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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第3章 3』 (side:玉藻)【絶えずのj炎 №48】

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『出雲物語 第3章 3』 (side:玉藻)【絶えずのj炎 №48】


「…あれが…?」

「なんでしょう…まだ ほんの子どもではありませんか…。」

「お主上も 御気まぐれな…。」

「まあ。たまには 野の花のひなびた風情にも お心惹かれたのでしょう。」

「ええ。すぐに お飽きになられますわ。」

 ほほほほほ

 御簾の向こうから 聞こえるように語り合う声。

 最初は
 冷ややかに揶揄するだけだったそれが

 日がたつにつれ
 次第に 殺気だったものに変わっていった…。

「出雲の大神様は なにやら 男心を操る秘術でも お授けなのかしら!」

「いかにも 幼げで純なふりをして…殿方相手のお仕事でもなさってたのでなくて!?」

 聴くに堪えない…様々な言葉を ぶつけられてきた。

 私に何ができたろう…。

 仕えてくれる優しい楓や女房達に 心配はさせたくない…。

 我慢してたら いつか嵐は過ぎる。
 子どもの頃から そうだったもの…ずっと…。

 悪口言われても
 石 投げられても
 じっと 我慢さえしてたら

 そのうち
 みんな飽きて どこかに行ってくれたもの…!

 でも
 ここは違う

 違ってたっ!

 ここまで
 嫌われていた…。

 まがうことなく 悪意の塊
 
 琵琶の空洞から はい出てきた毒蛇を見たとき…

 悟った!

 これほど 私が…憎いのか!

 我慢したのに…何をされても

 管弦の楽で 当日 いきなり曲や楽器をかえられても
 歌合わせで 言われていたのとは まるで違う題を出されても

 調度品やら衣裳やら
 帝や皇太后様からいただいたものを 汚されても壊されても

 自分の失敗だと頭を下げて…
 絶対に 他人のせいになどしたことはなかったのに…!

  しょせんは 夢だった

 もしかしたら
 私にも 安らぐ場が与えられたのだ…なんて

 しょせん まぼろし

 ここも 違う
 ここも 私の居場所ではない

 いるだけで
 誰かの 憎しみをかっている

 ここは
 私のいるべき場所ではない

 出よう
 
 いてはならないんだ 私は ここに!



「…玉藻…!」

 …!

「お主上…」

「うなされていたよ。まだ気分がすぐれないなら、薬湯を飲むといい。」

 私の返事も待たず 枕元の薬湯を手ずから飲ませてくださる。

「も、申しわけ…」

 最後まで言えず その胸の中に抱きしめられた。

「大丈夫だ…もう!二度と そなたを…危ない目にあわせぬ…!」

 その手が 震えておられる。

「今度こそ 私が守る!守ってみせる!!」 

 痛いほどに きつく抱きしめてくるその腕…。

「おまえは わたしの全てだ…」

 熱い口づけが降りてくる。
 すぐに舌先が からまってくる 深い口づけ。

 最初の頃

 恐ろしくて辛くて哀しくて
 いたたまれない思いで 必死に耐えるだけだった。

 今は
 うっとりと その口づけにこたえる自分がいる…。
 安らいで その胸によりかかっている自分がいる…。

 この方のなさること全てが
 本当に いつくしんでくださってるのだと…実感できる自分がいる…。

 夢とうつつの境のような 幻のような美しい世界を共に漂う…ひととき。

 あの方々も
 そうだったのだろうか…。

 私は…
 あの方々から このひとときを 奪ってしまったのだろうか。

 この
 優しくて凛々しい方からいただける夢の時を

 …だとしたら…

 憎まれても 仕方ない…。

 私は 殺されても文句は言えない ひどいことをしてしまったのだ…。

 帝に
 いつでも 全員を宿下がりさせる…と 言わせてしまったのは 私!

 どれほどに 哀しい言葉だったろう!

 今までの時を 自己の存在を すべて否定されてしまった!

 しかも 今度は 『后』!

 常に私の下座で 私に礼を尽くさねばならぬ…!

 どなたも 高位の貴族のご令嬢
 氏素性もしれぬ 捨て子のみなしごに上に立たれる屈辱は どれほどに耐え難いだろう…。

 …無理もない
 私に 殺意を抱いたとて…。

 私など
 あのまま
 毒蛇に かまれていればよかったのに…!
 
 出て行こう!

 なんとか 一人で
 この後宮から 内裏から!

 ここにいては ならない 絶対に! 

 出雲には帰れない…もう 二度と。

 …千早…

 どうして
 助けてくれたの…?

 私なんか
 もう…おめおめと 千早の前に立てるような清い身では ないのに…

 あんなに 必死に助けてくれた

 変わらず…優しい…。
 頼りになる 幼なじみ…。

 でも
 彼に助力を求めてはだめ

 私には もう そんな資格は ない!

 なんとか 一人で ここを出なくては!

 深い山奥か 海底か
 私は この身を 神にお返ししよう。

 親にさえ望まれず 捨てられたこの身
 いっそ 海や川に流してくださっていれば良かったのに…!

「政親様…。」

「…え!?」

 帝の背に手を回して 耳元にささやいた。
 
「た…まも?」

「幸せです…私…。」

 強引すぎる出会いで…心よりも先に体が結ばれた。

 でも
 この方のお優しさは 真実だった。

 そっと 口づけた。

 初めて…自分の方から。

「…っ!玉藻!」

 心底 喜びに満ちたその表情に…胸が痛くなった。

 なんて傲慢だったんだろうか…私は!

 これほど 大切にしていただいてたのに
 ずっとずっと…長い間…怯えて…嫌がって…哀しい思いを させていたのだ…。

 そして
 
 私が これからしようとすることは
 この方に 哀しい思いをさせてしまうのかもしれない…

 でも!
 こんな無理押しに次ぐ無理押しで

 私を「后」になどと
 画策なさればなさるほど

 きっと 宮中の貴族という貴族を敵にまわしておしまいになる!

 貴族の皆様方だって 心中 お腹立ちにきまってる!

 私の 立后も!
 おじさま達への 官位授与も!

 私がいなくなることが 結果的には 帝や上皇様・皇太后様のおんためでもある!

 大丈夫
 ほんの少しの間だけだ…。

 この方をお慰めする女性は 大勢いらっしゃるもの!

 これが 最後になるだろう
 帝の熱いお手に 身をゆだねる

 短い間だったけど 幸せでした…。

 あなたが 真実 慈しんでくださったこと…忘れません。

 生まれてきて良かったのかもしれない…と
 ほんのひとときでも 錯覚させていただけました…。

 その優しい広い胸にもたれかかりながら 涙が出そうなのを必死にこらえていた
  



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