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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第2章1』(side:玉藻)【絶えずの炎 №40】

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『出雲物語 第2章1』(side:玉藻)【絶えずの炎 №40】


「高天原に神留坐す 皇親神漏岐(すめらがむつかむろぎ) 神漏美(かむろみ)の命
以(も)ちて 八百萬神等を神集へに集へ賜ひ 神議りに議り賜ひて…」

 師走の末日

 大祓(おおはらえ)の儀が 粛々と行われる。

「我が皇御孫命(すめみまのみこと)は 豊葦原水穂國(とよあしはらのみづほのくに)を
安國(やすくに)と平けく知ろし食せと 事依さし奉りき 此く依さし奉りし國中(くぬち)に
荒振る神たちをば 神問はしに問はし賜ひ…」

 先祖代々
 神事の役を担われる氏の貴族の方が 朗々と詠まれる大祓の祝詞

 出雲でも
 今頃 おじさまが 大社の神前でおあげになっていることだろう…。

 左右の大臣をはじめ 多くの貴族の方々が 下座に控える中

 2番目に高い座に 座らされている
 1番高い中央の座で儀式をなされてる帝のすぐ後ろ

 右に上皇様 左に皇太后様

 畏れ多くも 尊い方々の中
 いちだんと きらびやかな衣裳を身にまとって…

 昨年の今頃
 このような場で…このような立場で この祝詞を聞くことになろうとは

 思いもしなかった!
 ほんの…ひとかけらも!

 出雲大社の末席も末席
 ほんとうに 隅っこに隠れるようにして 拝聴していたのに…1年前は!



「出雲の方を みなしごだの捨て子だのと…無責任な噂を 言いふらすは 誰ぞ!」

 後宮に納れられてすぐ…あっという間に広まった私の出自

 皇太后様は 激怒して 皆様を大広間に集められた。

「出雲の方は まさしく出雲の神様の祝福を得て 神様が下された宝物なのです!」

 凛とした声で 全員に告げられた。

「我が息子…帝のお目にとまったは まさしく縁結びの神様の思し召し!
 その出雲の方を あしざまに申す者は すべからく神罰が当たるでしょう!」

 常に慈母のお優しさで
 後宮の皆様に接しられていた皇太后様の
 常ならぬ厳しさに 大広間は しんと静まりかえった。

「畏れ多き事ながら、入内以後は この私が 出雲の方の母親代わり。
 出雲の方を貶めるは、それ、すなわち 私を貶めること!」

 ぱちんと鋭く鳴った扇の音に 皆がすくみあがった。

「聞けば 出雲の方とともに 同じ宮におるのは 誇りが許さぬ…そうな…。」

 その声音には 氷のような響きがあった。

「無理にいる必要など ありませぬ!どなたも すぐに この後宮を出て頂いて結構!」

 すっくと その場に立ち上がられた。

「後宮は 文字通り 宮殿を…帝を 後ろから お支えするが 務め…。」

 全員を ゆっくり見渡しながら 重々しく仰せられた。

「帝の御意に従えぬ 愚かしき者 後宮にいる資格などありませぬ。
 充分な支度金を与えるゆえ それを持参金に どこなりと縁づくがよい!」

 そう言い放たれるや 裾捌きもあでやかに ご退出なされた。

「さあ、では 皆様 ご遠慮のう こちらにおいでくださいませ。」

 針の落ちる音さえ 聞こえそうな静寂の中
 それまで 皇太后様のおそばに 黙して控えていた 女房殿が立ち上がった。

「皇太后様の仰せの通りにできない…出雲の方を お認めになれないと思われる方は
 どうそ こちらに。この通り、お支度金のご用意はすでに調ってございます。
 ここにおいでの皆様全員の分…。」

 皇太后様の信頼厚い
 古参の女房 磐城様が 指した方向には

 ぷっくりふくらんだ 大量の巾着袋が積まれていた。

「ご安心くださいませ。ここで 後宮を出られたからといって 皆様のご後見の方々の
 ご出世に響くようなことは ございません。」

 すっと 梅壷の女御が立ち上がられ
 私の方に一礼をされて しずしずと ご自分のお部屋の方にお戻りになった。

 あとは 競うように 次々に立ち上がっては 私に礼をとり 
 皆様が お部屋にお戻りになり…ついに 用意された巾着袋は 一つとして減らず…。

「何一つ 恥じる必要などないのですよ!出雲の方!」

 後で 皇太后様は お優しく私を諭された。

「どうでもよい…と思えば 海や川にでも流していたでしょう。」

 私の手を そっとにぎりしめてささやかれた。

「神様、どうか この子をお守りください…そんな切なる思いを込めて
 あなたを置いた方は 大社拝殿前を選んだのです。
 そして これほど すばらしい女性にお育ちになった。
 今上帝のお目にとまり、一身にご寵愛をお受けになられるお立場になった。
 これが神のご加護でなくてなんです?」

 そのほほえみは…温かい慈しみに満ちて…

「あなたのような 素晴らしい方を選んだ息子を 私は誇りに思いますよ!」

  

「玉藻」

 主上の優しいお声で 我に返った。

「儀式はすんだ。宴の席にまいろう。」

「…はい…。」 

 にこやかに さし出されるお手を取る…いつものように

「来年の今頃は 孫をこの手に抱いていたいものだ、のう、典子」

 上皇様のお言葉に、皇太后様が 機嫌良く お答えになる。

「ええ。誠に…。さぞや 見目麗しく心優しい子が授かることでしょう…母親似ならば。」

「…母上…!」

 和やかに 笑いさざめく 尊いご一家。

 仲むつまじく…良き方々ばかり…だ。

「出雲の方。少しは ここの生活にも お慣れかな?」

「…はい。皆様に…とても よくしていただき…。」

 宴の席。
 上皇さまが 優しく ご下問になる。

 入内当初 多々あった嫌がらせは
 皇太后様の あのご叱責以後も より陰湿になって続いていたのだけれど…

 先日の
 帝の(脅しにも近い)ご宣言以後は 本当に安らいだ生活が続いている

 出雲では…みなしごとそしられ…蔑まれた記憶しかない

 育ての親…千早のご両親にも

「そなたは その秀でた舞いをもって 生涯 神に仕えるが一番の幸せですよ。」

「出自のしれぬおまえに 良き縁談なぞ…望むべくもないのだからな。」

 繰り返し繰り返し 言い聞かされてきた。

 今にして思えば
 大切な一人息子…千早に なれなれしすぎる…と 警戒なさってらしたのかもしれない。

 暗に
 戒められていたのだろう

 「格式のある我が家の嫁になど できない!」
 「育ててやった恩を 仇で返すようなマネは 許さない!」…と。

「良い年でありました。本当に。」

 皇太后様のお優しい笑顔が 私の心をときほぐし

「ええ。私には もったいないような 良き妻を お与えくださって まこと 
出雲の神様は 尊くてあらせられます。」 


 帝の真摯なお声と眼が 私の心を 熱くする。
 
 神様の思し召し…なのだろうか…本当に。

 私が 今 ここに在る…のは。
 神様に授けられた さだめ…だったのだろうか…。

「年開けて最初の除目には、正式に 立后を宣じるつもりなのだよ。」

 …!?

「あ!あの!…わ、わたくしの身分では!」

 更衣…とさえ 呼んで頂けない 無位無冠の娘!
 (『女御』は、従5位以上の貴族の娘。『更衣』は、従6位以下の身分の貴族の娘)

 『后』になれるのは、親が従5位以上の…!

「ああ。そのへんが 少し 細工せねばならぬのだが…。」

「まったく!そなたが 早まったマネをせず、私たちに 相談してくれさえいれば!」

「…玉藻殿を どこかの皇族の隠し子…とでも 出自でっちあげて 派手派手しく
 高位貴族の娘として入内させることができたのになぁ…!」

「本当に!我が子ながら なんと 軽はずみ!浅ましいにもホドがあります!」

「ち、父上、母上!ど、どうか そのへんで…。」 

 ぷっ

「…玉藻…!」

 …!

 あ!

「も、申し訳ありません!」

 な、なんという ご無礼を!

 わ、私ったら!
 帝のあまりにも 情けないお顔が つい…!

「…初めてだ…。そなたの笑顔…。」

 …!

 次の瞬間には
 帝の胸の中 固く抱きしめられていた。

「…どんな物を贈っても…何を見せても 一度も 笑ってもらえなかったのに…。」

 …!

「も、もうしわけ…。」

「…嬉しいよ 本当に…。」

「…お主上…。」

 何も言えなくなった…それ以上…。

 わかってしまったから
 帝の腕がお声が 震えておられることが…。

 目頭が熱くなり ほほを熱いものが伝う…。

「た、玉藻…!?」

 帝の 一転して 仰天なさったお声。

「せ、責めてるわけでは ないのだよ!?玉藻!」

 私を抱きしめたまま おろおろと お声をかけてこられる。

「な、泣かないでおくれ…。お願いだから!」

 目の端に 皇太后様が眼に袖を当てられ
 上皇様が そっとそのお肩に手をおかれてるのが見える

 初めて
 どれほど 皆様が 気を遣ってくださってたのか…悟った

 こんな…私なんかに!

 どれほど お心を砕いてくださっていたのか!

 やっと!
 やっと!!

 悟れた!
 皆様の 真のお優しさを!

 …神様の思し召し…なのかもしれない。

 私が ここにいるのは

 出雲の神様が
 与えてくださった縁なのかもしれない

 この お優しい方々の中
 
 私に
 幸せに…なれと!

 他の誰よりも 大きな幸せを…!

 この手に つかむように…と!!




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Re: キリバン 

はじめまして のりへいさま

このような辺境サイトにお越しいただきありがとうございます。

キリ番ゲットなさったとのこと、おめでとうございます *^-^*

リクエスト承りますので、どうぞご希望をお寄せくださいませ。
ただ まだ消化できてない リクエストがありますので お時間いただければ幸いです。

ご愛読いただいてるようで 誠に光栄です。
これからも、「珍魚落雁」をよろしくお願いいたします!^^

                                    
  • #30 ことりん(琴鈴) 
  • URL 
  • 2011.05/06 22:14 
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