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「松蓮聖戦」
最終章 絶えずの炎

『出雲物語 第4章 4(side:祐規)』【絶えずの炎 №52】

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『出雲物語 第4章 4(side:祐規)』【絶えずの炎 №52】


「見張りは『決してみおとしはない!どなたも 寝所から出なかった』と申しております!」

 凍り付いた場に 楓の涙混じりの声が響く。

 瞬時に帝が 動かれた。

 飛ぶような勢いで寝所に向かわれる。

 急いで後を追いながら 確認する。

「…も、もしかして…!」

「抜け道だ!」

 やはり!
 帝一族しか知らない秘密…。

 臣籍に降りた父が
 一時だけ 帝だったことがあるので

 私も その存在は知っている。

 楓は
 物心ついたときには
 すでに父は 単なる貴族、三条氏にすぎなかったから

 そんなものあることさえ 知らぬのは、無理もない。

「心当たりがあるのか!?」

 いつのまにか おいかけてきた千早殿が 必死な声で問いかけてくる。

 それには応えず、帝は寝所にかけこみ。

 掛け軸を 勢いよくはがす。
 定められた手順で操作して隠し階段を出現させた。

「…これは!」

「…非常時の際の脱出口だ!玉藻が来てすぐに 教えておいた!」

「お兄様!」

 やっと追いついてきた楓が 息を切らしながら叫ぶ声に 指示を返す。

「松明の用意を!それと湯殿の湯を沸かしておけ!大量に!」

 子どもの頃 この道を 探検したことがある。

「足場が悪くて 危険な道です!どうか 帝は ここで…」

 「お待ちください」という前に 帝は すでに階段を下りて行かれる!
 
 千早殿も 即 後に 続いていく!

「お兄様!松明です!お湯も がんがんわかしておきます!ですから!」

「大丈夫!必ず お連れして戻るから!」

 蒼白になった妹の肩を ぽんぽんとたたいて 俺も階段を下りていった。

「…よく…こんな道 教えましたね。しかも、最初の頃に…などと。
 玉藻…様が 逃げると 危惧なさらなかったのですか?」


 道を ひた走りながら 千早殿が皮肉っぽく言う。

「寝所で、ほんの一瞬でも 私が玉藻を離すとでも?」

「…っ!」

 さ、
 さらっと とんでもないことを!

 さすがの千早殿も絶句した。

「もう…すっかり 身も心も 私になびいてくれたと思ったのに…現に 昨夜は あんなに…。」

 なにやら ぶつぶつ言う声は 聞かなかったことにした!

 精神衛生上 とても 良くない内容にしか 思えなかったので!

「見つけたら!もう!二度と私のそばから 離さないからな!一日中!」

 言うが早いか 韋駄天のような速度で 駆け抜けていく。

「う、嘘だろ?なんで あんなに早いんだ!?帝なんて 一日中座りっぱなしの…!」

「…私たちは 幼い頃は、まるで皇位継承権から 遠かったんでね…けっこう 野山を駈けて
 わんぱくな子ども時代を過ごしたんだよ。」

 なんせ
 当時の皇太子 宗親親王様は
 御血筋も 頭脳も 人望も すべて兼ね備えられた素晴らしいお方だったし

 そのご正妻 絹乃内親王様も また宮中の牡丹…とまで形容された方で
 お美しく聡明な上に 謙虚でお優しいお人柄で たいそう人気が高かった。

 その方との間には 皇太孫 宗仁親王様もおられたから

 正当な皇統は、脈々とつながれており
 政親殿も 私も 完全に傍流の親王…まったく顧みられることはなかったのだ。

 14年前…
 私たちの祖父…当時の帝である 宗忠様さえ…

 あのような愚かな疑心暗鬼に とりつかれさえなさらなければ!

「玉藻!!」

 どれほど走っただろう

 足が次第に いたくなってきたころ

 お主上の悲痛な叫び声が 前方から響いてきた。

 …!

 ダッと 千早殿が 俺を追い抜いていく。

「玉藻!」

「しっかりするのだ!玉藻!」

 ようよう坑道の出口にたどり着いた。

 出口には 重い扉を仕込んであり 厳重に鍵をかけてある。

 その扉の前に 倒れているのは 玉藻様!

「…息はある…!」

「すぐ…連れ帰ろう!」

 帝が ご自分の着物を玉藻様に巻き付けて さっと抱き上げられた。

「この扉の…鍵の場所までは お教えしてなかったのですね!」

「ああ…。」

 玉藻様のお手は 傷だらけだ。

 きっと なんとかして 扉を破ろうとなさったのだろう。

「…この扉を突破されてたら…高雄の山です。…見つけるのは 至難の業だったでしょうね!」

「言わないでくれ…背筋が寒くて仕方がないんだから!」

「…なるほど。ご用心のいいことだ。
 あえて、最後の関門だけは 秘密にしてらしたとは…。」


 千早殿の言葉に 重い沈黙が 返ってきた。

 …まさか…

「み、帝…ま、まさか…と 思います…が…。」

「ご自分でも うっかり忘れてただけ…なんてことは…。」

「…さあ!急ごう!玉藻の体が心配だ!」

 図星かっっっ!!!
 
 心の中で 千早殿と 声がぴったり合わさるのを ひしひしと感した!
 



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