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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第4章 3(side:玉藻)』【絶えずの炎 №51】

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『出雲物語 第4章 3(side:玉藻)』【絶えずの炎 №51】



「よいな。玉藻!決して この寝所から 外に出てはならぬ!」

 政務が始まる時間ぎりぎりまで 私を抱きしめてくださっていた帝は 何度も念を押された。

「警護の者には 複数で交代で張り番を させている。ここなら 大丈夫だ!」

「…はい…。」 

ひしと抱きしめてくださるその胸に 素直にもたれて 返事をする。

「調べがすむまで 後宮には戻るな!
この五日間の留守中に なにがしかけてあるか わかったものではない!」


 その口調が ひどく苦々しそうだ。

黙ったままぎゅっとしがみつく私を 帝が強く抱きしめてくださる。

  …ああ、このぬくもり。
  この優しい香り。

  覚えていよう、この体のすみずみまで…!

  最期のその瞬間まで

「…ところで…玉藻…。」

「はい?」

「そなたの…親御殿について…なにか…手がかりになる品とか なかったのか?」

「…は?」

 どうして 唐突に…。
 今の今まで 一度も お尋ねにならなかったのに

「和歌と…真っ黒い古びた小柄が一ふり…。」

「黒くて古びた…か…。では、違うのだろうか…。」

「え?」

「あ、いや!すまぬ!昨夜 妙な夢を見て…。」

 夢?

「ちなみに…その和歌は どんな?」

「は、はぁ…。『うつせみの命を惜しみ波に濡れ 隠岐の荒磯(ありそ)玉藻刈り食む』と…。」

「…『おき』とは…よもや 出雲にある島の『隠岐』か!?流刑地の!」

「…は、はい!」

 ど どうなさったのだろう???

「玉藻!」

「は!?」

「その小柄…!今は どこに…?!」

「は、はい。あの…昨夜…千早…殿が、私を蛇から助けるのに 使ったのが
 それでございました。」


 どうやら わざわざ 出雲から持ち出してくれたらしい。

「…あれか…!」

 すぐに 扇を鳴らして 政親殿は 近習を 御呼び寄せになった。

「昨夜 八雲千早が 蛇を退けたあの小柄…いま どこにある?」

「は。やや、欠けが生じておりましたので 鍛冶職人に 研ぎ直させております。」

「…そうか…戻り次第 即 私のもとに届けよ。子細に検分したいことがある。」

「はっ!」

 …検分…?

「…詳しいことは…よくよく 確かめてから話す。まずは、昨夜の犯人捜しが先だ!」

 …っ!

「政親様…!皆様の反感を 買われるようなことは…!」

「人を殺すのは悪いこと…その程度 子どもでさえ知っておるのだ!
 こんな卑劣な犯人を逃して どうして 政を治められるものか!」


「…は、はい…。」

「私は 危うく…おまえを失うところだったんだ…!!断じて許さぬ!」

「政親様…!」
 
 最後にもう一度 
 私を抱きしめて 熱い口づけをくださったあと 帝は政務に出て行かれた。

「本当に…ご無事で ようございました…玉藻様…!」

 改めて 楓が私の前に手をつく。

「私…何のお役にも立てず…。」

 平伏した肩が震えている…のを 見て 胸が熱くなった。

「ありがとう…楓…。」

 そして ごめんなさい。

 きっと 楓にも 哀しい思いをさせてしまうだろう…。

「少し…頭が重いの…。床の用意をしてもらえる?」

「まあ!大変!すぐに お薬湯のご用意をいたします!!」

 楓や女房達が 大騒ぎして ぱたぱた 動き回ってくれる。
 
「では、私どもは 下がっております。ご用の折りには この鈴をおならしくださいませ。」

「ええ…。ありがとう…。」

 褥の中で…楓達の足音が遠ざかるのを確認した。

 さっと 跳ね起きる。

 寝所の外には 見張りをしてくださってる方々がいる。
 
 静かに 行動しなくては!

 寝所の奥の床の間…掛け軸を そっとめくる。

 一見 真っ白い壁…のすみっこに…釘の頭が出っ張っている。

「もしも 天変地異が起こったりして ここから逃げる必要があった場合は…。」

 帝が教えてくださった いわゆる非常口。

 教わったとおりに 操作する。

 ぐぐぐぐっっ

 床の間の香炉を載せた台が 横に滑り 下に続く階段が現れた。

「御所の周囲の堀の下をくぐって道が掘ってあるから…多少 水滴は落ちるが…
 しっかりしたものらしいよ…私は 一度も 通ったことがないけれどね。」


 帝のお言葉を思い出しながら 階段を下っていく。

 しっかり 内側から 香炉台を 戻しておくのを忘れずに…。

 帝がお帰りになったら わかってしまうのだろうけど
 楓たちや見張り番の方々は 絶対 知らないはずだもの!

 湿った土の壁が どこまでも続く道を ひた走る。

 長い…。

 元からあった坑道と つなげた…というだけはある…!

 出口は どこか 山中に続いてるそうだ。

 …ちょうどいい…。

 そのまま 山の奥深くに分け入って 木の下にでも横たわろう…。

 いずれ、この身は 霜雪に朽ち果てて 樹木の糧になれるだろう。

 ぽたぽたと 天井から したたり落ちる雫が 着物にしみ通ってくる。

 日も差さない暗闇の中…壁に右手を当てながら ひたすら先を進んでいった。



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