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「松蓮聖戦」
第1章 松の光合成

夢見草の吹雪(side:S) 【松の光合成 №38】

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夢見草の吹雪(side:S) 【松の光合成 №38】


「どうして…こんな…ところへ…!」 

「お前に…逢いたかったんだ!!どうしても!」

 兄に奪われた 妻の元に 危険を冒して 忍び込んできた かつての夫。

 女は。哀しげに首を横に振る。

「いけません!このようなところを…あのかたに…兄君に 見とがめられたら 今度こそ!」
 殺されてしまいます!
…という セリフを…最後まで 言わせず
 その 細い体を ぎゅっとだきしめた。

「逢いたかった…!逢いたくて逢いたくて 気がおかしくなりそう…だった…!」
「…わたくし…も」

 見つめ合い…キョーコの唇に優しく口づける。
 思えば 3回目のキス。

 はじめから シナリオで きちんと指示があるキスシーンはこれが初めてで…。

 だから…本当に遠慮なく 心ゆくまで キョーコにふれられる。
 わずかだが 至福のひととき…。

 ひゅん
 カッ

 …?

 ふいに風を切る…なにかが突き刺さる音…。
 袖が 何かに引っ張られる感触に…せっかくの甘いシーンを中断させられた!

 …!?

 オレの…着物の袖…が 矢で…木にぬいつけられ…てる!

 待て!
 そんな…シーン なかったはずだぞ!?

 あわてて 矢の飛んできた方角をみれば!
 暗闇から わき出るように ゆらりと 長身の人影が 現れる。

 まっすぐに 弓のねらいを オレに定めて…!

 な!?
 おいっ!
 
 その…瞳に…昏くゆらめく 殺意

「お…!おおき…み!」

 …いつもながら 見事だ キョーコ。

 本来なら「離れろ!」と叫んで登場するはずの コイツの
 こんな とんでもない演技(シナリオであるはずがないだろう!)にも ちゃんと対応する。

 だ…が…!
 こ…の男…!これ…演技なのか?

 その 弓矢の先は まっすぐ オレの胸に ねらいが 定まっている!

 昏い瞳に…燃え上がる 明確な殺意!

 殺られる!

「大王!おやめください!」

 キョーコが かばうように オレの前に立ちふさがる。

 やめろ!危ない!コイツは本気なんだ!!
 オレは キョーコを 強引に自分の後ろに引き下げる。

 キョーコには、髪の毛1本たりと 傷つけはしないだろうが 万が一ってこともある!
 オレの体を貫いてなおかつ 後ろのキョーコを傷つけるほどの 強弓ではないはずだ!

 ひゅっ!
 ガッ

 …う!

 頭に…かぶっていた物…が 射抜か…れた…!

「…こい」

 ヤツが キョーコに呼びかける
 地をはうような…いつものコイツとはまるで違う…声。

「こなければ コイツを 殺す…!」

 第3の矢を つがえ ぎりぎりとひきしぼる。

 ねらいは まっすぐ オレの胸!

 あわてて キョーコは オレの陰から出てきて、ヤツのもとに走る。

「おやめください!大王!お願いです!殺さないで!!」
 ひしっと アイツにすがりつく。

 ようやく…ヤツが弓矢をおろした。

 やれやれ…やっと…シナリオどおり…だ。

 ここで 大王…ヤツは 嫉妬心丸出しに 女を責め、強引に連れ去ってゆく流れだ。
 ああ。その前に…家来達に …弟の…オレの都追放処分を言い渡すんだった。冷酷に。

「…どうして…だ…」

 もどってきた キョーコを ぐっと胸に抱き込んで ヤツが消え入るような声でつぶやく。

 ん?

「なぜ…俺では…だめ…なん…だ…」

 悲痛な…胸がしめつけられるような…弱々しい…声?

「どうしても…そいつじゃ なければ…だめ…なの…か?」

 切なそうに声を絞り出し キョーコをさらに強く抱きしめる。

「お…おおきみ…?」

 さすがに…あの キョーコですら とまどっている。
 
 当然だ!
 こんなもの セリフどころか…設定そのものを 無視してるだろう!!

 だが…周囲は…静まりかえり 監督は ストップをかけない…。

 いや…かけられない!

 アイツの周りには…ピンとはりつめた 何かがあって
 …ダレも…口を…はさめない…!

「俺の…どこ…が…アイツに劣る!」 

 乞うように…キョーコの足下にひざまずき、キョーコの腰にしがみつく
 
 …冷酷な権力者…。

 理不尽にも 権勢づくで 弟の愛妻を強奪していった…男…。
 そういう 肝心な役の…設定が…まるで無視されている!

「誰よりも…大事にする…愛して…いるのに!」

 ヤツに泣きながらしがみつかれて…しだいに…キョーコの眼が…変わる!

 それまでの 「畏怖」から
 …「同情」?

 いや!違う!あの眼!!

 獲られる!!

「ふざけるな!!泥棒猫が!!!」

 考えるより先に声が出た。

 キョーコがハッと顔を上げる。
 ヤツの背中の震えが 止まる。

「オレ達の仲に、勝手に割り込んでおきながら!何が『愛してる』だ!
 強引に…そいつを 奪った最低男が!おまえには 愛される資格なんか…!」
 ない!
…という一言は…音に ならなかった。

 次の瞬間、
 ヤツの左手から 何かが閃く。

 ガツッと オレの首筋のすぐ…横に 小刀が…刺さっていた…!

 っ…!!

「ひっ」キョーコが 青ざめて絶句する。
 
 お。おまえ。
 い、いま ぜ、全然 こっち 見て なかった…ろう…!

「…そうか…」

 ゆっくりと…ヤツが立ち上がる。

「お前がいるから…いつまでも未練が残るのか…」 

 オレを真っ正面から見据えたその眼の中に にえたぎるような憎悪の炎が燃えている。
 剣を抜きはなって…じりじりと オレにちかづいてくる。

 …!
 今度こそ…殺られる!
 
 木に縫い止められていた 袖を引きちぎる。
 とっさに 剣をつかんだ。

「大王!お願い!おやめください!」

 それこそ 渾身の力で キョーコが ヤツの右手にしがみついた。

「どうしても…と おっしゃるなら…私も一緒に 殺してください!」 
 悲痛な声で 泣きながら ヤツに懇願する…。

 その声に
 ぴしりと
 ムチで 打たれたように
 ヤツは ぴくりと 動きをとめる。

 ヤツの眼から 黒い炎が消える
 …改めて オレに視線を戻し 首筋すぐ横の小刀を見て…
 「…しまった…っ!」という表情を浮かべる。

 …ということは…!

 今までのあれやこれや 全部…無意識でやってた…って こと…か!?

 うっわ…!よく…生きて…いら…れたものだ…オレ。

 だが それも 一瞬。

 ヤツは すぐに 
 「誰か ある!」 家来達をよばわる大声をあげた。

 シナリオ通りに。 
 役柄どおりの目つきにもどって。















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