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「松蓮聖戦」
第1章 松の光合成

杏花雨 (side:K)【松の光合成 №42】

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杏花雨 (side:K)【松の光合成 №42】

  横殴りに 振り付ける 雨の中…。
 白装束に 身を包み 桟橋に立つ。

 戦地に赴く兵士達を乗せた船が 嵐のせいで出航できない。

 こういう場合…神仏に加護を祈るのだろう…けれど

 この時代 今よりも はるかに「やまと歌(和歌)」の言霊が信じられていた。

 そして 私の 演じる歌姫は
 最も その力が大きい女性だった…らしい。

 —  熟田津に 船乗りせむと 月待てば
            潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな  —
 

 心を込めて 朗々と 詠み上げる。

 その声とともに 雨脚は弱まり 風の勢いも和らいでいく。
 (エキストラの)大勢の兵士達が歓声をあげた。

 もちろん 今のは、演出効果だけれど、これが史実っていうんだから すごい!

 兵士達の大歓声の中 退場していく。

 自分の力が頼りにされている。
 その思いがあったから
 この女性は生きていられたのだろう。

 その誇りだけを支えに 意のままにならない人生を耐えていたのだろう。

 CMの流れで 降ってわいたドラマだけれど 
 演じるほどに 歴史上実在した 悲劇の“歌姫”に 思い入れが深まる。

 「お疲れ様でございました。」「あいかわらず すばらしいお力で!」
 口々に賞賛の言葉を浴びせられつつ 濡れた着物を着替えさせられ 
 髪をぬぐわれ…ているうちに

「ご苦労だった」

 男が 部屋に入ってくる。

 愛する…夫の…兄で 今の彼女の支配者。
 この国の最高権力者。

 正座をし 手をつく。
 目を伏せて 恭しくお辞儀をする。
 決して 逆らいは しない。

 周りにいた 女官達は あわてて席を外す。
 男…大王が、二人だけの時間を じゃまする者には
 容赦がないことを知り尽くしているので 

 人がいなくなったとたん 
 男は 自分の胸の中に 女を抱き込み 深く口づける。

 !?

 …え…と…?
 シナリオでは こぉゆうシーン…なかった…はず…?

 まあ 敦賀さんだし…今更?
 監督も「ストップ」かけないし…。

「あいかわらず…見事な力だ。そなたの歌は」 

 ずいぶん長いように感じたキスシーンのあと、
 (ありがたいことに!)シナリオ通りのセリフをふってくれた。

 もっとも…あいかわらず 胸の中にとじこめられたまま…なんだけど?
 でも まあ この程度のアドリブは許容範囲よね。

 少なくとも ここには 凶器はないし…!

「…恐れ入ります」

「その力…。自分にも 使っているのか」 

「は?」

「俺の…子は…生まないよう…自分で自分に呪をかけてでもいるのか?その力で!」

「そっ!…そのようなこと!!」

 両肩をつかまれ はげしくゆさぶられながら 責められる。

「では、なぜだ!俺のもとに来て、5年もたつのに なぜ子をなさぬ!」

「で、できないだけです!!」

「なぜ、できぬ!アイツのときには、1年もたたぬうちに みごもったくせに!」 

「…!」  

 演じているうちに すっかり この歌姫に感情移入していた…
 とりつかれていた…と 言っていい。

 だから

 (シナリオ通りとはいえ)
 男の あまりにも 理不尽な 言いがかりに

「俺の子など 俺などの子は 生みたくない…そう思っているのだろう!違うか!?」 

 子までなした 愛し合う 夫婦の仲を引き裂いて
 権力づくで 強奪してきたくせに

「俺の…子は…できぬように みごもらないように
 自分で自分に呪をかけているのだろう!その力で!」


 なんて身勝手な男!
 本気の怒りがこみあげる!

「残念ですが…そのような力は ございません」

 自然に 言葉がほとばしりでる。

 男…敦賀さんが、一瞬 目を見開く。
 とまどったそのすきに 腕の中から逃れる。

「そのような力がありましたら、もちろん使いますけれど」

 きっぱりと 男の目をにらみつけて たちあがる。

「…!」敦賀さんの眼が 険しくなった。

「愛した方の子どもがほしい…のは 女の本能ですから」 

 シナリオから はずれたことはわかってる!
 だって…あんまりでしょう!?

「あなたとの子どもは 生みたくございません。
 我が子を愛せなかったら 不幸ですし…。生まれた子も哀れでしょう」

 
 私だったら こんな…こんなひどいこと 言われたら!

 シナリオのように 泣いて耐えるだけなんて!

 無理!絶対 無理!!

 文句あるんなら「ストップ」かけなさい!監督!!

「…そう…か」

 うーん。

 さすが 敦賀さん!

 とまどった様子なんて ほとんど一瞬で消し去り
 酷薄な笑みを 浮かべて立ち上がる。

 …!

 思わず 後じさった!

 けれど
 たとえこの場で
 怒りで手打ちにされたとしても

 言わざるを得ない心の叫びってヤツだと思うの!
 私がこの歌姫なら…絶対 そう言うしかないんだもの!!

「やはり…アイツは…殺さなければならないんだな?」

 …え?

 …!

 あ!

 …し、しまった!!

「お。お許しください!大王!どうかどうか今のご無礼は お許しを!」 

 そくざに その場に平伏して許しを請う!

 そうだった!!

 この…プライドの高い歌姫が
 なぜ 唯々諾々と この権力者の言うなりだったのか!

「あのかただけは!あのかたのお命だけは!どうか!」

 愛する夫の命が かかってたからだった!!

 両肩をつかまれ 上を向かされる。
 ふってきたのは さっきよりも さらに強引な口づけ。

「俺の子を みごもれ」

 息が苦しくなるくらい 長い時間 とらわれていた唇を やっとはなし
 男が ささやく。

 セリフだけは…シナリオに忠実になった。

「お前に俺の子を生ませたい!」 強く抱きしめられる。

「お前の夫は…俺だ!!」 私の肩に 顔をうめて叫ぶ。

 シナリオ通り…の
 強気な 横暴なセリフ…なのに
 語尾が…弱々しくふるえて…いる…?

「お前は 俺のものだ…!」

 まるで 泣いている…かのような 声音だった。 





























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