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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第1章2』(side:政親)【絶えずの炎 №36】

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『出雲物語 第1章2』(side:政親)【絶えずの炎 №36】


「おぉ!これが かの有名な出雲大社!さすがは 日の本1!」

 東大寺の大仏殿より 更に高い!

「なにぶん 大国主命様が 国を譲られる代わりに 自分も王宮と同じ広さの屋敷を…
 と望んで得られた所だ…いう伝承がございますから。」

 出雲の国司が さりげに郷土を自慢する。

「大きさもだが…見事なる意匠だ いかにも 神々しい気に満ちている。
 実に格式の高いお社だ。はるばる 京から来た甲斐がある。」


「はは!おそれ多うございます!」

 ぽんぽーーん

 ん?

「鼓…?管弦でも 始まるのか?」

「いえ。神前の舞いが始まる合図です。」

「ああ…」

 天の岩戸に篭もられた天照大神をお呼びするために
 舞いを納めた神代の昔より 奉納の舞いは 神をお呼びする挨拶。

 宮中の神事でも、常に 舞いは欠かせない。

 ましてや 神在月。
 全国各地から 神がこの出雲にお越しになられている。

「出雲大社の神前の舞いならば さぞや見応えがあるだろう。ぜひ 近くから見てみたい」

「ありがとう存じます!さぞや みな 光栄に思いますことでしょう!」



 しゃらら~ん

 鈴の音と共に現れた舞い手は…小柄なほっそりした少女だった

 だが
 舞い始めたとたん その体は大きく見えた

 舞台中に 清らかな羽根が舞っている!
 彼女の背後から まばゆいほどの光が出ている!!

 ぬばたまの黒髪 小さく愛らしい唇 大きな瞳 白鳥のように優雅にしなやかな肢体

 みているうちに
 身震いがしてきた!

「…あの…舞い手の娘を…お、お妃に…なさりたい!?」

 私の警護についてきていた 三条祐規に命じる。

「そうだ。すぐに 話を付けてこい。」

「…わ、わかりました。では 人を立て、しかるべく手順を…。」

 さすがに 子どもの頃からの 長いつきあい。
 私の本気を 察してくれたようだ…が、いかにも まだるっこしい。

「すぐにだ!今、この場で 連れ帰る!」

「む、無茶です!犬や猫じゃないのですよ!今日の今日で そのような!」

「…そうか」

 さっと 立ち上がった。

「み、帝!?何を…!」

「私が直接、頼みに行く!」

「お、お待ちを!!」

 必死で止めてきた。ようやく ただごとではないのだと思い知ったらしい。

「ど、どうか 私めにお任せを!どうか!」

「ああ…待とう 1刻だけ…。それを過ぎてもダメなら 私が出向く」

「い、1刻(2時間)!?」

 青ざめたのも一瞬
 即 立ち上がって 彼は退出していった。

 そして 本当に 1刻後には…少女は 私の元にやってきた。

「…さあ おいで」

 京に向かう私専用の輿
 青ざめて怯える少女の手をとっていっしょに載せる

 輿の中で揺られながら  
 大きな目に涙をいっぱいためて震える…その華奢な体を抱きしめていた

 どれほど 甘くささやいても…
 彼女の体は かたく こわばったままで

 京に連れ帰り 正式に儀式を終えてから 後宮に納れ 妻にした後も…。

 でも

 つい
 さきほどの彼女の様子を思い起こすと笑みがもれる。

 やっと
 少しは…私になれてくれたか…?

 近頃 様子が ほどけてきた気がする。

「ご機嫌でございますね、政親殿。」

「…母上!」

 あわてて座を立ち 上座におつきいただく。

「出雲の巫女姫のお心が 少しは そなたになびきそうですか?」

 …!

 わ、私の心を!

「今、そなたの心を占めているのは その方のことしかないでしょう。驚くにはあたりません。」

「…恐れ入ります…」

「…それにしても…昼日中から 後宮に入り浸りとは 感心しませんよ?
 玄宗皇帝の二の舞かと世のそしりを受けます。」

 う”っ!

「きょ、今日は たまたま 政務が早く…」

「帝…!」

「は、はい…!」

「出雲の方がお大事なら あの方が 世間から非難されるようなことは なさいますな。
 ただでも お気を使われて お気の毒なお立場なのですから。」

「は…い」

「…本当に…心ない お振る舞いでした。」

 く、くる!
 いつものあれが!!

「何一つ 事前に礼も尽くさず!手順も踏まず!人形のように その場で連れ帰るなぞ…!
 出雲の方が 軽んじられる原因は そなたの性急なやりかたのせいもあるのですよ!」

「も、申し訳ありません…!」

 それに関しては ぐうの音も出ない…。

 どうしても
 どうしても すぐに 自分のものにしたくて!

「今日も今日とて!大祓の儀の衣裳を合わせようと出雲の方の元に使いをやれば…。」

 う!

「…そなたが…人払いをして 御簾の内に 閉じこめていると…。」

「…は…」

「…仕方がないので そなたが帰ったら使いをよこすように言えば…
 なんと 3刻(6時間)も あと!もはや 夕餉の時間!とても衣裳あわせなど!」

「も、申しわけ…」

 たらたらたら
 背筋に冷たい汗が流れる
 
「…まだ 日も高いうちというのに…毎夜毎夜のお召しでは 足らぬのですか…。」

 溜息で 母上の口元の扇が揺れる

「あ…あの…」

「明日の昼は 私が予約しておきますからね!
 年末年始には 宮中 様々な行事があって 女は 準備がたいへんなのですよ!」
 
「は、はい!」

「出雲の方の御衣裳は 後宮のどなたよりも 華やかでなくてはね!」

 さっと 母上が立ち上がられる。

「あの方に 恥をかかせたくないのなら、明日は たとえ ご政務が お早く終わっても
 論語でも読んで おとなしく お一人でお過ごしなさい!」

「はっ!」

 かしこまって下げた頭を上げたときには もはや 母上の姿は なかった。

 ふぅ…!

 ぶぶっ

「…祐規…」

「あ。し、失礼を…!」

 なんとか笑いをこらえようとしているらしいが まったく成功していない!

「皇太后様は 玉藻様を 我が娘のごとく溺愛されておられる…と 聞き及んでおりましたが…
 誠でございますね。実に うるわしいお話で…。」

「…ああ…」

 その分 私に対する 風当たりは強いが…!

「妹の… 楓の話では、調度品やら 化粧道具やら なにかと お心をかけてくださって
 玉藻様も 心よりお慕いし 頼りになさっておられるそうでございます。」

「そう…か」

 私のこと…は?

 慕って…頼りに…してもらえるのか?…いつか

 …どれほど いつくしめば…そうなってもらえる?

「お主上…そろそろ お寝みのお支度を…。」

 近習の声が掛かる。

「では、私は 御前 失礼申し上げます。お休みなさいませ。」

「大儀であった。」

 祐規は 宿直の部屋に下がっていった。

「出雲の方に使いは 出してるだろうな?」

 夜着に替えながら 確認する。

「はい。まもなく お渡りになられます。」
 
 明日の昼は 母上に横取りされてしまった。
 
 その分も
 今宵は しっかり 彼女を いつくしませてもらおう。

 いつも以上に

 存分に…!




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