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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第1章3』(side:楓)【絶えずの炎 №37】

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『出雲物語 第1章3』(side:楓)【絶えずの炎 №37】



「玉藻様!褥をご用意致しました!どうか お休みを!」

 食の進まないご様子の玉藻様を
 半ば叱りつけるようにして 朝餉を召し上がって頂き

 すぐに仮寝の支度をさせた。

「え…ええ…ありがとう…。でも…」

 紙のように白いお顔色。

 いつにもまして…昨夜は…『寝る』いとまなど 与えて頂けなかったようだ…!

「皇太后様がおいでになられるお時間前には お起こし申し上げます!さあ!」

「ごめんなさいね…気遣いを…」

「そのような!」

 胸が痛くなる。
 私たちにまで 気を遣うことなどないのに!

 褥に横たわれたとたん すぅっと 深い眠りにつかれる。
 よほど…お疲れだったのだろう。

 お体の上に お着物をおかけする。
 寝顔は 本当にあどけなくていらっしゃる…。

 無理もない…
 この年が開けて
 やっと 数えで15になられる…本当に…まだ…少女なのだ。




「まあまあまあああ こ、こんなに いたいけな!幼い方を!!」

 初めて
 皇太后様に ご挨拶に伺ったとき

 玉藻様を一目見るなり
 ぶるぶる震えながら 即 皇太后様は上座から飛び降りてこられた。

「おいたわしい!我が子ながら なんと むごいまねを!」

 ひしっと 玉藻様を 抱きしめられた。
 
「よいですか?出雲の方!あなたは 本日 ただいまから この私の娘ですよ!
 僭越ではありますが どうか 私のことは 母と思っておくれ。」

「こ、皇太后…様!」

 魑魅魍魎うごめく この後宮で

 初めて
 お優しい お言葉をかけられて

 玉藻様は 皇太后様の御胸の中で ぼろぼろ お泣きになられた。

 あのように
 身も世もなく 泣かれたのは 初めてだった。

 いつも
 何かに耐えるように お寂しげなご様子で

「どこまでもどこまでも…追いかけてくるのだよ…輿の後を…」

 兄…祐規の声がよみがえる。

「こちらは 長旅用に仕立てた馬車 伴の者も皆 馬に乗っていて…
 追いつくわけなどないのに…一人…ずっと 必死に追いかけてきた…若者がいて…。」

「まさか…その若者…。玉藻様の…!」

「めったなこというのではない!楓!思うことさえ 不敬だ!」

「…ということは 兄上だって そう思うのでしょう?!」

「…聞こえてしまったので…な。」

「え!?」

「俺が しんがりだったから…聞こえたんだ…。若者の声が…『返せ!』…と。」

「…!」

「遠く離れてたから ほんの小さい声だったのに…なぜか 耳にこびりついてる…。
 ずいぶん 悲痛な声だった…。」

「あ、兄上!」

「何も言うな、楓。」

 兄が切なそうに 溜息をついた。
 心優しい兄だ。内心は…心痛む思いだったのだろう。

「どうしようもないだろう?帝のご意向に逆らえるわけがない。」
  
「…で、でも!」

「玉藻様は…きっと 帝を 愛してくださるようになる。日々、あれほど ご寵愛を受けて
 おられるのだ。いずれ、お子も お授かりになられるだろうし。」

 自分自身に言い聞かせるようにして語り終え、兄は仕事に戻っていった。


 ふうぅ…。

 そりゃあ
 『日々』『ご寵愛』くださってるかもしれないけれど!

 限度ってものがあるでしょう!!

 これじゃあ
 玉藻様の お体がまいってしまうわよ!

「… はや…」

 え?!

「玉藻様?」

 そっと 声をおかけする…が 返事がない。寝言…だったようだ。

 ずれている上掛けの着物を もう一度肩まで引き上げる。
 
 出雲に何を残してこられたのか そのお心の内はわからない。

 けれど
 もはや この方は 出雲に お戻りにはなれない。

 帝は
 絶対に 玉藻様を おそばから お離しにはならない。

 願わくば
 玉藻様のお心が 帝に なびきますように。

 八雲立つ出雲の神々に 心の中で祈りを捧げる

 格子の外 風が鳴る。

 今日も寒くなりそうだ。

 火桶をもう一つ 持ってこさせよう。

 私には 何もない
 権力も…財力も…!

 でも 私は私のやり方で
 …必ず お守り申し上げるんだから!

 もう
 兄に頼まれたから…では ない!

 この
 清らかでお優しい方に…
 とことん お尽くし申し上げる!

 私自身の意志で!




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