スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←『出雲物語 第3章 1(side:楓)』【絶えずの炎 №46】 → 『出雲物語 第3章 3』 (side:玉藻)【絶えずのj炎 №48】
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



総もくじ  3kaku_s_L.png 松蓮聖戦
もくじ  3kaku_s_L.png 天地の詩
もくじ  3kaku_s_L.png 宝物
もくじ  3kaku_s_L.png 献上品
もくじ  3kaku_s_L.png 単発SS
総もくじ  3kaku_s_L.png 『恋だの愛だの』
もくじ  3kaku_s_L.png ツイッター
もくじ  3kaku_s_L.png バトン
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【『出雲物語 第3章 1(side:楓)』【絶えずの炎 №46】】へ  【 『出雲物語 第3章 3』 (side:玉藻)【絶えずのj炎 №48】】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第3章 2』(side:千早)【絶えずの炎 №47】

 ←『出雲物語 第3章 1(side:楓)』【絶えずの炎 №46】 → 『出雲物語 第3章 3』 (side:玉藻)【絶えずのj炎 №48】
『出雲物語 第3章 2』(side:千早)【絶えずの炎 №47】




「玉藻!」

「なりませぬ!お主上!もしかしたら まだ…」

「蛇が!」という近習たちの声を ふりはらって

 やたら背の高い すかした容姿の男がかけよってきた。

 オレから ひきはがすようにして 抱き寄せる。

「…よかった…!そなたに 何かあったら…!」

 玉藻の体を あちこち調べて無事を確認したあと
 あらためて ぎゅっと 抱きしめやがったっっ!!!

 こいつが…例の!

 玉藻を奪っていった 人さらい!

「念のため 周囲を 丹念に 調べよ!」

「皆も 常に線香を手にして 安全には 充分注意を払うのですよ!」

 上皇と皇太后が てきぱき 指示を出している。

「玉藻様!よ、よろしゅうございました!ご無事で…。」

「楓…。」

 まだ 蛇がいるかもしれないのに 構わず駆け寄ってきた
 芯から忠義者らしい女房が 玉藻の手をにぎって涙にくれている。

「大丈夫よ…。本当に…ち、千早が 間一髪で…。」

「…ち…はや…様?」

 女房が まじまじとオレを見つめる。

「玉藻…様の 兄として 育ってまいりました。八雲千早と申します。」

 一段高かった席から降りて 改めて頭を下げる。

「そ、そうなの…よき兄で…幼い頃から とても お優しくしてくださったの…。」

 玉藻が 消え入りそうな か細い声で言う。

「で、でも…突然で…おどろきました!ど、どうして…ここへ…。」

 オレを見つめる 玉藻の眼が 声が 震えている。

「…今後 玉藻の後見を務めるよう お願いしたのだよ。」

「え!?」

「官位も従5位になっていただくから…そなたを 堂々と『后』にできる。」

「そ、そのような!ご無理を…!わ、私は 『后』などで なくとも!」

「私の妻は…そなただけ。名も きちんと与えねば 気がすまないからね。」

「…お主上…」

 なっ
 なんなんだ これは!?

 視線の中に…互いに通いあう…何か…がある!

「八雲殿…。」

「…はっ!」

 ヤツの呼びかけに あわててかしこまった礼をとる。

「感謝する…!私の大切な妻の危機を助けてくれて!」

「…いえ…。」

「玉藻に…もしものことがあれば…私は…!」

 その声は いかにも 恐ろしそうに震えていた。

「この礼は 後日 必ず させていただく。本当にありがとう!」

「…おそれ多うございます…。」

「…千早様…誠に ありがとうございました…。」

 ヤツのかたわら 
 玉藻も 手をついて頭をさげた。

 その…他人行儀な言い方に 背筋が震えた。

「申し訳ないが ここで…。玉藻を休ませてやりたいのでね。」

 ヤツが玉藻の肩を抱いて 宴会場から出て行く。

 玉藻が 一度だけ ちらっ…と オレを振り返るが…すぐに 廊下の角に消えていった。




「千早殿 誠に お手柄でありました!」

「…かたじけのうございます。」

 あらためて 上皇夫婦の御座所という離れで饗応を受ける。

「本当に…あなたが 居てくださらなかったなら 今頃…!」

 皇太后が真っ青になって震えている。

「そなたは まさに 我等、家族みなの恩人。心から 感謝しますぞ!」

 上皇が 芯から嬉しそうにねぎらう。

「それにしても!政親ったら!私だって あの子を抱きしめて 無事を喜びたかったのに!」

「本当に今朝、宴の刻限ぎりぎりまで 亀岡で二人きりで ゆるりとしてきたくせに。
 こんな時くらい 私たちと 喜び分かち合ってもいいだろうになぁ…。全く 心の狭い…」

 本当に…玉藻を
 大事にしているらしい…。

 言葉以上に!
 その眼に表情に表れている…。

 この夫婦も…

 ヤツも…!

 玉藻のことを…。
 どれほど 大切にしているのか…。

「失礼致します!」

 御簾の外から 凛とした声がかかった。

「おお 三条!入れ!」

「待っておりましたよ!」

 入ってきたのは… オレ達親子を 京に連れてきた男。

 三条祐規…という 帝の側近。

「して?」

「はい。琵琶は、宴の一刻前に 後宮から 布に包まれて運ばれ、そのまま あの席に
 備えてあったそうです。」

「…出雲の方が 布を解くまでに 触れた者は…?」

「見張りが 交代でついておりました。楽器にに触った者は 誰も いなかったと…。」

「政親と…玉藻殿は ぎりぎりに京についたゆえ…直接 宴席に 入ったのですよね。」

「はい。宴が始まる ほんの半時前で…。」

 確かに こいつは 冷や冷やしながら
 何度も 門の所へ確かめに行っていた…。

 ふぅっ

 皇太后が 重いため息を吐いた。

「まさか…ここまで…するとは…!」

「…典子…」

「…まだ…後宮の方が 犯人とは…。」

「冬眠中の蛇が 勝手に琵琶の胴の中にしのびこむと いうのですか!?
 雪も降ろうかという この寒い時期に!!」
 
「…はっ…!」

「おそらくは…一段高い段も、周囲に巡らせた幕も…何者かの策略と思われます。」

 やたらに 不自然だと思った 特等席。

 演奏者の手元を見せないような 布の張り方など するはずがない!

 初めから…警戒しながら 玉藻の様子だけ 見つめていたんだ。

「私ったら!あのお席を見て…、やっと 後宮の皆様も 出雲の方を たててくださるように
 なったのだと…のんきに感動なぞ…!ばかでした!」

「…なんとしても 犯人をあぶりださねば!これで あきらめるとは限らぬ。」

 冬眠中の蛇を掘り出して 琵琶の中に仕込み
 空洞の中 演奏する者の体温で温まった蛇が 目を覚まして奏者に噛むのを待つ

 なんとも陰湿で 手の込んだやりかただ!

「恐れながら…可愛い妹を このような危ない場所に 置いておきたくはありません。」

 本当に 間一髪だったんだ!

 空洞から はい出てきた蛇は こわばった玉藻の手の一寸先で舌を出していた!

 オレの一撃が あと1秒でも遅れていたら!玉藻は…!

「官位などいただかなくてかまいませぬ!どうそ 玉藻をお返しください!」

「ち、千早殿!」

 三条があわててオレをとめるが
 言い出した言葉は もうとまらない!

「后だのなんだのと申しても…命あってこそのもの!」

 棒を飲んだように立ちすくむ上皇夫妻に なおも言いつのる。

「たかが捨て子に…と 後宮の皆様が ご不快に思われるのも ごもっともかと存じます。
 帝にあらせられては ご自身の高貴な御身にふさわしい 高貴な御血筋のお后様を!」


 そうだ。
 玉藻には オレのほうがふさわしい。

 こんな恐ろしい場所で
 常に 命を狙われている状況で
 幸せになど なれるはずがないっっ!

 どれほど こいつらが 大切にしていようと!

 現に!
 今宵!!

 あの場に オレがいなかったら
 今頃 玉藻は毒蛇の餌食だったんだ!

「お願いでございます!どうか!玉藻の宿下がりをお許しください!!」

 どうせ 親父達は かんかんに怒って
 オレや玉藻を家に迎え入れはしないだろう…。

 もう 出雲にも帰らない!

 オレが働く!
 どんなことをしてでも 玉藻を守る!





 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png 松蓮聖戦
総もくじ 3kaku_s_L.png 『恋だの愛だの』
総もくじ  3kaku_s_L.png 松蓮聖戦
もくじ  3kaku_s_L.png 天地の詩
もくじ  3kaku_s_L.png 宝物
もくじ  3kaku_s_L.png 献上品
もくじ  3kaku_s_L.png 単発SS
総もくじ  3kaku_s_L.png 『恋だの愛だの』
もくじ  3kaku_s_L.png ツイッター
もくじ  3kaku_s_L.png バトン
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【『出雲物語 第3章 1(side:楓)』【絶えずの炎 №46】】へ  【 『出雲物語 第3章 3』 (side:玉藻)【絶えずのj炎 №48】】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【『出雲物語 第3章 1(side:楓)』【絶えずの炎 №46】】へ
  • 【 『出雲物語 第3章 3』 (side:玉藻)【絶えずのj炎 №48】】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。