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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第4章 1(side:政親)』【絶えずの炎 №49】

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『出雲物語 第4章 1(side:政親)』【絶えずの炎 №49】



「私も ごいっしょにお連れくださいませ!宗親様!」

「絹乃…聞き分けておくれ。あのような 荒れ果てた流刑地にそなたをつれてなど行けぬ。」

「いいえ!そのようなところに あなた様お一人を!」

「宗仁は?まだ10才のあの子まで 島暮らしをさせるのか?」

「…!」

「大丈夫だ…。私は潔白。きっと 真実はつまびらかになる。

 いずれ、父上の誤解も解けて都に戻れる日も来よう。しばしの辛抱だ。」

「で、ですが!」


「宗仁を立派に育てながら 待ってておくれ。」

「宗親様…!」





 …?

 これ…は?

 私と…玉藻…?

 いや…名も違うし…
 どちらも 今の私たちより やや年が上だ。

 宗親…絹乃…。

 聞き覚えのある…どころではない!

 父上が 母上が
 今だに ことあるごとに 語られては涙にくれられる…。

 14年前に
 非業のご最期を遂げられた…

 伯父上と伯母上!

 夢?

 なぜ このような夢を 見るのだ!?



「まことに…我が父ながら 情けない…!」

「おめおめと 奸臣の讒言を真に受けて…何の罪もない宗親どのを 島流しになど…!」

「お優しい兄上だったのに…。劣り腹から 生まれた私にさえ 真実 よくしてくださったのに
 なにもお手助できなかった我が身が口惜しい!」

 そうか…!
 明日は 宗親親王様のご命日…。

 毎年 この日には 両親が 涙ながらに 菩提をとむらっておられる。

 きっと今年も 
 言っても詮無い繰り言を 繰り返しつぶやかれるのだろう。

「隠岐の島で ご自害なされた宗親様はまだしも お墓もつくれましたが…お姉様は…!」

 ことに 母上のお嘆きはひとかたではない。

 なにしろ
 絹乃内親王様は 母上の同母の姉君でもあられるのだから。
 
 父は 先々帝の次男。母は、内親王。
 高貴の上にも 高貴な お血筋だ。

「せめてせめて 御髪の一筋なり 爪のひとかけらなり…手にできれば!」

 発見されたのは 紋が入った着物のみ

 出所を問いつめられた男が 山中に倒れていた髪の長い女の死骸からはぎとった…と
 自白して…男を連れて そこを探索したが 鳥か獣の仕業か…もはや 骨の一片もなく…

 ご夫君の流刑後
 絹乃殿は、ご子息 宗仁様とともに 寺に身を寄せておられたが

 その宗仁様が急な病を得てお亡くなりになり、
 それを…帝(宗親様の父)の策によるもの…と 早合点なさり

 半狂乱になって 都を飛び出されたのだという。

 むろん か弱い女…しかも…高貴な女性に 一人で 旅などできるはずもなく
 ようやく武庫の山にかかるか…というあたりで 力尽きられたようだ。

 隠岐の島で
 我が子と妻の災禍を知った 宗親伯父上は
 悲憤慷慨し 血文字で遺書を書き 自ら 懐剣で胸を突き、世を去られた。

 その日。

 都に 怪異現象が 起こった。

 激しい雷で内裏に火災が発生し、
 落ちてきた屋根の下敷きになったのは 讒言した奸臣…摂政大臣の一人娘。

 宗親伯父上にかわって東宮になられた 宗重親王殿の女御だった!

 その奸臣には さらに息子が4人いたが…
 ことごとく 急な流行病で 伯父上の死後、3日の間に相次いで亡くなった。

 やがて摂政大臣自身も 流行病に倒れた。

 そのときになってようやく…
 宗親親王の謀反というのが 自分の作り話であった…と
 恐怖にわななきながら懺悔して…

 7日7晩 痛みにくるしみぬいて 血を吐きながら 死んでいった。

 ここにいたって 帝はようやく 自らの愚かさを悟り
 ご長男 宗親伯父上の御骨を 急ぎ 隠岐から都に連れ帰り 寺を造らせ菩提を弔ったが

 失った命がかえるわけもない。

 後悔と悲嘆にくれながら、
 位を ご次男 宗重親王に譲ったのち、出家なさり ほどなくしてみまかった。

 ほとんど食べ物を口になさらなかったというから 半ば ご自害なさったようなもの…。

 宗重親王も 
 ご自分の義父が 外祖父の座をほしいがために起こしたこと…。
 どうしておめおめと 帝位になど つかれようか…と すぐに 末の弟である父上にご譲位なされた。

 自らは 臣籍にお下りになって 三条家を興し…。
 祐規に楓…二人のお子を残されて…三年前に亡くなられた。

「私とて、こんな呪われた位なぞ ほしくなかったのだ!」

 父上が 苦々しく言ったものだ。

「…本来なら…三男…しかも、母が更衣であった私などに 帝位がくるはずなかったのに…。
 とはいえ、ここで私が嫌がったとて もはや後がなかったしな。
 そなたも まだ元服したばかりの12才であったし。」

 そのかわり、私が二十歳になったとたん 待っていたというように譲位なさった。

 まだまだ お若くご壮健なお体でありながら!

 目の前の不思議な画面の中。
 お二方のやりとりは続いていた。







「さあ。これを…私と思って…。」

 宗親伯父上が 絹乃殿に小柄をお渡しになっている。

 瑠璃や瑪瑙に白玉までちりばめた 豪奢な小柄。

 絹乃殿が泣きながら それを受け取られる。

「待っております…私…!また きっと お帰りになられるそのときを!」

 小柄を抱きしめながら 涙に濡れる いかにも可憐な絹乃内親王。
 当時十歳の子の母であられたはずだが…とうてい そうはみえぬ…。

 愛らしくお美しく
 ご聡明で管弦の才も歌の才も豊かな
 実に すばらしいお方だという お噂は
 当時子どもであった私の耳にさえ 届いていた。 
 
「絹乃!」

 いとおしそうに抱きしめる 宗親伯父上。

「お二人は筒井筒のお仲で…宗親様元服の添い臥しも たってのご指名で姉上が務め…
 それ以後、誰になんと言われても 決して 他の女性を後宮に納れなかったのですよ。」

 母上が つれづれ語られていたとおり いかにも お仲むつまじい…。

 この内親王様が相手では
 御血筋も その魅力も 我が娘では とうていかなうはずがない

 この東宮では
 娘を嫁がせ その子を皇位に付けて 外祖父として権力をふるうのは無理

 そう判断した 摂政大臣が 宗親東宮を廃する 奸計をめぐらせたほどに…。

 夢と分かって見ている夢…。
 なんとも 不可思議だ…。伯父上が自分に似ているだけに よけいに…!

 …。

 おかしい…!

 伯父上が私に似ている…
 いや!私が 伯父上に似るのは 当然だ!

 血が つながってるのだから!

「鳥になりとうございます。鳥になって あなた様の後をついていきとうございます!」

 はらはらと
 白玉のような涙を流して すがる愛らしい女性

 絹乃内親王様が

 どうして
 こんなに

 似ておられるのだ!?私の玉藻に!!

「おまえが鳥ならば…私は懐で大切にはぐくんで…どこにでも連れて行くのに…」

 切なくも
 熱く口づけを交わすお二人の姿に霞がかかり…やがてかすんで消えていった。





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