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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第2章 2』(side:千早)【絶えずの炎 №41】

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『出雲物語 第2章 2』(side:千早)【絶えずの炎 №41】




「ようやく…頭が冷えた…そうだな…。まったく 手間の掛かるバカ息子が…!」

「…あなた!…千早とて辛かったのですよ!」

 親父の不機嫌そうな声を おふくろが おろおろ とりなす。

「…なんといっても…玉藻…様…は、14年…仲良う過ごした…幼なじみ…。
 あまりにも 急すぎた別れでしたし!!」

「…だからと言って!帝の御輿を追いかけていくとは!しかも、『返せ』などと ご無礼千万!
 もしも!もしも あのとき!ご一行に その言葉を 聞きつけられていたなら!!」

「…『無礼討ちされかねなかったのだ』…でしょう。もう耳にタコができました!」

 くどくどくどくど 聴かされ続けた!この3ヶ月というもの 毎日毎日…!

「千早!」母上の 鋭い声に 沈黙を守る。

「…しかも…都まで追いかけて取り戻す…など わめいてあばれて 手が付けられぬ…!
 まったく…!この強情さは 誰に似たのか…!」

「あなた…!」

 おふくろが 親父の前に 手をついた。

「ですが…もう…千早は…『あきらめる 軽はずみなことはせぬ』…と 誓ったのです!
 どうか どうか もう そろそろ ここから出してやってくださいませ!」

 ぽとぽとと 母の涙で 床に雫がたまる。 

 …!

「…母さんっ!!」

 座敷牢の格子を握りしめた!…思わず…!

「…新しき年を…このような座敷牢で迎えるなど…あまりにあまりでございます!!」

「よさんか!おまえが そこまでする必要はない!」
 
 親父が あわてて おふくろを 立たせた。

「千早…。本当に…誓えるのだな!?」

「…はい!…必ず…!」

 座敷牢の格子のこちら側で 親父に かしこまって 頭を下げた。

「…ようやく…頭が冷えました…まことに…おのがふるまいを 恥ずかしく存じます…。」

「…そうか…。」

 ほっとしたように 親父がつぶやく。

「それでこそ 我が息子。きっと いつか 理を悟ってくれると信じていたぞ!」

「…はい。まことに かたじけなく…。」

「今日は 大祓。これまでの罪は、清かに 払いのけて 新しき年を 祝うのです!」

「恐れ多くも 都から 帝のお使いの方が 様々なお品を持ってお越しだ。
 なんでも 我々に『良き便り』が おありとか…!」

「…?都…から?」

 あの恥知らずな 人さらいどもが!
 今度は どんなおためごかしを 言ってきやがった!?

「さあさあ いつまでも このような冷え冷えとしたところで 語ることは ありませぬ。
 部屋にもどりましょう!」





「う、うちに 官位!?しかも…いきなり…従5位!?」

 広間には 帝の側近という 20代後半の若い男が
 巫女達の供応を(具合悪そうに)受けながら 待ちかまえていた。

 その口から
 驚くべきことが 語られた。

「はい!よるべなきお身の上の玉藻様を お救い申し上げ お育て申し上げた功績 誠に大である
 …よって こちら様に 官位を授ける…と 畏れ多くも帝よりのお達しにございます。」

「ありがたく かたじけなく お受け申し上げまする!!」

 親父は 床にはいつくばるようにして 頭を下げた。

「まあまあまあ!本当に 晴れがましい!玉藻様は まさしく 福の神様!!」

「まったくだ。苦労してお育て申した甲斐があったというもの!出雲の神様のお恵みだ!」

 泣かんばかりに
 手を取り合って喜ぶ両親に

 心中 怒りの念が煮えたぎる!

 何が…!
 『苦労して お育て』した…だ!

 玉藻が小さい頃から 利発で器用なのをよいことに
 さんざん うるさく 責め立てて いいように こきつかっておいて!

「きっと 我が家の信心深さを 嘉し奉って 神様が 玉藻様を 我等の元に
 おつかわしになったのに相違ない!」

「まことに…光栄の至りでございましたわ!」

 …っっ!!

 耐えろ!耐えるんだ!

 …ここで…怒りを 爆発させては…!
 すっかりあきらめた芝居までして 下げたくもない頭を下げたかいがない!

「まことに おめでとう存じます。」

 三条祐規…と名乗った 帝の側近が丁重に頭を下げた。

「年明けて すぐの除目の際には 都までお越しいただき、直接 辞令をお受けください。」

「ははっ!お言葉のままに!!」

 …っっ!!

 …都へ…!
 都へ…行ける!!

「畏れながら…。」

 遠慮がちな風情を装って 丁重な声で話に割り込む。

「…。あなたは…。」

「あ!も、申し訳ございません!これは 我が一人息子…。」

「千早と申します。」

「ちはや…殿…ですか…。」

 一瞬 男の目が鋭くなった気がした。

「…以前 お会いしたことは…。」

「あ、あいにく!3ヶ月前、あなた様が お越しになった時は こ、これは ど、銅鐸を探しに
 地下倉庫に潜っておりまして!」

 おふくろの声が裏返る。

 …そうだ…。

 3月前!

 こいつが…
 あの人さらいのいいなりに
 玉藻を連れ去ろうとしたときに

 手に怪我してたせいで…
 そのとき裏方にいたオレに

 この話が聞こえたら
 激怒して暴れるに違いない…と

 とっくにオレ達の仲など わかっていた親父達は
 オレに『帝に献上する銅鐸を持ってこい』と 偽りの用事を言いつけて…!

 オレが見当違いな方角から やっと見つけ出せたときには
 玉藻を…連れ去っていった ヤツの輿が 遠くに砂埃をあげていて!

 ぎりぎりと
 くいしばりそうになる歯を どうにか鎮まらせる。

 落ち着け!落ち着くんだ!

 これを逃せば
 もはや玉藻には 二度と会えない!

「僭越ではございますが…玉藻…様のことは…妹のように…いつくしんでおりました。」

「そう!そうなのです!!よ、よき兄でございまして!」

「た、玉藻様とは まことに あにいもうとの 仲むつまじさで…ひ、人様からは もう 完全に
 実の兄妹かと 思われておりましてね!!」

 親父も おふくろも 必死に言葉を足す。

 ふんっ!

 『あのようなみなしごに あまり情けをかけるでない』と
 いつも 厳しく オレをいましめていたのは どこのどなた様方だった!?

「良き縁に恵まれたとはもうせ、兄としては、どうしても 妹の身が案じられてならぬのです。
 しょせん下々の者。なんと 浅はかな人情かと お笑いでしょうが…。」


「…いえ。私にも 妹がおります。兄としての心情は よくわかりますよ。」

 …。

 人さらいの手先にしては もっともらしいことを言う…!

「除目の際には、ぜひ、私も 父の伴をし、久々に 妹…と 慈しんでいた玉藻…様の
 ご尊顔 拝しとうございます…。お許し願えませんでしょうか。」


「な、なにを!」「ご、ご無礼ですよ!?千早!」

 両親の…仰天した声。

 …には かまわず
 じっと ヤツの顔を見つめる。

 憎しみや怒りは 必死に沈めて!
 いかにも 妹の身を案じる 善良な兄…を 装って!

「…よろしいでしょう…。」

 しばしの思案の後、ヤツはうなずいた。

「ただし、直接…は もはや 絶対、無理とお思いください。お会いになれるとしましても
 御簾ごし…ですよ。」

「かまいません!」

 なんとでも してやる!してみせる!!

 首尾良く
 宮中に入り込むことさえできれば!

 後は
 オレの才覚次第…だ!

 帝だか なんだかしらないが!
 このまま いいようにしてやられてたまるものか!!




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