

 けれど
 日本海から 吹き寄せる風のせいで 出雲の冬も とても厳しい。

 どうしているのだろう…千早は…。
 風邪なんか ひいてなければいいのだけれど…。

 心だけは 遠く出雲に飛んでいた。





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